みなさんは食中毒になったことはありますか?食中毒になると下痢や腹痛、発熱など非常につらい症状が現れ、重症化すると死亡につながる場合もあります。梅雨から9月にかけての夏の時期には、高温多湿な状態が続き、細菌による食中毒が発生しやすくなるので特に注意が必要です。今回は夏に気を付けたい食中毒4つと具体的な予防策をご紹介します。

目次

夏に多い食中毒の4つ

夏に多い食中毒の原因となる主な細菌は以下の4つです。

O-157(腸管出血性大腸菌)

加熱が不十分な食材から感染し、少ない菌でも発症し、感染症や食中毒を起こす毒性の強い細菌です。

感染すると4~8日後に下痢や腹痛、発熱などの症状が現れます。ひどくなると尿毒症や意識障害を起こすこともあります。

低温には強く冷蔵庫内でも生きていますが、加熱に弱い菌なので、中心温度を75.1℃以上に加熱することで予防できます。家畜の大腸に生息しており、家畜の糞便から水や食べ物を介して人に感染し、人から人へと感染します。生レバーなどには特に注意が必要です。最近では、2014年7月26日に開催された安倍川花火大会の露店で売られていた「冷やしきゅうり」から400人以上に感染しました。

カンピロバクター

汚染された水や食品、細菌を持っている動物との接触によって感染します。牛や豚、鶏などの家畜が細菌を持っていますが、犬や猫などのペットも持っていることがあります。

カンピロバクターは、65℃で1分間加熱することで死滅させることができます。感染から発症までは2~7日ほどかかります。まず、発熱、倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛などの症状が現れ、次に吐き気や腹痛におそわれます。その後、ギラン・バレー症候群を発症することもあります。

人間への感染源としては鶏が最も重要であると考えらえているため、鶏わさをはじめ、生の鶏肉を食べる際には注意が必要です。厚生労働省によると、カンピロバクターによる食中毒は年間約2000人が発症しています。

サルモネラ

サルモネラ菌は主にヒトや動物の消化管に生息しています。牛や豚、鶏などの家畜が細菌を持っていますが、犬や猫などのペットも持っていることがあります。

感染すると半日から2日で発症し、腹痛、嘔吐、下痢、発熱など風邪とよく似た症状があらわれます。食肉や卵は十分に加熱し、ペットに触れた後にはよく手を洗うなどすることが有効です。日本における食中毒の1~3割がサルモネラ属菌とされています。

黄色ブドウ球菌

身近なところでよくみられる菌です。健康な人ののどや鼻の中、動物の皮膚や腸管、ホコリの中など、あらゆるところに存在しています。様々な食べ物の中で増殖し、エンテロトキシンという毒素によって吐き気・嘔吐・腹痛などの症状を引き起こします。感染すると、30分~6時間(平均3時間)で発症します。

エンテロトキシンは熱に強いため、加熱しても毒性がなくなりません。そのため、予防のためには食品内での菌の増殖を防ぐことが大切です。手や指に傷がある人は調理をしない、調理の前にはしっかりと手を洗うなどを心掛けてください。黄色ブドウ球菌による食中毒は5~10月に増加するので、夏場は特に要注意です。

食中毒予防の3原則

食中毒予防には、細菌やウイルスを「付けない」「増やさない」「やっつける」の3つが効果的です。それぞれの予防法は次のようなものがあります。

1.付けない

まずは細菌やウイルスを食品に付着させないことが大切です。

  • こまめに手を洗う
  • 肉や魚を切るときは使用する毎に包丁やまな板を洗剤で洗う
  • 肉や魚の汁が他の食品につかないように分けて保存する

2.増やさない

細菌の多くは10℃以下で増殖のペースが落ち-15℃以下で増殖が停止します。

  • 生鮮食品は速やかに冷蔵庫に入れて冷やす
  • 冷蔵庫内の温度上昇を避けるため、冷蔵庫のドアを開ける時間を短くし、冷蔵庫に食品を詰め込まない

3.やっつける

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。

  • 食品を加熱調理し、生食は控える
  • 肉や魚、卵を調理した調理器具に熱湯をかける
  • 調理器具を台所用殺菌剤で殺菌する

まとめ

食品が原因で急性胃腸炎などを起こす食中毒は年間で2万~3万人ほどが発症しています。体力が落ちやすい夏は睡眠と休養を十分にとって食中毒に備えるのが重要です。