インフルエンザの予防接種、もう受けましたか?インフルエンザウイルスは毎年のように変異するため、ワクチンも毎年そのシーズンの流行に合わせたものが生産されます。さらに、2015年のワクチンは2014年までの「3価ワクチン」から「4価ワクチン」に変更されたそうです。一体、今までのものとは何が違うのでしょうか?

目次

そもそも、ワクチンって何?

人間は、一度ウイルスに感染すると、身体の中にそのウイルスに対抗する力(抗体)を作ります。もう一度同じウイルスが入ってくると、この抗体が感染を防ごうとするのです。これを免疫といいます。

ワクチンは、この働きを利用しています。あらかじめ病原性を失わせたウイルスを作り、それを身体の中に入れることで抗体を作らせ、病気への感染を予防するのです。

また、ワクチンには不活化ワクチンと生ワクチンの2種類があります。

生ワクチン

生きているウイルスや細菌の病原性を弱めて作ったワクチンです。接種後はウイルスや細菌が体内で増殖するため、発熱や発疹など、該当の病気の症状が軽く出ることがあります。免疫不全の方や妊婦には禁忌となっているので注意してください。

生ワクチンには、麻しん風しん混合(MR)、おたふくかぜ水痘BCG(結核)などがあります。

不活化ワクチン

化学処理を行い、病原性をなくした最近やウイルスから作ったワクチンです。生ワクチンに比べると免疫力が弱いため、何回かに分けて接種する必要があります。

日本で認可されているインフルエンザワクチンは、この不活化ワクチンです。この他、不活化ワクチンには、DPT-IPV(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)日本脳炎B型肝炎などがあります。

インフルエンザワクチンはこうして作られる

インフルエンザワクチンのもとになるウイルスを、ワクチン株といいます。毎年、WHOが国内外のインフルエンザ情報に基づいた流行予測を行い、推奨ワクチン株を発表しています。日本では国立感染症研究所をはじめとするインフルエンザの専門家たちが、国内の流行分析や世界中の最新情報を元にインフルエンザワクチン株を決定しています。

このワクチン株の数に変化があったのが、2015/16シーズンのインフルエンザワクチンです。次の項目で、何が変わったのか詳しく見ていきましょう。

3価ワクチンから4価ワクチンへ

インフルエンザワクチン3価と4価の違い-図解
インフルエンザにはA型とB型があるというのはご存知の方が多いと思いますが、実はA型にもB型にもさらに細かい種類がいくつもあります。

昨シーズンまでのインフルエンザワクチンは、A型2種類(A[H1N1]pdm09とA[H3N2])B型1種類のワクチン株が含まれていました。あわせて3種類のワクチン株から作られていたので、これを3価ワクチンといいます。

 

従来のワクチンでは、B型のワクチン株は山形系統ビクトリア系統という2種類からどちらか片方が選定されていました。しかし、B型株を1種類しか含まない3価ワクチンでは、含まれていない系統が流行した場合効果が低くなる可能性があります。さらに、近年では世界的にこの2種類の混合系統の流行がみられています。

そのため、WHOでは2013年シーズンからB型2系統を含んだ4種類のワクチン株から成るワクチン(4価ワクチン)を推奨しているのです。

アメリカでは2013/14シーズンから、既に4価ワクチンが使われています。この他、世界各国で4価ワクチンを使用する流れができてきています。日本でも2015年3月に生物学的製剤基準が改正され、2015/16シーズンから4価ワクチンが用いられるようになりました。

ちなみに、2016年のインフルエンザワクチンに含まれるワクチン株は以下の4種類です。

  • A[H1N1]pdm09:A/カリフォルニア/7/2009(X-179A)
  • A[H3N2]:香港/4801/2014(X-263)
  • B/山形系統:B/プーケット/3073/2013
  • B/ビクトリア系統:B/テキサス/2/2013

※インフルエンザウイルス株の名前は、

ウイルスの型/分離された地域/ウイルス株の番号/分離された年(A型ウイルスの亜型)

と読みます。

最後に

2015年より、インフルエンザワクチンは、従来の3価から4価に変わり、より多くの種類のインフルエンザウイルスによる重症化を防ぐことができるようになりました。インフルエンザワクチンは、効果が現れるまでに約2週間かかると言われていますので、本格的な流行が始まる12月頃までに受けておくと良いでしょう。