緊急避妊法は、望まない妊娠を避けるための最後の砦と言えます。避妊に失敗した場合や、避妊を行わずに性交渉を行った場合に、妊娠を防ぐことのできる最終手段で、もしもの時に備えて知っておくべき方法です。ここでは、緊急避妊法の種類や副作用などについてお話ししたいと思います。

目次

緊急避妊法とは

性交後にコンドームが破けたり、はずれているのに気付いた場合や、避妊せずに性交を行った場合などに、妊娠を防止するための方法を緊急避妊法といいます。方法として、緊急避妊ピル(アフターピルとも呼ばれます)を内服する方法と、銅付加IUDという避妊具を子宮内に挿入する方法があります。どちらも、医師の診察・処方(銅付加IUDは装着も)が必要なため、婦人科への受診が必須になります。

緊急避妊ピルは妊娠する確率を下げますが、100%防止できるわけではなく、数%に妊娠が起こることもあります。妊娠を防げたかどうかは緊急避妊を行った後すぐにわかるものではないため、医師の指示に従って再度受診の必要があります。

また、緊急避妊法は、性感染症の予防効果はないため、その可能性がある場合には医師に相談する必要があります。

緊急避妊ピルについて

アフターピル

緊急避妊ピルは、排卵の抑制や排卵の遅延によって妊娠を防ぐ効果があるとされ、性交後72時間以内(3日以内)に内服する必要があります(72時間を超える場合でも、120時間以内の場合では、妊娠率を低下させる効果が期待できます)。副作用として、頭痛、悪心(気持ち悪さのこと)、生理周期の乱れ、不正出血などがみられる場合がありますが、副作用が出ても24時間以上続くことはないとされています。また、現在緊急避妊用の薬として発売されているものは黄体ホルモンしか含まれていないため、吐き気や頭痛が出ることも少なく、症状が出ても軽微で済むことがほとんどです。

注意点として、緊急避妊ピルを内服後、次の生理が来る前に性行為をすると、再度緊急避妊を行うことはできません。服薬後は、確実に避妊を行えるように、避妊方法を医師に相談しておきましょう。すぐに低用量ピルを服用しない場合は、確実な出血を認めるまでは性行為は厳禁です。コンドームで確実な避妊はできませんので、これを機会に正しい避妊方法についても知っておきましょう。

また、緊急避妊ピルを使用したにも関わらず妊娠してしまった場合、赤ちゃんに悪い影響が出るようなことは今までありませんので安心してください。

銅付加IUDについて

銅付加IUDは、銅イオンによる精子の運動性低下によって受精を阻害したり、避妊具を子宮内に留置することで受精卵の着床を阻害するなどの避妊効果があるとされています。すでに受精が起こっている場合にも、着床を阻害する効果が期待できるため、性交後120時間以内(5日以内)に銅付加IUDを挿入することで避妊効果が発揮できるとされています。

銅付加IUDは通常の避妊法としても使用され、挿入後数年にわたって避妊効果が持続します。副作用として骨盤内感染症が確認されていますが、発生するのは1.6/1000人と、かなり低い確率です(日本産婦人科学会より)。

IUDをつけた状態で妊娠した場合でも、赤ちゃんに悪い影響は出ないとされています。
ただし、IUDを除去することが、自然流産につながる可能性はあります

まとめ

緊急避妊法を知っておくことは、もしもの時に臨まない妊娠を避けるために非常に重要です。産婦人科を受診し、避妊に失敗した旨を告げると、緊急避妊法について説明と処方がなされますので、医師の説明に従い、正しい方法で使用するようにしましょう。

また、緊急避妊法で大切なのが、受診のタイミングです。早期に受診しなければ、使用できる避妊方法も限られますし、緊急避妊の成功率も下がってしまいます。緊急避妊の必要がある場合には、迷わず早期に産婦人科を受診しましょう。

排卵日じゃないから大丈夫、膣外射精だから大丈夫ともし思っている方がいましたら、それは大間違いです。排卵日がずれたり、精子の生存期間が長かったりすると、どのタイミングでも妊娠の可能性はありますし、そもそも膣外射精は避妊方法ではありません。射精時以外にも精子は放出されているため、十分妊娠の可能性があります。正しい知識を持って避妊を行うようにしましょう。