歯の矯正治療では実際に装置をはめて治療を開始する前に相談や検査、診断、準備などを行います。矯正治療後も安定を促すための保定期間が必要です。歯科矯正治療の流れと、矯正治療中の気になる痛みや抜歯について説明していきます。
歯科矯正治療の流れ
歯の矯正治療は初回診察時の相談、検査、診断(治療方針の決定)、治療前の準備、矯正治療、保定という流れで進んでいきます。
初回時相談
見た目の悩みや日常生活に支障をきたす症状がある場合には矯正治療の対象となります。
初回診察時の相談では歯並びや噛み合わせの状態を確認し、大まかな治療方針や治療にかかる期間、費用、治療方法などについての説明を受けます。
検査
口腔内の写真撮影、歯型、X線検査などの検査が行われます。
顔面の非対称性や歯並び、噛み合わせの状態をみます。
診断(治療方針の決定)
将来的な予測も踏まえたうえで、効果的な治療方法の提案が医師からあります。目立ちにくい装置や痛みの少ない治療法の希望など、効果や治療期間、見た目、費用などの希望を伝えながら最良の装置での治療方法を決定していきます。
矯正装置によってそれぞれメリット、デメリットがあるので、患者さんの状態と希望に合うものを決めていきます。
治療前の準備
虫歯や歯周病がある場合には矯正治療を行う前に治療を行う場合があります。また、場合によっては矯正治療を行う前に抜歯が必要となることもあり、処置や治療が必要となってきます。
矯正治療
実際に矯正装置をつけて歯を動かしていく治療を行います。1か月に1回程度の通院で、状態を確認しながら毎回必要な処置を行います。
代表的な矯正装置にマルチブラケット装置があります。小さな金具を歯の表面につけ、ワイヤーを通して圧力をかけて歯を少しずつ動かしていきます。銀色の金属製のものと、白や透明の見た目に目立ちにくいプラスチック製またはセラミック製のものとがあります。
歯の裏側に矯正装置をつけて見た目にわかりにくいリンガルブラケットや矯正用インプラントを顎に埋め込んでマルチブラケットと併用して行う治療方法もあります。透明のマウスピースを歯に装着して行う治療方法もありますが、いずれも患者さんにとって最適な器具を選んで利用します。
保定
矯正治療で歯を動かし終わったら、歯並びの安定のために保定装置を装着します。歯並びが安定するまでの大切なステップです。
治療の期間
矯正治療期間は患者さんの口の状態や、治療方針によっても異なってきますが、1~3年程度とされています。簡単な治療では半年程度で終わることもありますが難易度の高い治療の場合には治療に長期間要すこともあります。矯正治療後の保定期間は1~2年程度必要です(日本歯科矯正専門医学会より)。保定期間後も定期的に口腔内の状態を確認します。
抜歯はしなくてはダメ?
抜歯を行わないで済む治療法を望むのは医師も患者さんも同じです。しかし、顎の大きさに対して歯があまりにも大きすぎる、口を閉じることができないほど上の前歯が突出しているなど、状況によっては歯並びや噛み合わせの改善のためにどうしても抜歯が必要となる場合があります。
治療中に痛みはある?
マルチブラケット装置を装着して歯を動かす治療が始まると、歯茎や歯が押される痛みや装置が口の内側に擦れて痛みが出ることもあります。
また、食事の時に硬いものを噛む際に歯が揺れて痛みが生じることもあります。子供は3日間程度、大人は1週間程度痛みがみられるとされています(日本矯正歯科学会より)。通常、徐々に痛みは軽減してきます。
まとめ
歯科矯正治療は矯正治療を開始する前に治療方針を決定するための相談や検査を行い、口の中を虫歯や歯周病の影響がない状態にしてから開始します。
抜歯をしなければならない場合もあり、痛みも多少なりは生じます。歯や顎の状態によっては治療が予想よりも早く終わることも長くかかることもあります。治療は長期間かかるので主治医とコミュニケーションを良く取りながら進めていくことが大切です。