軽度のやけどであれば、傷跡が残る心配はいりません。しかし、見た目の傷が小さくても傷の深さがある場合、傷跡が残ってしまうことがあります。ケロイドや肥厚性瘢痕は赤く盛り上がる性質のため、やけどの部位や傷の大きさによっては目立ってしまいます。残ってしまった傷跡は治すことはできないのでしょうか?ケロイドや肥厚性瘢痕に対する治療法について説明していきます。

傷跡の種類については「ケロイド?肥厚性瘢痕?傷跡の種類と原因」をごらんください。

目次

やけどの治療は何科にかかればいい?

やけどを負ってしまったら、とにかくすぐに冷やすことが重要です。冷やすことによってやけどの進行を抑えることができ、傷跡も最小限の状態にとどめることができます。

やけどの傷が小さく、皮膚の表面だけが赤くなる軽度のやけどは、市販の塗り薬で症状はおさまります。しかし、軽度だと思っていたのにじつは傷が深かったということもあります。特に冬場に多い湯たんぽなどによる低温やけどは、思ったより傷が深いことが多いです。判断に迷ったらすぐに受診しましょう。

水ぶくれができてしまった場合は、傷の深さによって傷跡が残る可能性があり、早めの受診が必要です。やけどを負ったときに早く受診することで、ケロイドや肥厚性瘢痕にならないように治療を始めることができます。やけどで受診する場合は、皮膚科もしくは形成外科がいいでしょう。

ただし、傷が深くて広い範囲のやけどは、命にかかわる危険性があるため、救急科が担当する場合があります。

水ぶくれができてしまった場合の対処については、「やけど(火傷)による水ぶくれ処置の3ステップ」に詳しくまとめてありますのでご参照ください。

残ってしまった傷跡は何科で治療できる?

診察室

やけどの傷が赤く盛り上がり、ケロイド肥厚性瘢痕が疑われるときは、形成外科皮膚科を受診するのがいいでしょう。とくに総合病院や大学病院の形成外科は、傷跡をきれいに治すことに力をいれている専門医がいる場合があります。専門医はさまざまな症例を診ていますし、相談もしやすいのではないでしょうか。

残ってしまった傷跡にはどんな治療法があるの?

傷跡が残ってしまった場合、どの段階で治療を始めるかによって治療方針も変わってきますが、まずはテープなどを使って保存的に治療します。その経過をしっかりと観察し、効果を判断していきます。保存的な治療で効果が得られない場合やひきつれや運動障害などがある場合は、外科的な治療に進みます。

1.保存的治療

飲み薬

抗アレルギー剤であるトラニラスト(リザベン)が有効とされています。すぐに傷が消えるものではありませんが、痛みや痒みなどの症状を抑え、病変自体の沈静化に効果があると考えられています。

貼り薬

シリコンジェルシートポリエチレンジェルシートなどがあります。保湿や傷の安静、固定の目的で使用します。

ステロイド療法

ステロイドには炎症を抑える効果があります。軟膏テープ局所注射でステロイドをケロイドや肥厚性瘢痕に投与します。ステロイドと聞くと不安に思われる方もいるのではないでしょうか。専門医からしっかりと説明を受け、納得したうえで治療に同意しましょう。

圧迫療法

ケロイドや肥厚性瘢痕をスポンジなどを用いて圧迫します。ほかの治療と合わせて行うことがほとんどです。

レーザー治療

ケロイドや肥厚性瘢痕の治療にレーザーを使用することがあります。ただ、その効果はまだはっきりしておらず、各病院で試行錯誤が繰り返されています。

2.外科的療法

手術療法

赤く盛り上がった目立つ部分を取り除いたり、ひきつれや運動障害を軽減する目的で行います。ただ、手術の傷がまたケロイドや肥厚性瘢痕になる可能性もあります。そうならないためにも縫合を工夫し、術後の処置では保存的治療も併用していきます。

放射線治療

手術のあとの再発防止のため、放射線治療(電子線照射)を行う場合があります。手術後の縫合創から再びケロイドが再発することを防ぐ効果があるためです。放射線治療には発がん性などの可能性もありますが、はっきりとした因果関係は証明されていません。放射線の専門医とともに安全な方法で治療をすすめていきます。

まとめ

やけどでのケロイドや肥厚性瘢痕はもちろんのこと、その他の傷跡で気になる場合は一度、専門医に相談してみてはいかがでしょうか。完全に元どおりに治すことは難しいかもしれませんが、さまざまな治療法を組み合わせることで、ご自身の納得できる効果が得られるかかもしれません。仕方がないとあきらめる前に、ぜひ一度受診をしてみてください