リンは多くの食品に含まれ、私たちがよく食べるインスタント食品加工品にも多く含まれています。

普通の食事をしていれば欠乏しにくいミネラル成分であり、反対に摂りすぎに気を付けなくてはいけない栄養素です。特に腎臓に疾患のある方は要注意です。

それでは実際にリンが体の中でどのような働きをするのかをまとめ、リンを多く含む食品や注意点などについて解説していきます。

目次

リンの働きは?

リンはカルシウムの次に多いミネラルで、成人の体重の1%を占めており、骨や歯の構成成分となるほか、さまざまな細胞に存在しています。

骨や歯に存在するリンは、カルシウムマグネシウムと結合しており、細胞内のリンはたんぱく質脂質と結合しています。

また、栄養素からエネルギーを産生するATPの構成成分として働いたり、細胞内のpH浸透圧を調整するなど、広く作用しています。

リンの過剰症について

リンは1日の摂取量が2gを超えると過剰摂取の影響が出る場合があります。

リンを摂りすぎるとカルシウムの吸収が悪くなり、血中のカルシウム濃度が低下してしまいます。その影響により副甲状腺機能が亢進し、ホルモンの作用によって骨のカルシウムが溶け出す現象が起こります。この状態が長く続くことによって骨粗しょう症を引き起こすこともあります。

リンは食品添加物に多く含まれているので、現代ではリンの摂りすぎが問題視されています。カルシウムの吸収率を高めるには、カルシウムとリンの比率が同量になるように勧められていますが、日本人は知らず知らずのうちにリンを多く摂取しがちなので、極力減らすように意識することが大切です。

また、リンはの吸収も阻害します。貧血の人や成長期の子供など、特に鉄が必要とされる人たちは、加工品やインスタント食品の摂取をできるだけ控えていきたいものです。

腎臓疾患に対するリン制限

腎臓が正常に働いていない状態では、リンの排泄が上手く行われず高リン血症を呈することがあります。腎不全透析を行っている人は、医師から食事のリン制限を行うように指示される場合があります。リンはたんぱく質の中に多く含まれているので、同時にたんぱく質制限も行われることがほとんどです。

リンの多く含まれる食品と摂取基準

リンが多く含まれる食品

食品 1食あたりの量 リンの含有量
ドジョウ(水煮) 80g 600mg
するめ(加工品) 50g 550mg
ウナギのかば焼き 100g 300mg
イワシ(丸干し) 50g(2尾) 285mg
メジマグロ 80g 232mg
大豆 30g(1/5カップ) 147mg
牛乳 180g(1カップ) 167mg
プロセスチーズ 20g(1切) 146mg
玄米ご飯 150g(1膳) 195mg

出典:「改訂新版 栄養の教科書」を元にいしゃまち編集部が作成

リンはたんぱく質源となる食品に多く含まれており、このほかにも加工食品インスタント食品にも食品添加物として含まれています。このような食品をとるときには栄養表示をしっかり確認するように心がけましょう。

リンの摂取基準

単位mg ( )内は耐容上限量

男性 女性
1~2(歳) 500 500
3~5(歳) 800 600
6~7(歳) 900 900
8~9(歳) 1,000 900
10~11(歳) 1,100 1,000
12~14(歳) 1,200 1,100
15~17(歳) 1,200 900
18~29(歳) 1,000(3,000) 800(3,000)
30~49(歳) 1,000(3,000) 800(3,000)
50~69(歳) 1,000(3,000) 800(3,000)
70歳以上 1,000(3,000) 800(3,000)

出典:日本人の食事摂取基準 (2015年版)を元にいしゃまち編集部が作成

まとめ

リンはの健康に関わる栄養素です。食習慣は長い時間をかけて作られていくものなので、健康な時から加工品やインスタント食品を控えるように心がけることが大切です。

特に女性は骨粗しょう症になりやすいと言われています。食生活を見直し、リンを摂りすぎていないか一度確認してみましょう。