「筋肉痛」は、一般的には運動をした後に起こる筋肉の痛みをいいます。普段あまり運動をしない人が急に運動をすると、翌日になって体のあちこちの筋肉が痛くなりますね。運動だけではなく、例えば仕事で重い荷物を持って移動が続いた後などに特定の部位の筋肉が痛くなることもあります。ここでは、この筋肉痛について解説していきます。

目次

運動の後に起こる筋肉痛は「遅発性筋痛」

一般的に筋肉痛と呼ばれているものは、「遅発性筋痛」のことです。

運動をしたその時には起こらず、数時間後~翌日、遅い人で翌々日に遅れて出現するため遅発性筋痛と呼ばれています。

遅発性筋痛の原因は?

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運動後に起こる遅発性筋痛の原因は明らかではありません。よく、筋肉が疲れて「乳酸」が溜まることによって起こるという話を聞いたことがあるかもしれませんが、現在は乳酸説ではなく、運動によって傷ついた筋肉の繊維を修復する時に起こるのではないかといわれています。

また、年齢が高いほど筋肉痛の発現が遅いと冗談まじりで話をすることがよくありますが、18-22歳のグループと、60-70歳代のグループとで比較した結果、筋肉痛の発現時間に年齢の差はないという結果報告がされています。「年だから筋肉痛が遅れて出る」ということではなく、年齢というよりは個人によって発現時間に差があるという事のようです。

メカニズム

  1. 激しい運動などによって筋線維に負荷がかかり、細かな傷ができる。
  2. 傷を治そうと白血球などが集結し、炎症が起こる。
  3. 「炎症」によりプロスタグランジン、ヒスタミン、セロトニン、ブラジキニンなどの刺激物質が生産される
  4. 刺激物質が筋肉を包む筋膜を刺激し、痛みを感じる。運動の種類や激しさで筋肉痛の強さが変わることはない

持久的な運動と、瞬発力の必要な短時間の運動で比較した結果、大きな筋力が必要な短時間の運動の方が筋損傷の程度は大きくなりましたが、筋肉痛の程度には差がないことがわかりました。

また、筋肉痛の程度は、筋損傷の程度に関連しないということが分かっています。

遅発性筋痛以外の筋肉痛は?

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運動後の筋肉痛だけではなく、病気が原因で筋肉痛が起こることもあります。

筋肉痛を起こす病気には以下のようなものがあります。

インフルエンザ

発熱を伴い、全身の筋肉痛が起こります。詳細は「インフルエンザの初期症状は!?かかった場合の5つの対処法と治療薬」をご参照ください。

筋炎(皮膚筋炎多発性筋炎)

皮膚筋炎や多発性筋炎では、手足などの筋肉に原因不明の炎症が起こり、筋肉痛などの症状が発生します。

びまん性筋膜炎

筋膜に炎症を起こす病気で、筋肉痛を伴う場合もあります。

リウマチ性多発筋痛症

肩の痛み、頚やおしり、太ももの痛みが起こります。

微熱倦怠感を伴う炎症性疾患で、関節リウマチとは別の病気です。

線維筋痛症

線維筋痛症は、原因不明の病気です。ほとんどの人に、持続する全身のこわばりや痛みが起こります。

まとめ

筋肉痛には、運動後に起こる「遅発性筋痛」と、何らかの病院の症状として発生する筋肉痛とがあります。遅発性筋痛は時間の経過とともに消失しますが、病気が原因の筋肉痛は原因の病気を治す必要があります。長引いたり、その他に気になる症状が発生したりしている場合は、たかが筋肉痛と放置せずに、医師に相談して適切な検査を実施しましょう。