最近は「ベジファースト」という言葉や「時間栄養学」によって、食べる順番が生活習慣病の予防に役立つとの考えが広まってきています。同じ食事をしていても、食べる順番を変えることで血糖値の上昇のスピードを緩やかにすることができるようです。

この記事では、血糖値の急激な上昇を防ぐ食べ方のコツについて解説していきます。糖尿病予備群の人は、食事のカロリーや内容だけではなく、「どう食べるか」という食べ方も意識してみてくださいね。

目次

糖尿病予備群の概要と割合

糖尿病予備群は、糖尿病と診断されるほど血糖値が高いわけではないが、正常よりも高くなってきた状態をいいます。厚生労働省の平成28年度の調査では、「糖尿病の可能性を否定できない者」の割合は、平成19年以降減少していますが、それでも男女共に12%の割合で存在し、1,000万人もの人が該当しているそうです。

糖尿病予備群の診断目安(75gブドウ糖負荷試験による判定)

糖液を飲む前 飲んで2時間後
正常 110mg/dL未満 そして 140mg/dL未満
糖尿病予備群 どちらも当てはまらない場合
糖尿病 126mg/dL以上 または 200mg/dL以上

予備群と言われても、「食事も運動も変えるつもりはない」と思っている人は要注意です。糖尿病は血糖値が高くなること以外の症状があまり見られないので、発見が遅れてしまうこともあります。進行すると、眼や腎臓に合併症を起こし、虚血性心疾患のリスクを高めます。

予備群は糖尿病へと進行しやすい状態であり、症状がなくても生活習慣を見直す必要があります。生活習慣を改善することで糖尿病発症のリスクを減らすことができますよ。

野菜から先に食べるメリットとは?

野菜やきのこ、海藻類に多く含まれている食物繊維には、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあります。最近では「ベジファースト」という言葉もあり、野菜から先に食べる食べ方が広がってきています。

それではなぜ、血糖値は緩やかに上がる方が良いと言われているのでしょうか。まず、食事をすると血糖値が上昇しますが、それを下げるためにインスリンというホルモンが分泌されます。

インスリンの働きによって臓器細胞は血糖を取り込み、エネルギー源として使用したり、タンパク質の合成をしています。しかしインスリンが一度に大量に放出されると、細胞側の取り込みが追いつかずに血糖が余ってしまい、その分が脂肪細胞に蓄えられていきます。これが体に脂肪が溜まり、肥満になる原因です。

人気のダイエット法の一つに、低インスリンダイエットがあります。これは、血糖値の上昇を上げにくい食品を利用したダイエット法です。血糖値を緩やかに上げること、インスリンの分泌を抑えることは肥満の防止にもなります。糖尿病や肥満の予防には、インスリンのコントロールが不可欠なのです。

血糖値を上げない食べ方のコツとは?

糖尿病の食事療法は、医師から指示されたカロリーを基準として、バランスよく食事を組み合わせていきます。予備群の場合でも基本的な考えは変わりません。

食事を食べ過ぎないことはもちろんですが、同じ量でも血糖値を上げやすいものと上げにくい食べ方があるので、次のポイントを日頃から意識していきましょう。

ゆっくり時間をかけて食べる

早食いは食べたものが腸に届く時間も短いので、血糖値が上昇しやすくなります。また、ゆっくり食べることで満足感を得られやすく食べ過ぎ予防にもなります。1口につき30回以上噛むように心がけましょう。

1日3食食べる

まとめて食事を摂ると1回の量が多くなりがちです。そのような食べ方は食後の血糖値を上げやすくなります。特に朝食の欠食が目立ちますが、朝食は体内リズムを整えたり、日中の活動エネルギーを作る役割があります。1日3は健康的な体づくりには欠かせません。

色々な食品をとる

丼もの麺類などの単品料理は、短時間で消化吸収され、血糖値が上がりやすくなります。栄養バランスも偏りがちなので、幅広く色々な食品の摂れる品数の多い食事を目指しましょう。

まとめ

糖尿病食というと病気の人が食べる食事という印象が強いですが、決してそのようなことはありません。糖尿病食は適切なカロリーにコントロールされ、栄養バランスの整ったものです。肥満の人、糖尿病予備群の人だけではなく、病気を予防したい全ての人にオススメです。