飛行機に乗ったとき、耳のつまりや痛みを経験した方は少なくないと思います。
このような症状を「航空中耳炎」と言いますが、なぜ耳に痛みが起きるのかご存じでしょうか?
今回は航空中耳炎について、メカニズムと対処法、予防法などをご説明します。

目次

航空中耳炎とは

飛行機に乗っているときの、気圧の変化による耳の詰まりや軽い痛みのことを指します。
軽症であれば数分から数時間で治ることが多いものです。

飛行機で耳が痛くなる理由

鼓膜の奥には鼓室という空間があります。鼓室は管(耳管と言います)によって鼻と繋がっており、鼻から耳には空気が送り込まれるようになっています。どうして耳と鼻の間で空気の通り道があるかというと、鼓室の内側(耳の中)と、外側(体の周り)の気圧差をなくすためです。

飛行機はフライト中、上昇や降下をします。その際に乗っている私たちを取り巻く機内の気圧も急激に変化するのです。その変化に対応できず、鼓室の内と外で気圧に差が生まれてしまうことで鼓膜が圧迫され、耳に痛みが起こります。耳管から外の空気が耳に送られれば、気圧の差がなくなり症状は治まりますが、耳管の通じが悪いと回復までに時間がかかります。

どうしたら治る?

軽症であれば、以下のような方法でその場で自分で治すことができます。

  • あくびをする
  • 唾を飲み込む
  • 飲み物を飲んでみる
  • あめ・ガムを噛む

何かを飲み込む時の「ゴクン」という喉の動きで耳管が開くため、気圧が解消されます。

小さいお子さんですと「唾をのんでみて」という指示が伝わらないこともあるため、飴をなめさせたりガムを噛ませることで唾液の分泌を促すのが良いでしょう。
離陸や着陸の際には症状が起きる前に行うことで、予防にもなります。

それでも症状が治まらない場合には、ダイビングなどで行う「耳抜き」が効果的です。

耳抜きの方法

  1. 鼻をかむ
  2. 鼻をつまんで空気を吸い込む
  3. 口を閉じ、吸い込んだ息を耳へ送り込む

この動作を耳が抜ける感じがするまで何度か繰り返しましょう。
あまり強く行うと反対に鼓膜を傷める原因となりますので、力の入れ加減に注意してください。

病院に行った方が良いときは?

航空中耳炎は自分で治せてしまうことも多いですが、以下のような時には、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

  • 症状が数時間から数日間続いている
  • 地上に着いても症状が治まらない
  • 症状が重症化した
  • 飛行機に乗ると度々症状が発生するようになった

うっ血除去点鼻薬、抗ヒスタミン薬、鎮痛剤などの薬剤で治療をすることが可能と言われています。

また、風邪を引いていたり、アレルギー性鼻炎などがある場合は、耳管の通りが悪くなっています。激しい痛みや耳鳴りを伴うこともあるため、風邪鼻炎の症状があるときは、旅行前に医療機関に相談しても良いでしょう。

まとめ

飛行機に乗ったときに耳の痛みや詰まりを感じることがあります。これは飛行機が上昇や下降を繰り返すことによって生じる気圧差によって起こる「航空性中耳炎」と呼ばれるものです。着陸すれば症状は治まりますが、長引いたり重症化するようなときは早めに医療機関を受診するようにしましょう。