ビタミンB1は、糖質の代謝に欠かせない栄養素で、疲労回復やスタミナアップに効果的です。ビタミンB1は、水溶性ビタミンのため、とり過ぎても尿から排出されるので、通常の食生活をしていれば過剰症の心配はありません。反対に、ビタミンB1が不足するとさまざまな症状が見られるので、摂取基準値を目指してとり入れることが大切です。それでは、ビタミンB1の効果と、欠乏症などについて解説していきます。

目次

ビタミンB1の働きは?

ビタミンB1には、糖質をエネルギーに変える働きがあります。お米やパンを主食とし、糖質を摂取することの多い日本人には特に欠かせない栄養素です。その他にも、脳や神経の機能を正常に保つ働き皮膚や粘膜の健康を維持する働きなどがあります。

ビタミンB1の欠乏症について

ビタミンB1は、不足すると糖質をうまくエネルギーに変えることができず、疲労や食欲減退などの原因になります。また、昔流行った「脚気」という病気も、ビタミンB1の不足が原因です。

脚気は、心不全末梢神経障害をもたらし、むくみやしびれが起こる病気です。玄米が主流だった時代に、江戸に来た武士達が白米を食べるようになると、脚気にかかることが多かったことから、「江戸患い」とも呼ばれていました。その後食が豊かになって、たんぱく質を摂るようになり、脚気にかかる人は減ってきました。しかし、近年ではインスタント食品や加工品が食べられる機会が増えたことによって、脚気にかかる人が増加しつつあるようです。

その他にも、脳に栄養が届かず、運動機能などに障害をもたらすウェルニッケ脳症や、肌荒れ、肥満など、さまざまな症状の原因となります。

ビタミンB1は、水溶性ビタミンのため、通常の食生活では過剰症は起こりにくいとされています。しかし、サプリメントなどを使用し、1日10gを20日以上続けて摂取することで、頭痛やイライラ、皮膚症状が見られる場合があることが報告されています。

ビタミンB1の多く含まれる食品と摂取基準

ビタミンB1が多く含まれる食品

食品 1食あたりの量 ビタミンB1の含有量
そば(乾) 80g(1杯分) 0.30mg
玄米ご飯 150g(1杯分) 0.24mg
豚肉(ヒレ) 80g(1切) 0.98mg
ボンレスハム 60g(3枚) 0.54mg
豚肉(ロース) 80g(1切) 0.77mg
ウナギの蒲焼 100g(1串) 0.75mg
マダイ(養殖) 100g(1切) 0.32mg
タラコ 25g(1/2腹) 0.18mg
ブリ(成魚) 100g(1切) 0.23mg

出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成

ビタミンB1の摂取基準

単位mg

男性 女性
1〜2(歳) 0.5 0.5
3〜5(歳) 0.7 0.7
6〜7(歳) 0.8 0.8
8〜9(歳) 1.0 0.9
10〜11(歳) 1.2 1.1
12〜14(歳) 1.4 1.3
15〜17(歳) 1.5 1.2
18〜29(歳) 1.4 1.1
30〜49(歳) 1.4 1.1
50〜69(歳) 1.3 1.0
70歳以上 1.2 0.9

出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成

まとめ

ビタミンB1は、糖質の代謝や、脳・神経系の働き皮膚や粘膜の健康維持など、さまざまな働きを持っています。不足すると、脚気やウェルニッケ脳症などの大きな症状や、肌荒れや疲労感などの小さな症状の原因ともなります。脚気は昔の病気と思われがちですが、過度のダイエットや、偏った食生活によって、現代人でも起こり得ます。必要とされる量は僅かですが、体にとっては大切な栄養素です。毎日の食事バランスを整え、不足しないように心がけていきましょう。