最強の保湿成分!?ヘパリン類似物質とは

冬になるとやはり気になるのはお肌の乾燥やひび・あかぎれ。こうした症状に使われているお薬に、ヘパリン類似物質というものがあります。聞きなれない名前なので知らない方も多いと思います。しかし、医療用としてはヒルドイドソフト軟膏ビーソフテンクリームといった商品名で多く処方されており、特にヒルドイドソフト軟膏は外装がピンク色のチューブ型のお薬として、皮膚科などで処方された方も多いのではないでしょうか。

最近ではこれらのお薬の保湿効果や、傷跡を目立たなくさせる効果が注目され、市販のお薬でも幅広く販売されるようになりました。そこで今回は、冬の乾燥肌の強い味方である「ヘパリン類似物質」について詳しく見ていきたいと思います。

ヘパリン類似物質とは?

まず疑問に思うのは「ヘパリン」とは何か?ということだと思います。ヘパリンとは血液凝固防止作用、つまり血液が固まりにくくする作用を持つ医薬品のことで、医療用としてよく使われています。そして、ヘパリン類似物質はこのヘパリンと似た構造をもつため、ヘパリンと同様に血液が固まりにくくなる作用や、血流をよくしたり保湿したりといった効能効果が存在します。

外用薬ですので副作用も内用薬よりは少なく使いやすいですが、血液が固まりにくくなる作用があるため、出血しやすかったり、血が止まりにくい病気を持っている方は使わないほうがよいでしょう。詳しくはかかりつけの医師に聞いてください。

ヘパリン類似物質「3つ」の効果

それではヘパリン類似物質の効能効果について詳しく見ていきましょう。

<血行促進作用>

ヘパリン類似物質は血行をよくして皮膚の新陳代謝を促進します。

<保湿効果>

ヘパリン類似物質は水分保持作用を持ち合わせているため、皮膚の乾燥を防ぎます。

<抗炎症作用>

皮膚の炎症を抑える効果があるため、筋肉痛や関節痛にも用いられます。

ヘパリン類似物質は具体的にどのようなときに使われるの?

乾燥

では実際にどのようなときに使われているのかについてみていきましょう。

<傷跡ややけどの跡を目立たなくさせる>

市販のお薬では、この効果を前面に出して販売されているものが出てきました。「アットノン」(小林製薬)という名前は聞いたことがあるのではないでしょうか?実はこの中身もヘパリン類似物質であり、血行促進で皮膚の新陳代謝をよくして皮膚の再生を早めたり、抗炎症作用で傷跡の慢性的な炎症を抑えたり、水分保持作用によって傷跡部分の保湿・柔軟性を取り戻したりすることで、傷跡を少しでもきれいにしてくれるという商品になります。

<ひび・あかぎれ>

冬になると空気が乾燥し、皮膚の脂質や水分が失われ皮膚に亀裂が生じるひび、そしてこのひびがさらに深くまでできてしまったあかぎれが生じることがよくあります。水仕事をよくしている主婦の方などは、冬になるとひび・あかぎれに悩まされている方も多いでしょう。ヘパリン類似物質は抗炎症・血行促進・保湿作用からこれらの症状を和らげたり、防いだりする効果があります。

<皮膚の乾燥(保湿)>

一般的によく使われているのはやはり皮膚の保湿です。上記で述べたような症状も、皮膚の保湿によって防げることが多いからです。ヘパリン類似物質は刺激性が少ないことからひび割れた部分でも使用でき、保湿剤としていろいろな部位に使いやすく、さらに子供さんも安心して使うことができます。アトピーの子供さんではよくステロイドのお薬とヘパリン類似物質を混ぜたものを処方して出してもらうこともあります。

ヘパリン類似物質が含まれる商品にはどのようなものがあるの?

<医療用医薬品>

  • ヒルドイドソフト軟膏・クリーム・ローション
  • ビーソフテンクリーム・ローション

一番有名なのはヒルドイドソフト軟膏・クリームでしょう。ピンク色のやわらかいチューブ製の製品で、よく処方されます。また後発品としてビーソフテンクリームなども有名で値段も安いことからこちらもよく使われています。

<一般用医薬品>

  • アットノン
  • シモアキュア
  • さいき
  • キンカンHPローション
  • メンソレータムへパソフトクリーム など

市販のお薬でもヘパリン類似物質を含んだものが増えてきました。中でも小林製薬の「傷跡用のアットノン」「しもやけ治療薬のシモアキュア」などは、シモアキュアにはかゆみ止め成分がプラスされ、用途によって分けられています。

最近では「さいき」といった医薬品の化粧品ローション・乳液も販売されており、ヘパリン類似物質がいろいろな場面や部位で使えることを最大限に活用しています。

また有名なキンカンメンソレータムでもヘパリン類似物質を含んだ商品が販売されており、メンソレータムへパソフトクリームでは「かゆみを伴う乾燥肌に」をテーマにしておりかゆみ止め成分も一緒に含まれています。

商品の使い分けはどのようにするのか?

潤い

たくさんの商品を紹介しましたが、多すぎて何を使ってよいかわからないといった方も多いでしょう。

基本的にはクリームのほうが保湿性は高く、長時間保湿できるため冬場や特にひどい箇所にお勧めです。しかしべたつくのがいやだったり、広範囲に塗りたい場合はローションのほうが適しているでしょう。

また市販のお薬では用途によって配合されている成分が異なっています。ヘパリン類似物質だけ入っているものや、かゆみ止め・抗炎症成分がプラスで入っていたりと様々です。その商品の「効能・効果」の欄をしっかりと読み、その時の症状に適しているのかを確認してから購入するようにしましょう。

まとめ

冬場になると皮膚の乾燥に悩む方は多いと思います。冬だから…とほおっておくとあかぎれになったり、湿疹などを引き起こし、皮膚科でステロイドを処方してもらわないと治らないといったことになりかねません。そのためにも加湿器を使用したり、水仕事の後は保湿クリームを塗ったり、外に出る際はマフラー・手袋などを着用し乾燥した空気と触れるのを避けたりするようにしましょう。

今回ご紹介したヘパリン類似物質は長年医療現場で使用されている使いやすい保湿剤です。今まで使っていた保湿剤でも乾燥するといった方はぜひ使ってみてください。

参考文献

堀美智子、OTC薬販売の実践問題集2、じほう、p.153

参照リンク

小林製薬株式会社|Saiki(さいき)

小林製薬株式会社|アットノン

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構|ヒルドイドソフト軟膏 添付文書(PDF)

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構|シモアキュア 添付文書(PDF)

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構|キンカンHPローション 添付文書(PDF)

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構|メンソレータムヘパソフトクリーム添付文書(PDF)

田辺三菱製薬|ヒフノコトサイト|冬の手荒れ・乾燥肌にどう対応する?