子供の腹痛はよくみられる症状です。原因は便秘や胃腸炎が一般的ですが、程度によって手術が必要な病気が潜んでいる可能性もあります。今回は子供の腹痛から考えられる病気を7つ紹介していくので、「お腹が痛い」と子供が訴えたときに参考にしてみてください。

目次

子供の腹痛から考えられる病気

便秘

子供の腹痛の原因として一番多いのは便秘です。赤ちゃんから小学生まで幅広い年齢層でよくみられ、割合は30~40%を占めるとされています(日本医科大学 意気健康より)。

便秘の原因は水分不足や好き嫌いで野菜をとらないため食物繊維が足りないなど食生活の偏り、なかなか便が出ないことで肛門が切れて痛むために排便を我慢して起こるケース、環境の変化など精神的ストレスによるもの、生まれつきの腸や肛門の病気などさまざまです

2~3日出ていなかったり、お腹を優しく触ると左下に硬くなった便を感じたりといった場合は市販の浣腸を使ってみてもよいでしょう。そうして腹痛が治まれば問題はありません。ただ、浣腸を繰り返し使うことは好ましくないため、原因を把握して改善し、しっかりとした排便習慣を身に付けさせることが必要です。

便秘がみられる腸や肛門の病気には、腸管の神経節細胞がなく、腸が動かないために嘔吐、お腹の張りなどを伴うヒルシュスプルング病や、肛門が生まれつき上手く作られずに位置のずれや小さな穴がみられる鎖肛(直腸肛門奇形)があります。2つとも、排便訓練や手術などを行い、長期的な治療に取り組んでいきます。

感染性胃腸炎

便秘の次によくみられるのが感染性胃腸炎です。ウイルスや細菌を原因に、突然の下痢腹痛に襲われ、発熱や嘔吐を伴うこともあります。身体の水分が失われやすく、脱水症状が起こりやすくなります。ひどい場合は入院して治療します。

主な原因はノロウイルスロタウイルスです。ノロウイルスは1年を通して発症し、特に冬にかけて流行します。ロタウイルスは3~5月にかけて多くみられ、乳幼児期(0~6歳)にかかりやすいです。かかった場合は水分と栄養補給をしっかり行います。下痢止めはウイルスをお腹にとどめてしまうため、使わないようにしましょう。

風邪

風邪にかかって便秘になることもあります。鼻水のどの痛み頭痛身体のだるさ寒気食欲がないくしゃみ、鼻づまり、発熱などの症状とともに、下痢や便秘の症状とともに腹痛がみられます。

心因性(ストレス、不安など)

年齢が大きくなるにつれてよくみられるようになるのがストレスや不安、緊張などから起こる心因性の腹痛です。胃炎十二指腸潰瘍を発生することがあります。

友達といった人間関係などで悩んでいるケースがあるため、子供とコミュニケーションを取るなどして原因の解決を目指していきます。

急性虫垂炎

小学生の中高学年男子によくみられるのが虫垂炎です。盲腸の先に垂れ下がって付いている虫垂に炎症が起こり、腹痛や嘔吐、発熱がみられます。右下腹部痛が一般的な症状として知られていますが、みぞおちやおへその周りが最初に痛み、右下腹部へと痛みが移っていきます。このほか機嫌が悪くなったり、元気がなくなったり、腹痛で日常生活に支障があったり、歩けなかったりと普段と異なる様子を示すケースがあります。

炎症が強くなると虫垂が破れて膿が外に出て腹膜炎を起こすこともあるので、腹膜炎になる前段階で発見して手術して治療することが重要です。

医師と母と子供-写真

腸重積症

生後6か月前後の乳児によくみられます。急に顔面蒼白となってぐったりし、便に粘液と血が混じり、嘔吐がみられます。小腸の終わりにある回腸が大腸に入り込み、腸管の血管が破れて血が出るほか、腸の中の便が詰まって腸閉塞を起こします。

血液の流れが阻害されて腸の組織が死んでしまう病気なので、一刻も早い診断と治療が必要です。肛門から圧を加えて腸を整えたり、腸を切り取ったりする方法があります。

ヘルニア嵌頓(かんとん)

鼠径ヘルニア・臍ヘルニア(脱腸)によって出てきた腸の一部が、締め付けられて組織が壊死状態を嵌頓といいます。鼠径部や臍が赤く腫れて激しい痛みが生じます。嘔吐が続くことが多いです。

便秘などを伴わず子供が痛んで不機嫌になった場合は、慌てず病院を受診しましょう。修正手技により治ることもありますが、改善がない場合では手術で対応していくのも一般的です。

まとめ

まだ自分でお腹の痛みを訴えることのできない乳幼児では激しく泣く、機嫌が悪い、食欲がない、ぐったりしている、顔色が悪い、嘔吐する、お腹を触ると嫌がるなどの様子で原因を判断していきます。

言葉で訴えられる子供の場合でも、どの程度痛いのか、どこが痛いのか、心因性のものではないかなど腹痛の原因を判断するのは難しく、保護者の情報が重要です。普段から子供の様子をよく観察し、「何かおかしい」と思ったら早めに医療機関を受診するようにしましょう。