おへそに痛みがある、あるいはおへそから液体が出たり膿(うみ)が出たりする場合、臍炎(さいえん)、尿膜管遺残症(にょうまくかんいざんしょう)などの可能性が有ります。ではこれらの病気を疑った場合、まず何をすべきなのでしょうか。また、これらの病気であると診断された場合、どのような治療を受けることになるのでしょうか。

目次

臍炎を疑ったら

おへそに明らかな痛みがある場合、またが出ている場合は、臍炎を引き起こしている可能性が高いのですぐに病院にかかりましょう。この場合まずは皮膚科にかかるのが適切です。

成人の場合、尿膜管遺残症が原因となっている可能性もあるので、最初から泌尿器科にかかるのもひとつの選択肢ですが、その判断を仰ぐためにも、皮膚科にかかって尿膜管遺残症の可能性が有るかどうかを尋ねてみるのがよいでしょう。

また、小さな子供にこれらの症状が見られた場合は小児科にかかるのが最適です。小児の場合では、おへそから細菌感染が起きることによって生じます。

病院にすぐかかることができない場合では、炎症がそれ以上ひどくならないようにしなければなりません。膿が出ているからといってむやみにかき出してみたり、おへその奥の方まで消毒してみたりなどの行為は、症状を悪化させてしまう可能性もあります。ですから、医者にかかるまでは、出てきた膿をしっかり拭き取るくらいにしておきましょう。

尿膜管遺残症を疑ったら

はっきりとした症状が無く、おへそから液体が出てきている場合は、尿膜管遺残症の可能性があります。臍炎ほど早急に病院にかかる必要はありませんが、何らかのきっかけで臍炎に繋がる危険性もありますので、早めに病院にかかるようにしましょう。

この場合、泌尿器科にかかるのが最適です。尿膜管遺残症の場合も、医者にかかるまでの間むやみにおへそをいじったりせず、出てきた液体を拭き取るくらいにしておきましょう。

臍炎ではどんな治療を行うのか

臍炎と診断された場合は、炎症の原因となっている菌を倒すことが主な目的となります。

抗菌薬の内服あるいは注射を開始して、定期的に病院にかかって炎症の度合いをチェックしていき、菌が完全に死滅して炎症が治まるまで治療を続けます。多くの場合、治療は1-2週間にわたるようです。

尿膜管遺残症ではどんな治療を行うのか

尿膜管遺残症と診断された場合、管が残っている限り炎症が続いたり、新たな炎症が起こったりする可能性が高くなるので、手術によって尿膜管を取り除くことになります。

手術には大きく分けて2種類あり、ひとつが開腹手術(かいふくしゅじゅつ)、もうひとつが腹腔鏡手術(ふくくうきょうしゅじゅつ)となります。

開腹手術とは?腹腔鏡手術とは?

疑問-写真

開腹手術とは文字通りお腹を切り開いて行う手術で、手術難易度が低く、一般的に行われている手術です。しかしながらお腹に大きな傷跡が残るため、患者さんにとっては精神的な負担となってしまう可能性があります。

その場合、もうひとつの方法である腹腔鏡手術が選択されます。腹腔鏡手術では、お腹に1センチほどの小さな穴を3つ開けて、そこからカメラの役割をする腹腔鏡やその他の手術器具を挿入して行うので、難易度は開腹手術より高くなるものの、傷跡を比較的目立たなくすることができます

どちらを選択するかは医師と相談して決めることになりますが、腹腔鏡手術は2014年から保険も適用されるようになり、合併症も開腹手術とほぼ変わらない水準になってきているため、自身の状況や希望にあわせて手術方法を選びやすくなっています。

まとめ

臍炎にしろ、尿膜管遺残症にしろ、早いうちから適切な治療を受ければ重症化することはめったにありません。しかし、臍炎などは腹痛しかない段階だと、他の消化器の病気と間違えられやすく、治療が遅れる原因になる可能性もあるので、自分の症状を把握した上でどのような病気の可能性があるのか知っておくことも大切です。