私たちの体の中に流れている血液や体液には、塩分が含まれており、生きていくためには欠かせないものです。しかし、摂りすぎは高血圧や腎臓病の原因となり、健康を脅かす敵となってしまうこともあります。日本人は、醤油や味噌などを利用することが多く、健康だと思い込みがちな和食中心の食生活でも、塩分を過剰に摂取してしまいがちです。それでは、1日の塩分摂取の目安量や、摂りすぎた時にとり入れたい食品などについて、詳しく解説していきます。

目次

塩分の摂取状況と摂取目安量

平成27年度の国民健康・栄養調査の結果によると、食塩の平均摂取量は、男性で11.0g、女性で9.2g、全体では10.0gとなっています(厚生労働省|平成 27 年 国民健康・栄養調査結果の概要)。男性は女性に比べると、食事の量が多い傾向にあるので、必然的に食塩の摂取量も増えてしまいます。しかし、過去からの推移を見ると、塩分摂取量は徐々に減少傾向にあり、健康への意識が高まっていることが感じられます。

塩分の摂取目標量は、厚生労働省によって定められた日本人の食事摂取基準に掲載されています。成人男性は8.0g未満、成人女性は7.0g未満となっていますが、この数値は上限値であり、実際に健康を維持するために必要な量は、1.5g(推定平均必要量)と僅かです。

現在の平均摂取量と比較すると、男性も女性も約2〜3gこの上限値をオーバーしていることがわかります。国民全体的に、減塩への意識は高まってはいますが、それでもまだまだ摂りすぎであることには変わりありません。

すぐに実践できる!減塩のポイントとは?

香辛料

塩分の摂りすぎは高血圧の原因となり、心臓病や脳血管疾患、腎臓病などの深刻な病気を引き起こしてしまうこともあります。普段から減塩を意識し、薄味を心がけることが大切です。

減塩の工夫

  • 汁物は汁を全部飲まない
  • 出汁は天然のものから
  • 加工品や外食は塩分量をチェックする
  • 減塩食品を利用する
  • 香辛料や薬味、酸味を活用する
  • 新鮮な食材を使う

塩分の摂取を減らすには、できるだけ手作りのものを食べることが有効ですが、忙しい日々の中で食事の管理までは手が届かないという人も多いかと思います。次の項目で、塩分の排出に役立つ食品をご紹介いたします。

カリウムの役割と多く含む食品

ミネラル成分のカリウムには、塩分を排出する働きがあります。高血圧やむくみの予防にも効果がありますので、「塩分を摂りすぎたな」と感じた時は、積極的にカリウムをとり入れた食事をしてみましょう。生活習慣病予防のためのカリウムの摂取目標量は、1日3,500mgとなっています。

カリウムが多く含まれる食品(100g中のカリウム量)

バナナ 360mg
ほうれん草(茹) 490mg
トマト 210mg
切り干し大根(乾) 3,500mg
わかめ(生) 730mg
さつまいも(蒸) 480mg
じゃがいも(蒸) 330mg
大豆(茹) 530mg
木綿豆腐 140mg

出典:文部科学省|食品成分データベースを元にいしゃまち編集部が作成

一つの食材から摂ると、栄養バランスが偏ってしまうので、色々な食品を選んで、バランス良くカリウムをとり入れましょう。また、腎臓疾患を持病に持つ人は、カリウムの排泄がうまくできないことがあります。カリウムの摂取上限量が決められている場合もありますので、必ず主治医に相談してから計画を立てるようにしましょう。

まとめ

レトルト食品や外食など、食の簡便化が進む近年では、塩分の摂取量はまだまだ多めと言えます。高血圧はさまざまな病気の原因となり、予防することで重大な疾患のリスクを減らすことが可能です。普段から薄味を心がけ、食材の持つ自然な味わいを楽しめるような習慣を身に付けていきましょう。