「若いから高血圧なんて関係ない」なんて思っていませんか?実は、若い人でも高血圧になる場合があります。若くして高血圧になる状態を若年性高血圧と呼びますが、他の病気の影響による場合も少なくありません。そこで、今回は若年性高血圧の原因や特徴について紹介します。

目次

若年性高血圧は普通の高血圧とどう違う?

通常、高血圧とは原因のはっきりしない高血圧である「本態性高血圧」のことをいいます。実際、高血圧の約90%が本態性高血圧です(東京女子医科大学|内分泌・高血圧内科より)。加齢により引き起こされる高血圧もこれに含まれ、塩分の摂り過ぎや運動不足などの不摂生な生活習慣、遺伝など様々な要因によって引き起こされます。

一方、高血圧を生じさせる原因がはっきりしている場合を「二次性高血圧」と呼び、高血圧全体の約10%を占めます東京女子医科大学|内分泌・高血圧内科より)。若年性高血圧は様々な病気によって引き起こされる二次性高血圧によるものが多いです。

つまり、若年性高血圧は一般的な原因のはっきりしない高血圧とは異なり、なんらかの病気により高血圧が引き起こされている場合が多いのです。

若年性高血圧の原因となる様々な病気を紹介

理由を知りた過ぎて思わず紙に書き込んだ様子

若年性高血圧は腎臓や副腎、甲状腺など様々な部分でみられる病気の影響を受けたものが多いとされています。そこで、若年性高血圧の原因となる病気をいくつか紹介していきます。

腎実質性高血圧

腎臓の病気で高血圧が生じます。腎臓が正常に働くと不要なナトリウムを体外に排出しますが、腎臓の機能が低下するとナトリウムの排出が不十分になり、体内に溜まってしまいます。このことにより高血圧を引き起こします。二次性高血圧の原因としては最も多いです日本高血圧学会|高血圧治療ガイドライン2014より)。

腎血管性高血圧

腎臓に血液を運ぶ血管が狭くなったり、詰まったりすると腎臓の血液が不足します。それを補おうと、腎臓がレニンと呼ばれるホルモンを分泌することで高血圧が生じます。

原発性アルドステロン症

副腎から分泌されるアルドステロンと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されることで、高血圧が引き起こされます。

クッシング症候群

脳の下垂体と呼ばれる部分の腫瘍などが原因で、副腎皮質からコルチゾールと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されます。その結果、高血圧が生じます。顔が丸みを帯びたり、お腹だけが太っていったりする(中心性肥満)などの特徴があります。

褐色細胞腫

副腎などに腫瘍が生じることでカテコールアミンと呼ばれるホルモンが過剰に分泌されることで高血圧が生じます。腫瘍が悪性だと腫瘍が骨などに転移しますが、この場合に有効な治療法はまだ見つかっていません。

甲状腺機能亢進症

甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌させ、代謝の調整をします。甲状腺の機能が亢進する(進み過ぎる)と、甲状腺ホルモンの分泌過剰が生じて高血圧を引き起こします。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に空気の通り道である気道が狭くなって、息が繰り返し止まってしまう病気です。異常ないびきが生じることが特徴です。睡眠時無呼吸症候群により交感神経が活性化されることで、血圧の上昇が引き起こされることがあります。

実は高血圧じゃないかも?白衣高血圧に注意

病院の検診などで血圧が高い値を示したからといって高血圧と決め付けられない場合もあります。それは、白衣高血圧と呼ばれる状態です。白衣高血圧は原因疾患がなく、病院などで医師の前で測定すると血圧が高くなってしまう症状です。そのため、病院で高血圧だと思っても、家庭でも定期的な血圧測定を行って、白衣高血圧の可能性を除外する必要があります。

まとめ

若いからといって高血圧にならないということはありません。むしろ、若年性高血圧は原因となる疾患が潜んでいる場合が多いです。そのため、日頃から血圧が高くて気になる場合には、そのまま放置せずに近くの内科を受診するようにしましょう。