妊娠は、女性にとって大きな変化をもたらします。身体的にも精神的にも社会的にも、まったく今までと違う状況に直面します。子供を持てる状況にないのに妊娠した場合、妊娠を継続しないという選択が必要になるかもしれません。望まない妊娠を避けるためには、避妊法をきちんと理解し、正しい使い方をすることが必要になります。ここでは、避妊方法についてお話ししたいと思います。

目次

避妊の方法は?

避妊の方法としては、下記の方法が挙げられます。

経口避妊薬

OC(Oral Contraceptives)とも呼ばれ、経口避妊薬(低用量ピル)のことをいいます。経口避妊薬には、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンが含まれており、ホルモンを一定時間ごとに取り込むことによって、排卵の抑制、子宮頸管粘液の分泌抑制(子宮内へ精子が入りにくくなる)、子宮内膜を妊娠しにくい状態にするなどの避妊効果を発揮します。

長所としては避妊効果が非常に高く、使用法が簡単で、女性の意思で避妊ができる点が挙げられます。また、生理痛が軽くなったり、月経周期が正しくなるなどの副効果から月経困難症や内膜症の治療にも用いられることもあります

短所としては、医師の処方が必要なことや、保険適応ではないため、薬代が月2000~3000円程度かかること、1日1錠毎日飲むことが必要になり、飲み忘れによって避妊効果が下がる場合があることなどが挙げられます。また、頻度は非常に低いのですが、血栓症という、血管内に血の塊ができやすくなる状態を引き起こす可能性があります。

IUD

IUD-写真
IUDとは子宮内避妊用具のことで、避妊の目的で子宮内に小さな装置を装着します。いろいろな種類がありますが、その中でも銅が付加された銅付加IUDやホルモンが付加されたホルモン付加IUD(IUS)が高い避妊効果があるとされています。銅付加IUDは、精子や卵子に作用して受精を阻害したり、精子の運動性を阻害する効果があります。ホルモン付加IUDはこれらの効果に加えて、着床のために必要な子宮内膜の厚みを薄くし、より確実な避妊効果を発揮します。

長所として、一度器具を挿入することで、数年にわたって避妊効果が持続します。短所として、銅付加IUDの場合は生理量が増えることがあること、医師による装着、除去が必要になることなどが挙げられます。

レボノルゲストレル放出IUS

レボノルゲストレル放出IUSは、女性ホルモンの一種である黄体ホルモン(プロゲステロン)を、持続的に放出する子宮内避妊用具(IUD)です。銅付加IUDと同様に子宮内に避妊具が入っていることで着床を妨げるほか、ホルモンの作用で子宮内膜の厚みを薄くし、より高い避妊効果を得ることができます。

長所として、一度器具を挿入することで、数年にわたって避妊効果が持続します。もっとも効果が高く安全な避妊方法とされていますが、短所として、装着後初期に生理時以外の出血が持続する場合があること、医師による装着、除去が必要になることが挙げられます。また、月経量の減少や月経痛の改善にもつながるため、過多月経や月経困難症の治療としても用いることができます。

コンドーム

日本で最も普及している避妊方法です。男性の性器にかぶせるゴム製の袋で、精子の膣内への放出を防ぐことができます。

長所としては、手軽に入手できること、エイズなどの性感染症の予防効果があることなどが挙げられます。短所としては、装着ミスや破損などによる避妊失敗率がほかの方法に比べて高いこと、男性主導型の避妊方法であるため、男性の協力が必要なことなどが挙げられます。

避妊手術

女性の場合は卵管、男性の場合は精管を糸で結ぶもしくは切断することで、卵子や精子の通路を遮断する方法になります。

長所としては、最も確実な避妊方法であること、短所としては、一度手術をすると妊娠がほぼ不可能になることが挙げられます。

避妊具別の失敗率

どの避妊方法も100%の避妊効果はありませんが、正しい使用法を守れば1%以下の失敗率に抑えることができます。各避妊法の失敗率(正しく使用しているにもかかわらず妊娠した確率)は下記のようになります。

種類 失敗率
経口避妊薬 0.30%
銅付加IUD 0.60%
レボノルゲストレル放出IUS 0.20%
コンドーム 2%
避妊手術 女性 0.5%
男性 0.1%

まとめ

妊娠・出産の時期は、女性のライフプランにおいて非常に重要となります。妊娠によって自分の思い描いていたライフプランとは違う道を進むことになるかもしれませんし、妊娠自体を諦める結果となるかもしれません。

避妊の方法は上記のようにいろいろあります。コンドームが最も普及しており、手に入りやすいですが、男性主導の避妊方法ですので、男性が嫌がったり拒否した場合には、避妊効果はありません。また、国際的にはコンドームは「避妊法」ではなく「性感染症予防」のための道具です。現在妊娠を希望していないのであれば、確実な避妊法として経口避妊薬やIUDの使用を検討しましょう。

自分の身を守れるのは自分しかいません。まずは産婦人科で、自分に適した避妊方法を相談してみることをお勧めします。避妊にもし失敗してから考えるのではなく、避妊が必要になったら(パートナーができたら)自分でできる避妊方法を考えるのが女性のたしなみです。