耳の周辺に生まれつきできている皮膚の突起のことを、副耳(ふくじ)と言います。特に心配が必要なものではありませんが、耳だけではなく頬や首にできることもあり、見た目を気にされる方もいらっしゃるかもしれませんね。
副耳は手術でとった方が良いのでしょうか?今回は耳の形成異常の一つである副耳についてご説明します。

目次

副耳(ふくじ)とは?

耳の周辺や頬などに、イボのような突起ができる生まれつきの病気です。
1,000人中15人程度の確率でみられる疾患で、めずらしい病気ではありません。また、それ自体が命にかかわるようなものではありません。
触ると柔らかい(軟骨を含まない)ものと、硬いしこりがある(軟骨が入り込んでいる)ものがあります

片耳のこめかみ側に1つだけできることが多いですが、両耳に副耳がある方もいますし、片方に複数個できたり、耳から離れた場所(頬、首など)に見られたりすることもあります。発生する場所も大きさも人によって異なり、米粒くらいのものから大豆くらいのものまで様々です。

副耳には痛みなどの症状はほとんどありませんが、イボの根っこの部分に湿疹ができることがあります。

副耳はどうしてできる?

胎児がお腹の中で体をつくっている段階で、耳の形成に異常が出たものと考えられています。

そもそも耳の構造はとても複雑なため、変形などの異常が現れやすい場所です。
生まれつきの耳の異常には、副耳の他にも耳瘻孔(耳の周辺に小さな穴があいている)、耳垂裂(耳たぶが分裂している)、埋没耳(耳が側頭部にうまってしまっている)などの異常が報告されており、併発していることもあります。

副耳は治療すべき?

基本的には、機能的な問題はなく放っておいても大丈夫なことが多いです。

しかし副耳が顔や首にできて目立つときなど、ご本人や保護者のご希望があれば、不快な症状がなくても整容的な理由で治療することがあります。

赤ちゃんの場合には、保護者の方が「本人が大きくなってから気にする前に」「他の子にからかわれるようなことがないように」といった理由で手術を決断することもあるようです。悩まれるかと思いますが、ご家族でよく相談してみてください。

副耳の治療方法

副耳の治療は主に形成外科が担当しています。

治療には、結紮術(糸で結ぶ方法)切除術(切り取る方法)があります。副耳の大きさ、軟骨の有無などをみて、適切な手術を選んでいくことになります。治療の時期や方法は異なりますが、どちらも傷跡はわずかに残るものの、ほとんど目立たなくなります

結紮(けっさつ)術

副耳が小さく、軟骨を含まないものに対しての治療方法です。

副耳の根元のところを手術用の絹糸やナイロン糸で縛るだけの治療ですので、普通は生まれてすぐに行われます。縛られて完全に血液の流れが断たれると副耳が壊死(えし)し、1~2週間程度で自然に取れます。この方法は麻酔は必要ありません。

切除術

副耳に軟骨が含まれている場合、副耳が大きい場合に推奨される、副耳を切り取る方法です。

軟骨が入っているものは上記の結紮術だと根本が残ってしまうことがあるため、切除術がおすすめです。
軟骨ごと切り取るため、入院と全身麻酔が必要です。また、赤ちゃんは全身麻酔の安全性が高くなる1歳以降になってから手術を行うことが多いです。

まとめ

耳や顔などに生まれつきできるイボのようなできものを、副耳(ふくじ)と呼んでいます。先天的なもので、痛みなどの症状や機能障害はありませんが、整容的な問題で取り除く処置を行うことがあります。副耳の状態によって治療方法が異なるので、気になった場合は形成外科の医師に相談するようにしましょう。