眼科の検査といえば視力検査をまず思い浮かべると思いますが、眼科の中でも視力検査と同じく重要な検査が眼圧検査です。眼圧って一体何でしょうか?眼圧検査からわかる病気などについて詳しくみていきましょう。

目次

眼圧って何?

眼圧はその字の通り「眼の圧力」のことですが、わかりやすくいうと「眼の硬さ」のことをいいます。眼圧の正常範囲は10~20mmHgとされています(「mmHg」という単位は圧力を表す、血圧などでも使用されている単位です)。

角膜や水晶体、硝子体などには血管がなく、この血管のない組織に栄養を送るため、眼の中では房水(ぼうすい)と呼ばれる水が作られています。房水が眼球内を流れることで眼圧が一定に保たれ、同時に眼球の形を球形に保つことができています。

房水は毛様体で作られ、虹彩(茶目)の裏から瞳孔を経由して房水の排出口である隅角(ぐうかく)へと流れていきます。

眼圧検査とは

目をおさえる女性-写真

基本的に、眼科を受診すると視力検査だけではなく眼圧検査もおこなわれています。「眼圧検査」というとピンとこないかもしれませんが、「目に風があたる検査」というと経験したことがある人も多いのではないでしょうか。

眼圧検査には非接触式眼圧計接触式眼圧計の2種類があり、眼科外来でよくおこなわれている「目に風があたる検査」は非接触式眼圧計による検査になります。

非接触式眼圧計(空気眼圧計)

目に風をあてると、目の表面が少しへこみます。その際、眼圧が高いとへこむのに必要な時間は長くなり、眼圧が低いとへこむのに必要な時間は短くなります。非接触眼圧計ではこのことを利用して測定しています。

接触式眼圧計

目の表面に直接器械を接触させて眼圧を測定します。上記の空気眼圧計と違って角膜に直接器械を接触させるため、検査前に点眼麻酔をし、医師が診察室内で検査をおこないます。点眼麻酔など手間はかかりますが精度は高い眼圧検査といえます。

空気眼圧計による検査は瞬きなどで検査結果にバラツキがでやすいので、数回測定し平均値を求める必要があります。目に風があたるので検査としては嫌がる人が多い検査ですが、接触式眼圧計のような点眼麻酔などの手間がかからずすぐにおこなえる検査なので、眼圧の基本検査として最もおこなわれている検査になります。空気眼圧計で数値が高い場合は、診察時に接触式眼圧計による眼圧検査をおこなう場合もあります。

眼圧が高い場合に疑われる病気

眼圧検査の結果、眼圧が正常範囲の10mmHg~20mmHgよりも高い場合は、以下のような病気や症状が考えられます。

緑内障

眼圧が高くなる病気の代表ともいえるのが緑内障です。フィルターの役目をしている線維柱帯などが目詰まりをおこしてしまい、房水がうまく流れず眼圧が上がる「原発開放隅角緑内障」、隅角が狭くなり閉塞してしまい房水が流れづらくなり眼圧が上がる「原発閉塞隅角緑内障」などがあります。

原発閉塞隅角緑内障の場合は、急に隅角が閉塞し一気に眼圧があがる急性緑内障発作をおこす場合があり、発作をおこすと頭痛・眼痛・吐き気・かすみなど急激な症状を引き起こし、放置すると失明に至る危険性もあります。

ただし、眼圧が高い=緑内障というイメージが強いですが、眼圧が正常でも緑内障になっている「正常眼圧緑内障」が日本人には多くみられるため、眼圧が正常でも緑内障が否定できるわけではありません。

ステロイド薬使用

結膜炎や角膜炎、花粉症で目のかゆみが強いときなどは目の炎症を抑える目的でステロイド点眼薬がよく処方されます。ステロイドは効き目は高いのですが、長期間使用すると人によっては眼圧があがってしまう場合もあるため注意が必要です。

ステロイドによって眼圧が上がってしまうタイプの人は「ステロイドレスポンダー」と呼ばれており、体質などが深く関係しているといわれています。しかし眼圧上昇の仕組みなど詳しくはまだわかっていない部分も多いため、ステロイドを使用して眼圧が上がるかどうかは使用してみないとわからないというのが現状です。

もしステロイドの長期使用が原因で眼圧があがってしまうとステロイド緑内障になるため、ステロイドを自己判断で長期間使い続けるのは危険です。ステロイドレスポンダーかどうかを見極めるためにも、ステロイドの目薬や内服薬を使用している場合は、医師の指示に従い使用方法を守り、定期的に眼圧のチェックをおこなう必要があるのです。

「眼圧が低くなる」のはどんな場合?

外傷後や眼科手術後などの影響で眼圧が異常に低下すると、網膜、脈絡膜、黄斑部などにも障害が起こることがあります。そのような場合は眼圧を復元すること必要になってきますが、通常の検診などで低眼圧が問題になることは少ないでしょう。

まとめ

眼圧が高くても急激な眼圧上昇ではない限り症状として自覚しにくいため、緑内障の早期発見のためにも眼圧検査はとても重要な検査だということを覚えておきましょう。