みぞおちが急に激しく痛む場合はすぐ病院に行く気になりますが、我慢できる程度だったり、何週間も少しだけ痛いという人は受診すべきか悩みますよね。病院に行く前に試したい「自分で改善する方法」を紹介します。1番と2番はみぞおちの痛みを未然に防ぐ方法でもあるので、日常的に取り入れても良いですね。後半には病院に行くべきポイントと、もし受診した場合の検査内容、治療内容も紹介します。
1.規則正しい食生活
夜中に食事をして、すぐに寝る生活をしている人、朝食を何も食べないでコーヒーだけ飲む人、空腹時間が長く、反動で1回の食事量が極端に多い人は胃にかなりの負担がかかっていますので、生活を見直しましょう。
油の多い料理、辛い料理を食べる頻度が高い人は、しばらく肉類や揚げ物などの脂肪分に多い料理、香辛料の多い料理を控えましょう。
2.ストレス、温度差を改善する
ストレスは自律神経のバランスを崩し、胃粘膜の血流量を減らし、粘液の分泌を減少させて抵抗力を弱めます。また、ストレスによって胃腸の働きが高まり、胃酸が過剰に分泌される場合もあり、いずれにしても胃痛の原因となります。
ストレスをため込まない術を身に着け、リラックスして過ごせるようにしましょう。一般的には運動が推奨されており、他にはヨガやストレッチ、マッサージも効果があります。
さらに、温度差によっても自律神経のバランスは乱れ、ストレス過多と同じように胃痛を引き起こします。冷房で極度に冷えた夏の室内、暖房で汗ばむくらい暑い冬の室内は、室内外の温度差を体がストレスと受け止めてしまいます。当の本人は気持ちよくても、温度設定はほどほどにしましょう。
3.胃を休める
食事後に胃が痛む場合は、食べる量を少し控えめにしてみてください。適度に休息をとりながら、胃を休めましょう。
食事を再開するときは、味の薄いおかゆやにゅうめん、うどん等を少し食べてみて、胃痛がおきないか様子を見ながら食べ進め、ゆっくりと食事の量を増やしていきましょう。
4.嗜好品を控える
アルコール、コーヒー、紅茶、香辛料などの刺激物は胃酸の分泌を増加させますので止めましょう。逆に牛乳は胃を保護しますので積極的に飲みましょう。すでに胃酸を抑える薬を服薬している人は、それほど食事制限を行う必要はありませんが、それでも嗜好品の摂取が過剰にならないよう気をつけましょう。
もし胃にピロリ菌がいる場合、タバコは潰瘍を発生しやすくします。またタバコによって胃粘膜の血流量が減り、胃潰瘍になりやすくしたり進行させたりするため、みぞおちに痛みを感じたら、しばらく止めることをおススメします。
5.食事の内容や鮮度に注意する
腐った食品や海外の生水は細菌やウイルスに汚染されていることがあります。あるいは細菌の出した毒素がついていることもあり、激しい胃の痛みと下痢、嘔吐を引き起こします。
また海外の水は硬水であることが多く、カルシウムやマグネシウムを多く含んでいます。日本の水道水は軟水のため、硬水は、日本人が下痢を起こす原因としても知られています。
地方によっては井戸水やため水を使っているところもあるので、それらの水には気をつけ、必要に応じて市販水を使いましょう。
6.市販薬を使う
市販薬には胃の緊張を抑えて痛みを和らげる胃腸鎮痛鎮痙薬、神経を麻痺させ痛みを和らげる鎮痛薬、胃や腸での消化を助ける消化薬、胃酸を中和する制酸薬、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカー、胃の機能を高める健胃薬、胃の粘膜を守る胃粘膜保護薬などがあります。それぞれ、パッケージに用法・容量などが記載されているので、服用時にはそれらを必ず守るようにしてください。
また、制酸薬を飲むときは炭酸飲料など酸を含む飲み物と一緒に飲むと、効果が無くなります。制酸薬と牛乳を一緒に飲むと吐き気などの副作用がでるので避けましょう。
7.日誌をつける
痛みが慢性化しているときは、日常の小さな出来事が痛みにつながっていることもあります。天気や気温、睡眠時間や起床・就寝時間、食事の内容、労働内容、気分、においや音や光などの環境、同じ姿勢を長時間していたかなど、痛みがでたときの状況を記録してみましょう。原因が分かれば予防ができますし、精神的にも楽になります。
このようなときは病院を受診しましょう

「痛みが何日も続く(慢性化)」「激痛」「薬を飲んでも改善しない」これらの症状が一つでもあるときは一度診察、検査してもらい適切な治療を受けましょう。
検査内容
問診、触診、胃カメラ、腹部エコー(超音波検査)、腹部CTまたは腹部MRIが外来検査でよく行われますが、採血や呼気でピロリ菌の有無を外来で検査することもできます。
心臓の異常が疑われる場合は心電図、心臓エコー、必要に応じて心臓CTの検査をします。
治療内容
胃酸過多の場合は胃酸を抑える薬、ピロリ菌が認められた場合は除菌が勧められます。また禁酒・禁煙・低脂肪食など、生活習慣の指導が入ります。
膵石や胆石では、無症状の場合は禁酒や食事療法、薬物療法を行います。また、みぞおちの痛みが生じている場合には、内視鏡を用いた治療も行います。急性虫垂炎では、汎発性腹膜炎が疑われる場合は手術を行います。抗生物質での治療を行う場合もあります。
心筋梗塞でもみぞおちが痛くなる場合があり、この病気が原因である場合は、抗血小板薬(血液をサラサラにする薬)、硝酸薬(血管を拡げる薬)、鎮痛薬などによる治療が行われます。さらに、心臓カテーテル検査を行って冠動脈の閉塞が確認された場合には、カテーテルによって血管を拡張する治療が施されます。
心筋梗塞で亡くなる方の半数以上は、発症から1時間位内に死亡しています(国立循環器病研究センターより)。異常がみられたら、すぐに受診してください。
まとめ
みぞおちの痛みには、重篤な病気が隠れているおそれもあります。気になる症状があった場合には、受診をしましょう。そのときはどのようなセルフケアを行ったのか、何の薬を飲んだのかを医師に伝えると治療がスムーズにスタートしますので、是非日付と一緒にメモをしてください。