妊娠中の喫煙は、赤ちゃんへ悪影響を及ぼします。

このことは周知されていることですが、具体的にお腹の中で赤ちゃんにどのような影響が及んでいるかをご存知の方は少ないかもしれませんね。

ここでは、妊娠中のタバコによる影響についてお話ししたいと思います。

目次

妊娠中の喫煙の影響

妊娠中に喫煙すると、いったい体の中でどのようなことが起こるのでしょうか?

タバコの煙には、ニコチン、一酸化炭素、シアン化合物、鉛などの有害物質が多数含まれており、喫煙(受動喫煙も含む)によってこれらの物質が母親の体の中に取り込まれます。

ニコチンは血管を収縮させ、一酸化炭素は血液の酸素を運ぶ能力と体の各組織に酸素を届ける能力を阻害するため、赤ちゃんへの酸素や栄養の供給が減少してしまいます。

喫煙している母親から生まれた赤ちゃんは、喫煙をしていない母親から生まれた場合と比べて、出生体重が平均200g少なく、ヘビースモーカーの場合には約450g少なくなるとされています日本産婦人科医会より)。
低出生体重児(生まれた時の体重が2500未満の赤ちゃん)は、新生児期の死亡率が高く、さまざまな異常のリスクが高い状態です。

また、自然流産率は約2倍、早産率は約1.5倍、周産期死亡率(妊娠満 22週以後の死産と、生後 1週未満の早期新生児死亡を合わせたものの割合)は1.4倍高くなるとも言われています(厚生労働省より)。

常位胎盤早期剥離などの異常も増えるため、出産時に母子ともに命を落とす危険性も出てきます。

受動喫煙も影響あり

タバコは吸っている人だけでなく、副流煙によって周囲の人にも害を及ぼします。
タバコを吸わない女性でも、受動喫煙にさらされると赤ちゃんの低出生体重児となったり、早産が増えることがわかっています。 

また、赤ちゃんが出生後に受動喫煙にさらされると、乳幼児突然死症候群を引き起こしたり、気管支炎や肺炎、喘息、中耳炎などの病気や、肺や脳の発達異常・障害、問題行動や知能レベルの低下などの原因となる場合があります。

父親や同居家族の喫煙は、お腹の中の赤ちゃんや子どもに多大な害を与えてしまいます。

喫煙が不妊の原因に

昨今はカップルの10組に1組以上が不妊症と言われています(日本産科婦人科学会より)が、その原因の1つに喫煙が挙げられます。

ご夫婦どちらかがが喫煙している場合や受動喫煙の場合でも、タバコによって妊娠できる力が弱くなることがわかっています。

喫煙による不妊は男女ともに起こりますので、妊娠を希望される場合にはご夫婦ともに禁煙を進める必要があります。

確実に禁煙をするために

禁煙の方法はいろいろありますが、禁断症状や吸いたい欲求を抑えられないなど、自分の力だけでは禁煙することが難しいことがあります。

うまくいかない場合には早めに禁煙外来に行きましょう。いくつかの項目を満たしている方なら、費用も保険適応になります。

どちらにせよ、これからかかるタバコ代を考えると、禁煙外来に通う方が安くすむはずです。

まとめ

タバコの煙によって、お腹の中では赤ちゃんが苦しみ、命の危険にさらされることになります。赤ちゃんタバコの害から救うためにも、禁煙は徹底的に行いましょう。

喫煙は、母親本人が吸わないことはもちろん、周りの人の協力も必要になってきます。受動喫煙の機会を減らすためにも、ご家族の禁煙や、室内では吸わないなどの分煙をしてもらいましょう。