歯は健康にも美容にも大きく関わるもの、美しい歯並びであれば笑顔にも自信が持てますね。今回は歯並びが悪くなる原因について解説します。

目次

歯並びを悪くする原因とは?

歯並びは大きく分けて2つの原因からなるとされています。
それは先天的な原因と後天的な原因です。

先天的な原因

先天的な原因とは、主に生まれながら決まっている遺伝のことを指します。

顎や歯の大きさ・形は遺伝によって決定されることが多いため、開咬(奥歯が咬んでいるのに前歯が咬み合わない)・上顎前突(出っ歯)・叢生(ガタガタした歯並び)・反対咬合(受け口)・顎変形症などの不正咬合は特にご家族の影響を受けやすくなります。
親子の顔が似るのはそのためですね。

また、意外と知られていませんが、生まれつき歯の本数が少ない「先天欠如歯」や多い「過剰歯」も歯並びを悪くする先天的な要因となります。

後天的な原因

後天的な原因とは、主に環境要因のことを指します。

基本的に、歯列は内側の筋肉(舌)と外側の筋肉(頬や口唇)の間に位置し、その力関係のバランスが成立するところに安定します。

例え非常に軽い力であったとしても、日常的に絶え間なく力が加わる状況がある場合、結果的に歯が動いてかみ合わせが悪くなることがあるのです。

頬杖-写真

指しゃぶり

3歳くらいまでの子どもであれば誰でも行うのが指しゃぶりです。しかし小学生になっても指しゃぶりがのこっている場合は歯の生える位置やあごの発育にも悪影響を及ぼすことがありますので注意が必要です。

指しゃぶりが続くと、上顎前突、開咬、交叉咬合(上下の歯の位置が逆転している)などを引き起こすことがあります。

舌癖(ぜつへき):舌のくせ

舌の力は意外と大きく数百gあるといわれています。一方、歯の移動には数十gほどの持続的な力があれば十分です。そのため、舌が不適切に突出する癖があれば、歯並びへ大きな影響を与えます。

舌が突出する方向・場所によって、開咬・上顎前突・下顎前突・叢生・空隙歯列など様々な不正咬合が生じます。

咬爪癖(こうそうへき)・咬唇癖(こうしんへき)

爪や唇を咬む癖にも注意が必要です。日常的に爪や唇を咬むことで歯に強い力が加わると、歯が動いてしまい、不正咬合を起こすことがあります。

乳歯が早く抜けてしまうこと

通常、乳歯は自然に抜けて永久歯に生え変わりますが、むし歯によって本来の時期よりも早く歯が抜けてしまうことがあります。この場合、周囲の歯は抜けたスペースに向けて寄ってくる傾向があるため、歯並びが乱れる原因となります。また、歯が抜けたあとのスペースに舌が突出する癖がついてしまうことで歯並びに影響が出ることもあります。

口呼吸:お口ぽかん

人間の正しい呼吸方法は鼻呼吸です。

扁桃腺肥大やアレルギー性鼻炎などを慢性的に患っていると、鼻呼吸が難しいため口呼吸が習慣化しやすくなります。舌は本来、上顎に軽く触れているのが適切です。口呼吸になると舌位が変化し様々な舌癖を引き起こし、歯並びを乱す原因となります。

食べ物をよく噛まない(早食い・丸飲み・前噛み・片側噛み)

食べ物は、口を閉じて左右の奥歯でしっかりとすりつぶしながら食べることが基本です。もし、この基本が守られずに食べていると、咀嚼が不十分となるだけでなく、頬と舌、口唇と舌の不調和がおこり、舌のコントロール力低下、あごや口唇のゆがみ、あごが細く十分に発達しない狭窄歯列弓などの原因となります。口を開けてクチャクチャと音を立てる食べ方、片側ばかりで噛むなどの習慣は改めたほうがよいでしょう。

態癖(頬杖・うつぶせ寝・横向き寝・猫背など)

日常生活の中で無意識に行っているさまざまな身体の癖のなかには、歯並びに悪い影響を及ぼす癖があります。例えば頬杖、うつ伏せ寝、横向き寝などを毎日行っている場合、頭の重さが成人で約5㎏、小児でも3㎏あり、これは矯正力の何十倍もの力に相当するため、歯並びや顎の変形に関与すると考えられています。他には、猫背、食いしばり、歯ぎしりなども歯並びに関係するといわれています。

歯並びが悪いことによる影響

歯並びが悪いことは、見た目の問題だけでなく、身体全体に様々な影響を及ぼします。

むし歯になりやすい

歯並びがデコボコしていると、歯ブラシが隅々まで届かなくなり、磨き残しができてむし歯の原因となることがあります。

歯周病になりやすい

磨き残しによって歯に汚れがたまると歯茎にも悪影響を及ぼす可能性があります。細菌が歯と歯茎の間で繁殖して炎症を起こすからです。治療しないで放置してしまうと、歯を支えている骨が溶けてしまい歯がぐらつき物が食べられなくなってしまいます。また、かみ合わせが悪いと、一部分の歯だけに強い負担がかかり、歯周病の進行を早めることもあります。

肥満の原因になる

かみ合わせが悪いとしっかりと噛めないために、胃や腸に余分な負担をかけ消化不良を起こす原因となります。早食いや食べ過ぎの元となり、肥満にも繋がります。

頭痛、肩こりの原因になる

歯をかみ合わせたときに、左右のあごに加わる力のバランスが崩れるために、あごだけでなく頭を支えている首の筋肉まで不自然な力が伝わってしまいます。結果として、肩や首の神経や血管を圧迫して頭痛や肩こりの原因となります。

内向的になりやすい

歯並びが悪いことを気にして人前で歯を見せて笑えなくなったり、発音しにくい言葉ができたりすることから、性格や行動までが内向的になることもあります。

まとめ

歯並びは美容面だけでなく健康面にも大きく関与します。歯並びが悪くなる原因には、日常の様々な癖が影響している場合があります。思い当たる症状があれば、お近くのかかりつけ歯科医院もしくは矯正歯科専門の歯科医院を受診しましょう。