※本記事では、昨シーズン以前のインフルエンザ流行状況について解説しています。最新の流行状況は、本記事とは異なる場合があります。

インフルエンザの流行が本格的に始まり、12月末までの感染者数は約100万人と推計されました。今シーズンは、インフルエンザワクチンの流通量が例年よりも少ないためワクチン未接種の方も多く、感染予防に関してより重要性が高まってきています。ここでは、本年のこれまでの流行状況から、本年のインフルエンザ流行とその対策に関して解説します。

目次

インフルエンザウイルス、A型・B型とは

インフルエンザ陽性と診断された場合、A型・B型の3つに判断されます。A型・B型には、それぞれ2パターンがあり、大別すると4つに分類されます

A型は、1968年に大流行し、「季節性」と表現される香港型(H3N2)、2009年から流行した、いわゆる「新型」と表現されるタイプ(H1N1pdm09)の2つに分類されます。B型は、「ビクトリア系統」と「山形系統」の2つに大別されます。

今年のこれまでの流行状況からみるハイリスク者

1.今シーズンのインフルエンザの流行

本年の流行は12月から本格化しました。1月には多くの都道府県で「警報」・「注意報」レベルでの感染が報告されています。第1報では、A型では「A香港型(H3N2)」・「A新型(H1N1pdm09)」が交互に流行することから、今シーズンはA新型(H1N1pdm09)流行がメインとなること、また、B型も同様に流行すると述べました。

例年ではA型が流行してからB型が流行しますが、今シーズンの国立感染症研究所のウイルス分離では、A型・B型ともに同時期より流行しています。A型では、予測通り「新型(H1N1pdm)」がほとんどをしめています。

2.今シーズン、特に感染に気を付けた方が良い方

特に流行している新型(H1N1pdm)のウイルスは、気管支喘息や肺気腫などの呼吸器疾患がある方が特に注意する必要があります。この疾患がある方は、発熱などの感染兆候を訴えた後、急激に呼吸困難が進行して入院が必要となる症例報告が多い傾向があります。

その他、妊婦・高齢者・免疫機能が低下した方(ステロイドや免疫抑制剤内服をされている方、悪性腫瘍の方など)も注意が必要です。

今シーズンのインフルエンザを予防するためには

マスクをする親子

1.ワクチンの接種を行うこと

2017年の11月・12月ではワクチンの流通が低下しており、予防接種の予約が困難でありました。現時点では、例年と同じレベルでワクチンが接種できる医療機関もあります。

ワクチンを接種してから抗体が産生され予防効果が発現するには10~14日程度かかります。ただ、今後もインフルエンザ流行は懸念されており、前述の通りにA型もB型も流行しているので、今からでもワクチン接種による予防・重症化抑制を行うことが効果的と考えられます

2.人ごみを避けること

インフルエンザウイルスは、人間などの生物の中でのみ生存・増殖が可能です。くしゃみや咳などの「飛沫感染」が主ですので、インフルエンザが流行している時期は、人ごみを避けた方が感染するリスクは低下します。

3.マスクと手洗いの適切な方法

基本的なマスクの付け方

外出をする時にマスクを使用される方は多いですが、ウイルスの遮断効果を上げるためには、どのように使用するかが重要です。

医療機関での医師・看護師でのマスク着用を見ていただけるとわかりますが、マスクの上辺を折り曲げて鼻にできるだけ密着するように使用をすることがポイントです。また、不必要に目・鼻・耳などの顔面を触らないことも重要です。

また、予防方法のもう1つの方法としては、手洗いの重要性は皆様ご存知と思われます。洗い方としては、長時間の手洗いではなく、10から15秒程度のすすぎを2回程度繰り返す方がよいとされております。

基本的な手洗いの手順

4.基礎代謝を高めて免疫力を高めること

基礎代謝を高めて体温をあげる事は、免疫力を高めるうえでも重要です。

この基礎代謝を高めるためには、3回かつ20分以上での有酸素運動(サイクリング・ジョギング・水泳など)定期的なウェイトトレーニングでの筋力アップが有効です。また、朝が最も体温が低い状態なので、睡眠後に下がった体温を上げるためには朝食をしっかりとることが重要です。

5.ストレスをかかえない、睡眠をしっかりとる

強い精神的なストレスを受けると自律神経のバランスが崩れて、その結果として免疫力が低下すると考えられています。睡眠不足による体調変化もこうした理由で起きると考えられます。

この理由として、ストレスによるリンパ球(ナチュラルキラー細胞)の機能低下により免疫・抵抗力が低下することが示唆されています。日常生活では、1日6時間以上の良質な睡眠、ストレスを抱えず「笑う」ということが重要であります。

まとめ

2017/2018シーズンのインフルエンザは、A新型(H1N1pdm09)がメインでありますが、B型もほぼ同時に流行が始まっています。今シーズンはワクチン接種が困難でしたが、これからでも重症化予防にはワクチンは重要と考えられます。特に、A新型のハイリスクと考えられる気管支喘息など呼吸器の持病がある方には、急速な呼吸状態悪化予防には重要と思われます。

インフルエンザにかからないためにも、予防が重要であり、マスク・手洗いの基本的な事項に加えて、規則正しい生活習慣(食事・運動・睡眠)と、ストレスを抱え込まないことが、免疫機能を高める予防策として重要です。