ご主人のいびきが大きくて、悩まされてはいないでしょうか?そのいびきが途中で止まり、息をしていない!などということがあるようなら、それはただのいびきではなく睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠時無呼吸症候群はいろいろな病気の原因となるので、放置できない疾患です。今回は、医師・篠塚 成順先生による監修記事で、睡眠時無呼吸症候群について解説します。思い当たる方は、セルフチェックを行ってみましょう。

目次

睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気?

睡眠時無呼吸症候群とは、文字通り眠っている間に呼吸が止まってしまい、日常生活に様々な支障を来す病気です。英語ではSleep Apnea Syndromeといい、頭文字を取ってSASと呼ばれます。SAS患者の多くは男性ですが女性でも更年期を過ぎると発症率が高くなります。

睡眠中に10秒以上呼吸が止まることを「無呼吸」、無呼吸ではないけれども止まりそうなくらい弱い状態を「低呼吸」と言います。

睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸回数を「無呼吸・低呼吸指数」(Apnea-Hypopnea Index = AHI)と呼び、AHIが5以上、つまり1時間あたり5回以上の無呼吸・低呼吸があると睡眠時無呼吸症候群である可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群は、呼吸が止まってしまい亡くなることは、まずありません。しかし無呼吸が続くことで引き起こされる、ひどい低酸素状態(=酸欠状態)が問題です。

血液中の酸素濃度を指で測定する「経皮的動脈血酸素飽和度=SpO2」は通常96%以上あります。この値が90%を切ると、各臓器に酸素が十分行き渡らなくなる状態です。

健康な方が起きている時に1分近く息止めをしても、せいぜい数%しか低下しませんが、SAS患者では無呼吸になっている時に90%を簡単に下回ってしまいます。

もちろん呼吸が再開すれば酸素が入ってくるため、すぐに90%を上回りますが、この低酸素状態になることを一晩の間に何度も繰り返すことによって、心臓・血管を始めとして自律神経系などにも悪影響を及ぼします。

その結果、SAS患者では心筋梗塞や脳卒中など命に関わる病気になるリスクが2倍~4倍高くなるとされています。

また高血圧や糖尿病などの生活習慣病や不整脈を発症するリスクも高くなります。

睡眠時無呼吸症候群は、閉塞性と中枢性の2種類に分けられています。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS: Obstructive Sleep Apnea Syndrome)

上気道(鼻から喉頭まで)のどこかが塞がり、無呼吸になるタイプです。睡眠時無呼吸症候群のうち、約9割がこのタイプです。

肥満体型の方が多いですが、痩せていても鼻の通りが悪い人、アデノイド(咽頭扁桃が増殖し肥大した状態)がある人、下顎が小さい人などでも起こります。

中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS: Central Sleep Apnea Syndrome)

呼吸中枢の異常で、呼吸をする指令が出ないため無呼吸になるタイプです。いびきは目立ちません。

心不全や脳卒中などを起こした人に出ることが多いです。

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状は?

口を開けて寝る

無呼吸から呼吸を再開させる度に脳が覚醒している状態になります。本人は起きたという自覚がありませんが、深い睡眠が得られておらず、睡眠の質が悪い状態です。

そのため長く寝ても睡眠不足状態であり、日中の眠気、記憶力や集中力低下、疲労感、起床時の爽快感の欠如などがおこります。

他には、起床時に頭痛、口呼吸による口や喉の乾燥を感じることもあります。

睡眠中の症状としては、いびきと呼吸停止が交互に繰り返され、手や足を激しく動かす、寝汗をかく、途中で目覚めやすい、トイレに何度も起きる、などが起こります。

まとめ

ご自身やご家族に当てはまるものはなかったでしょうか?いびきや無呼吸は自分では気付かないため、家族が気付いてあげなければいけません

大きないびきで迷惑だ!と思うだけでなく、もしかしたら病気かも…と一度、呼吸を確かめてみましょう

また、上記の症状に当てはまる項目があれば、一度検査を受けた方が良いかも知れません