鳴っていないはずの音が自分にだけ聞こえてくる症状を耳鳴り(より正確には、自覚性耳鳴)といい、誰もが経験することのある症状の一つです。病気が原因で耳鳴りが生じている場合、耳鳴り以外の症状が併存していることが多くあります。今回は耳鳴りとめまいの症状が一緒に出たときの原因について紹介したいと思います。

目次

耳鳴りの原因とは?

まず耳鳴りの起こる原因について説明します。外界で発生した音は振動として耳の中に入っていきます。そして、耳の中にある内耳という部分で、振動が電気信号に変換され、聴神経(蝸牛神経)と呼ばれる神経を通って脳に到達します。その結果、脳で音として認識されます。

音が伝わる過程のどこかが病気により障害をされると、音がうまく聞こえなくなったり、耳鳴りが生じてしまったりするのです。一般的に耳鳴りの多くは内耳の障害によるとされていますが、はっきりとした原因が分かっていな場合もあります。

耳鳴りとめまい、一緒にでる理由は?

なぜ耳鳴りとめまいが一緒に出るのでしょうか?その理由を理解するために、めまいの原因について説明します。めまいは内耳にある平衡感覚を司る器官がなんらかの病気により障害されてしまうことで起こることが多いとされています。

内耳といえば、音を聞く過程で振動を電気信号に変える部分であることはすぐに理解できます。しかし、内耳は音を聞くことだけでなく、平衡感覚を保つのにも必要な部分であるため、ここが障害されてしまうと耳鳴りや難聴に加えてめまいという症状が同時に出現してしまうことがあるのです。

耳鳴りとめまいが一緒に出る原因となる病気

耳をふさぐ女性

耳鳴りとめまいが一緒に出る場合には原因となる病気がいくつか想定されます。そこで、考えられる病気とその特徴を紹介します。

1.メニエール病

メニエール病は、突然ぐるぐると目が回ってしまう回転性めまいが生じる病気です。他にも難聴や耳鳴り、耳の閉塞感などの症状がみられます。めまいが出てくるのに前後して耳鳴りなどの症状が現れます。発作的に繰り返しめまいを生じる病気です。内耳の水ぶくれ(内リンパ水腫)が原因とされていますが、なぜ内リンパ水腫が発症するのかは、はっきりと解明されていません。

2.外リンパ瘻

強く鼻をかんだり、潜水したり、力んだりすることで耳の中に強い圧がかかって、中耳と内耳の境界の膜(内耳窓)が破れてしまい生じる病気です。発症時には、弾けるような音や水が流れるような音がすることがあるとされています。耳鳴りのほかにめまいや難聴なども生じることがあります。

3.脳腫瘍(聴神経腫瘍)

脳腫瘍の中でも耳に関する症状が顕著に現れるのが聴神経腫瘍です。音を脳に伝える神経である聴神経に良性の腫瘍ができてしまう病気で、初期の症状は片方の耳の難聴耳鳴りです。腫瘍が徐々に大きくなっていくにつれてどんどん音が聞こえにくくなります。また、顔面神経を圧迫して麻痺を生じさせることもあります。大きな腫瘍がある場合にはめまいふらつきや顔のしびれ感などの症状も出現します。

4.突発性難聴

突然片耳の難聴が生じる病気が突発性難聴です。ほとんどの場合で耳鳴りが生じ、約半数の場合でめまいが生じます。キーンとする金属音のような高音の耳鳴りであることも、ゴーというモーター音のような低音の耳鳴りであることもあります。めまいは回転性のめまいであることも浮動性のめまいであることもあります。

5.その他

脳卒中や頭部外傷の後遺症脳の血行障害などで耳鳴りとめまいが同時に出る場合もあります。めまいと耳鳴りが同時に起こったということで、内耳の病気と断定することはできません。

まとめ

耳鳴りとめまいは耳の中にある内耳の障害により起こることが多いため、内耳に関連した病気が発症すると同時に出現する危険性があります。しかし、中には脳腫瘍脳部外傷後遺症など脳の病気も含まれているため、気になる場合は耳鼻咽喉科もしくは脳神経外科を早めに受診するようにしましょう。