肥満は遺伝するか?という質問について皆さんはどう思われますか。結論から言えば、肥満体質は遺伝します。なぜ、遺伝するのか、まだ詳細なメカニズムはわかっていませんが、肥満に関しては、代謝や食欲中枢に作用する「肥満遺伝子」がいくつも発見されています。医学的にも「太りやすい体質」が存在することは明らかです。

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肥満の原因は遺伝?食習慣?

からあげ

日本人の3人に1人は太りやすい遺伝子を持っているといいます。

ただし、肥満体質を受け継いだ全ての方が太っているわけではありません。やはり、遺伝要因よりも、食生活や運動習慣などを含めた外部要因が、肥満を発生させていると考えるべきだと思います。

高血圧などで肥満気味の患者さんは、病院でダイエットをすすめられることが多いと思いますが、なかには「肥満は遺伝するのだからダイエットと言われても」と不満気味の方もいることでしょう。両親も兄弟も太っているから、ダイエットをしても痩せるわけがないというわけです。でもそれは間違いです。

家族全員がみな太っているのは、家族全員の食行動が似通っているからかもしれません。例えば太っている方のご家族は、鶏の唐揚げ、焼き肉、ラーメン、スイーツなどが大好物で、毎日のように食卓に上げられていることでしょう。さらに間食としてファストフードやスナック菓子を摂ることも多いと思います。

そのほか、全員が早食いで運動習慣がないという点でも共通しています。このような生活習慣を長年続けていれば、仮に遺伝的な肥満体質がなくても、高い確率で肥満体になるでしょう。

要は遺伝を隠れみのにして肥満の言い訳をしてはいけないということです。生活習慣のなかに肥満の原因が必ずあります。まず、生活習慣全般を改善することが大切でしょう。

太る原因は睡眠不足にあり!

「7~8時間睡眠を取る人の肥満度がもっとも低い。5時間睡眠の人はその50%増。4時間以内は73%もアップした」という研究結果があります。いきなりデータを紹介しましたが、これは睡眠時間と肥満の関係を調べた海外の研究報告です。日本人の健康診断を分析した研究でも、「睡眠時間が5時間以上の人に比べ、5時間未満の人は肥満しやすい」と同じような結果が報告されています。

よく寝る人のほうが太るというイメージを持っていた方には意外でしょうが、睡眠時間が短いほど肥満しやすい。つまり寝不足はダイエットの大敵なのです。では、なぜ寝不足が肥満に繋がるのでしょうか。起きている時間が長い方がエネルギーの消費量も多く、肥満しにくいと考えるのが普通ですよね。

肥満に関わる食欲抑制ホルモンとは?

実は、睡眠時間が短いと「レプチン」と「グレリン」という二つのホルモンバランスが崩れ、太りやすくなるのです。

レプチンは、脂肪細胞から分泌される食欲抑制ホルモンです。一方グレリンは、胃で産生されるホルモンで食欲を増進する働きを持っています。つまり、この二つのホルモンがほどよく働いていれば、食欲が高まることはありません。ところが、睡眠時間が短いとレプチンが減り、グレリンが増加するというのです。

先の研究では睡眠時間が5時間の人は8時間の人に比べ、レプチンが16%少なく、グレリンが15%も増えています。つまり、食欲が増加するということです。また、グレリンが多いと高脂肪食や高カロリー食を好むようになるようです。

まとめ

皆さんも徹夜仕事などが続くと、普段は食べないポテトチップやカップラーメンなどを無性に食べたくなることはありませんか?もしそうならレプチンとグレリンのバランスが崩れている可能性があります。そのように冷静に考えると、食欲が抑えられるかもしれません。