高血圧は日本だけでなく、世界中で問題視されています。WHOによると25歳以上で高血圧と診断される人が2008年に世界で10億人を超えたといわれています。また、高血圧は、サイレントキラーといわれており、自覚症状のないうちに命に直結するような大きな病気を引き起こします。決して他人事ではない、高血圧とはどんな病気でしょうか。医師・吉田 啓 先生による監修記事で見ていきましょう。

目次

高血圧とは?

血圧とは、血管の中を血液が通るときに血管にかかる圧力のことを指します。心臓は、毎分60~70回程度、ポンプのように血液を血管へ送り出し、血液を全身に巡らせています。

心臓が収縮して血液を押し出したとき、血管に一番圧力がかかることを収縮期血圧(最高血圧)といいます。次に、収縮した後、心臓が広がり圧力が一番低くなることを拡張期血圧(最低血圧)といいます。

収縮期血圧、拡張期血圧のどちらが高い値でも高血圧といいます。ここでいう高い値とは、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上です。

なぜ高血圧がいけないの?

通常、高血圧では特徴のある症状は現れません。症状がないにも関わらず、時間をかけて少しずつ高血圧の影響が血管に出てきます。

高血圧の状態が続くことで、心臓は過度に働こうとして心筋を増やして大きくなります。これを心肥大といいます。また、血管は、高い圧力に負けないように壁を厚くします。さらに慢性的に高い圧力にさらされると、血管は弾力性を失って硬化していきます。

血管で動脈硬化が起こると、血管が脆くなり、破れやすくなり出血を起こすことがあります。これが脳で起こると脳出血の状態になります。

また、動脈硬化が進行し、血管の内壁にコレステロールが溜まると血管の中に梗塞ができて血液の流れが滞ります。血液の流れが滞ることでその先にある臓器へ栄養や酸素が届かず、臓器が壊死してしまいます。これが心臓で起こると心筋梗塞、脳で起こると脳梗塞となります。

血管は全身を巡っていますから、高血圧が続くことは全身へ悪影響があるといえます。

どんな病気が起こる?

血管が多く集まっている場所ほど高血圧の影響を受けやすいといわれています。

たとえば、脳や心臓、腎臓、目の網膜などが高血圧の影響を受けやすい臓器として知られています。

これらの臓器が高血圧の影響を受けることによって、脳梗塞脳出血心筋梗塞腎不全眼底出血などが起こります。

まとめ

高血圧は、血管の中を血液が通るときに血管にかかる圧力のことをいいます。高血圧になると自覚症状のないまま血管に悪影響を与え、動脈硬化を引き起こします。そして、血管が沢山集まる臓器で動脈硬化が進行することで、脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの命に関わる病気に繋がることが知られています。