覚悟を決めて親知らずを抜いても、傷口が塞がるまで何日かは頬が腫れるなどのトラブルがつきものです。トラブルなんて聞くとちょっと怖くなってしまいますが、通常は日を追うごとに、順調に治っていってくれれば何の心配もいらないものです。
ただし、まれに適切な対処が必要な場合もあることを知っておきましょう。今回は親知らず抜歯後のトラブルとはどんなものなのか、そしてその対処法についてお話していきます。

親知らずを抜いたその日に気をつけておくべきポイントは、「抜歯後の注意点7つ!親知らず・矯正などで歯を抜く方へ」の記事をご覧ください。

目次

抜歯後のトラブル?

抜歯後の異常は、初めて抜歯をする方にはとても判断しにくいものです。正常な場合でも、唾液に血が混じったり、多少は痛みが続いたり、腫れたりすることもあります。一体どこまでが正常で、どこからが異常なのか・・・わからずに悩んでしまう場合もあるでしょう。

では、まず最初に、抜歯後のトラブルにはどんなものがあるのか、見ていきましょう。
歯 模型

1.出血が止まらない

抜歯後、通常は翌日くらいまでは唾液に血がにじみます。血の味がしたりすると怖くなってしまうかもしれませんが、この程度は気になさらなくて大丈夫です。口の中には唾液もあるため、出血量も多く感じてしまいやすいですが、実際はそこまでの量ではないことがほとんどです。抜いたところからダラダラと目に見えて出血し続けるようであれば、対処が必要です。

2.痛みが引かない

抜歯後の痛みは、通常3日後くらいまでは残ってしまいますが、通常はその後だんだんと和らいでいきます。

3.麻痺

顎の中の太い神経と親知らずが近接していたり、接触していたりする場合、親知らずを抜歯した際に少し触れただけで抜歯後に麻痺(しびれ)が出ることがあります。

4.腫れ

親知らずの生え方や抜歯の方法などにより、抜歯後に腫れることがあります。

5.内出血

まれに内出血を起こし、一時的に顔にあざが出来ることがあります。

6.ドライソケット

通常は軽減されていくはずの痛みが、逆に痛みが強くなっていくような場合、ドライソケットが疑われます。抜いた穴の骨の表面が、血の固まりで覆われず剥き出しになるためです。下の親知らずを抜歯した場合、2~4%の割合で起こるといわれています。

7.口が開かない

口を開ける筋肉や顎関節に炎症が及ぶと、顎が開きにくくなることがあります。

8.糸が取れた

抜歯後に縫った場合、約1週間程で抜糸しますが、その前に取れてしまうことがあります。

このように対処しましょう!

抜歯後にこのようなトラブルに見舞われてしまった場合、落ち着いて次のように対処していきましょう。

1.血がとまらない

⇒ にじむ程度であればそのまま放って置いても心配いりません。

  • ダラダラと出血してくる場合:綺麗なガーゼやティッシュなどを丸め出血が止まるまで噛んでください。血が固まってかさぶたのようになってくれるよう、なるべくうがいをしないようにしましょう。出血が止まらない場合は、早めに歯科医院に連絡してください。
  • 寝て起きたら枕が血まみれだった!などという場合:明らかに異常な出血です。すぐに歯科医院に連絡してください。

2.痛みが引かない

⇒ 痛み止めなどを服用して上手くしのぎましょう。

  • 1週間経っても痛みが続く、痛みが強くなっていく場合:歯科医院に連絡して診てもらってください。ドライソケットや感染を起こしてしまっているかもしれません。

3.麻痺

⇒  次のような場合は、歯科医院に相談しましょう。

  • 違和感がある場合:薬(ビタミンB12製剤、ATP製剤)の処方で改善されることがあります。
  • 麻痺が続く・感覚がほとんどない場合:薬の処方、星状神経節 ブロック、神経再生手術などの治療が必要な場合があります。

4.腫れ

⇒ 通常は1~2週間程度かけて少しずつ落ち着いていきます。

氷は使わず、濡れタオルなどで冷やしましょう。冷やし過ぎは治りを遅くするので注意しましょう。

5.内出血

⇒ 一般的にはそのまま様子を見ます。徐々にあざは消えていきます。

6.ドライソケット

⇒ 抜歯後の痛みが1週間以上続く場合、痛みが強くなっていくような場合はドライソケットかもしれません。歯科医院に連絡してください。

ガーゼに抗生物質の軟膏を塗ったもので抜歯した穴を保護したり、抜歯した穴で再度出血させて血の固まりが出来るようにしたりなど歯科医院での処置が必要です。

7.口が開かない

⇒ 多くの場合、炎症の消失とともに次第に開くようになりますが、1週間以上口が開かない場合は歯科医院に連絡してください。

8.糸が取れた

⇒ そのまま様子を見ることが多いですが、念の為、歯科医院に確認しましょう。

まとめ

抜歯も大変ですが、その後にもトラブルに見舞われてしまったら、たまったものではないですね。

しかし、こうした事が起きる可能性があると知っていれば、いざという時も慌てずに対応することが出来るのではないでしょうか。ご自分で不安だったり、おかしいなと思う時は、歯科医院に相談してみてください。