アイロンやポット、暖房器具…私たちの周囲には高温になるものが多く、やけど(火傷)はとても身近な怪我になっています。もしやけどをしたら、一刻も早く流水で冷やすことが先決です。その上で、なるべく跡を残さないために、適切に対処する必要があります。ここでは、やけどで水ぶくれができてしまったときの処置についての3ステップを紹介します。
やけどにはどんな種類があるの?
皮膚は表面に近い表皮とその下にある真皮からなっています。やけどは皮膚のどれだけ深くまで損傷が及んでいるかによって、大きく3つに分類されます。
- I度熱傷―損傷が表皮(皮膚の一番上の層)だけの場合。皮膚が赤くなる。
- II度熱傷―損傷が真皮(皮膚の中間層)まで及んでいる場合。水ぶくれ(水疱)ができるのが特徴。 II度熱傷はさらに2つに分けられる。
- 浅達性―損傷が真皮の浅い部分にとどまる。
- 深達性―損傷が真皮の浅い部分と深い部分まで達する。
- III度熱傷―表皮、真皮、脂肪層の3層すべてに損傷が及んでいる場合。汗腺・毛包・神経終末も破壊される。
II度熱傷で全身の15%以上、III度熱傷で全身の2%以上に損傷が広がっている場合は、命にかかわる状態であることが多いため入院治療することになります。ただし、やけどの程度は受傷後にすぐは判断できないことが多いため、やけどをしたら継続して病院へかかるのがお勧めです。
水ぶくれ処置の3つのステップ
水ぶくれができるのはII度熱傷です。浅達性(真皮の浅い部分までの損傷)であれば、家庭での処置だけで治ることもありますが、やけどの深さは専門医でも判断が難しいといいます。やけどした当初は赤くなっていいただけでも、翌日になって水ぶくれになっていることがあります。水ぶくれができたら破らずに、以下の通り処置をした上で、早めに病院に行くことをお勧めします。
ステップ1:流水でしっかり冷やす
やけどをしたら、水ぶくれができているか否かに関わらず、すぐに水道水などの流水で冷やすことが大切です。その際、以下の点に留意してください。
- 水道などのきれいな流水で患部の汚れを洗い流したあとは、優しく流水を流しあてておく。
- 流水を当てるのが難しい場合は、洗面器などに水を貯めて患部を冷やす。
- 冷やす時間の目安は10~30分ぐらい。
- 体温の低下や更なる損傷を防ぐために長時間冷やしすぎない(特に寒い時期や、乳幼児・高齢者に配慮する)。
- 氷などを使う場合は清潔なガーゼ等でくるむようにする。
ステップ2:水ぶくれを清潔なガーゼ等で覆う
やけどをした皮膚は細菌に感染しやすくなっています。細菌感染をおこすと損傷が深くなり、治るまでに時間がかかる上、傷跡やひきつれなどの後遺症がひどくなります。そこで、冷やした後に患部を清潔なガーゼ等で覆い、水ぶくれを破らないように保護します。
もし水ぶくれが破れてしまったら、患部にある薄い皮をはがさないように注意します。その場合も、流水で冷やした後に患部を清潔なガーゼ等で覆います。
※ガーゼ等で覆いきれないような広範囲のやけどの場合、医療機関による緊急処置が必要です。清潔なシーツや食品用のラップで患部を保護し、すぐに救急車を呼びましょう。
ステップ3:薬などはつけず、できるだけ早く病院へ
塗り薬や色のついた消毒薬などをつけると、患部の状態がわかりにくくなり、場合によっては損傷がひどくなることがあります。水ぶくれができるようなやけどでは、何もつけずに、できるだけ早く病院へ行くことが大切です。
ちょっとしたやけどでも適切な治療を
やけどをしても水ぶくれが小さかったり、あまり痛みを感じない場合、そのまま放っておいてしまいがちです。でも、やけどは表面の色や痛みに関わらず、深くまで損傷が進んでいることがあります。特にカイロや湯たんぽ等が長時間触れることによる低温やけどでは、皮膚の深くまで損傷していることが多いので注意が必要です。湯たんぽによる火傷は、近年のエコブームから非常に増えています。湯たんぽは寝る前にお布団を温めるために使用して、寝るときには布団から出しましょう。
まとめ
やけどをきれいに治す秘訣は、一刻も早く治療をすることです。やけどをしたらまず流水で冷やして、特に水ぶくれができたら、ガーゼで覆い、薬などはつけず、できるだけ早く病院へ行くようにしましょう。慌てずに適切な処置をすることができます。また、これを機会に生活まわりを見直すなど、やけどをしにくい環境を整えてみてはいかがでしょうか。