徐々に冷えてくるこの季節、防寒のためにカイロやストーブを使う方も多いことでしょう。カイロのパッケージに必ず書かれているのが、「低温やけど注意」という注意書きです。見かけたことがある方が大半だと思いますが、実際に何を注意したら良いのか、そもそも低温やけどとは何なのかをご存知ですか?普通のやけどとは、何が違うのでしょうか。今回は、意外と知らない「低温やけど」についてまとめました。

目次

低温やけどと普通のやけどの違いって?

一般的なやけどは、熱いものに瞬間的に触った時に起こることがあります。しかしこれとは違い、温かくて快適だと感じる温度のもの(40~60度程度)であっても、長時間触れていることで起こるのが低温やけどです。

50度のものなら3分間42度程度のものでも6時間の接触を続けていると、低温やけどが起こるといいます。

低温やけどの症状とは

カイロ

低温やけどでは、一般的なやけどのような熱さや痛みはなかなか感じません。自覚症状を伴わないこともあるため、暖房器具の使い方に気を配り、予防を行う必要があります。

主な症状として、以下のようなものがみられることがあります。

  • 皮膚が赤く腫れている
  • 水ぶくれができている

低温やけどが最も起こりやすいのは、です。脚は腕や体幹と比べると感覚が鈍いため、低温やけどを起こしやすいとされています。

低温やけどは普通のやけどと違い、熱さや痛みはあまり感じないので「大したことがない」と思われがちです。しかし低温やけどの場合、熱源と接触している時間が長いため、見た目以上に皮膚の深くまで損傷していることがあります。その場合、普通のやけどよりも重症化しやすく、治りにくくなってしまうのです。

低温やけどを予防するポイント

こたつとねこ

低温やけどを予防するために、暖房器具の利用時に注意すべき事柄をまとめました。

使い捨てカイロ

使い捨てカイロを使用する際は、衣類の上から肌に当てるようにしてください。特に、貼るタイプのカイロの場合は必ず衣類の上から貼るようにし、熱いと思ったらすぐに剥がし、カイロを貼ったまま寝ないようにましょう。

また、カイロを当てた場所をサポーターなどで圧迫すると、血流がおさえられるため、皮膚の温度が上がりやけどを起こしやすくなるので注意してください。

湯たんぽ、電気あんか

就寝前に布団などの中に入れ、寝る前に寝具から取り出してください。

寝ている間は、感覚が鈍くなります。また就寝中は同じ姿勢を長時間保つことも多いため、厚めのタオルで包んだとしても低温やけどのリスクはなくなりません。

電気こたつ、電気ストーブ、ホットカーペット

これらの器具を使用したまま眠らないようにしましょう。また、電気ストーブの場合は、近くに置いたまま長時間身体の同じ部位を温めないようにしてください。

加えて、カイロや湯たんぽなどと他の暖房器具を併用すると、思った以上の高温になることがありますので注意してください。

高齢者・乳幼児・皮膚の感覚が鈍っている方糖尿病患者で神経障害が進行している方など)の場合、特に症状に気付きにくいことがあります。周囲の方が上記の内容に気を配ってあげてください。

また、低温やけどを起こしやすいのは体の不自由な方や病気・怪我をした方です。こういった方々の場合も、自分では暖房器具の位置や向きを変えることができませんので、周囲が気をつける必要があるでしょう。

泥酔しているときも知覚が鈍くなっている場合があり、低温やけどのリスクが高まります。酔っているときの暖房器具の使用にも注意しましょう。

もし低温やけどを起こしてしまったら…

待合室

低温やけどは、気付いた時に水で冷やしたとしても、皮膚の奥まで冷やすことはできません。さらに、重傷化した場合は皮膚の細胞が死んでしまうため、痛みを感じなくなっている場合もあります。治療には2ヶ月以上かかることも稀ではありませんし、症状の度合いによっては皮膚移植が必要となることもあります。

ですので、低温やけどを起こしてしまった場合は放置せずに皮膚科を受診するようにしてください。

最後に

低温やけどは普通のやけどと違い、症状に気付きにくい上、起こってしまうと治療には時間がかかる症状です。

上記で紹介した暖房器具以外にも、床暖房や保温便座などでも低温やけどを起こすことがあります。熱源と長時間接しすぎない・少しでも熱いと感じたら暖房器具を止める(外す)など、予防をしっかりと行い、暖房器具とうまく付き合ってくださいね。