妊娠中に風疹にかかると、赤ちゃんに影響が出る可能性があります。

風疹は子どもに多い病気かと思われるかもしれませんが、実は報告患者の9割が大人で、20~40代の男性や20代の女性に多いことがわかっています(国立感染症研究所より)。ちょうど結婚や妊娠の適齢期ですので、妊婦さんやそのご主人が実は風疹にかかりやすい状態にあると言えるでしょう。

ここでは、妊婦さんと風疹の関係についてお話ししたいと思います。

目次

風疹はなにが怖いの?

風疹は、発熱、発疹、耳周辺や後頭部・首などのリンパ節の腫れを特徴とするウイルス感染症で、基本的には予後良好な病気です。

妊婦さんが感染した場合には、赤ちゃんに先天性の異常などの影響が出る先天性風疹症候群(CRS)が起こる可能性があり、特に注意が必要です。
妊娠中の感染時期によってその重症度や症状の出方は様々ですが、妊娠20週未満の感染で先天性風疹症候群が起こりやすいとされています。

先天性風疹症候群はどんな病気?

先天性風疹症候群には3大症状と呼ばれるものがあり、先天性心疾患、難聴、白内障の3つになります。
この3つの症状以外にも、網膜症、肝脾腫、血小板減少、糖尿病、発育遅滞、精神発達遅滞、小眼球など様々な症状が赤ちゃんに出現する可能性があります。

赤ちゃんが先天性風疹症候群になるリスクは、お母さんが感染した時の妊娠週数が遅ければ遅いほど少なくなります。
妊娠4~6週の感染で100%、7~12週では80%、13~16週で45~50%、17~20週で6%、20週以降では0%が先天性風疹症候群を発症したという報告もあり(産婦人科ガイドラインより)妊娠初期での感染では高い確率で発症することがわかっています。

風疹を防ぐ方法は?

風疹を防ぐ1番の方法は、予防接種です。
現在、風疹の予防接種は、MR(麻しん風しん混合)ワクチンの定期接種を1歳代と小学校入学の前年の2回、定期接種で受けることができます。

しかし、平成2年4月1日以前に生まれた人は受けていても1回、さらに昭和54年4月1日以前に生まれた男性は1回もその機会がなかった世代です厚生労働省より)。
その世代がちょうど結婚・妊娠の適齢期ですので、風疹にかかるリスクが高く、赤ちゃんが先天性風疹症候群を発症するリスクが高い状態です。

しかし妊娠中は、風疹の予防接種は受けることができません。
妊娠前であれば風疹の予防接種を受けることで、大人でも予防が可能です。子どもの時に予防接種を受けていなかったり、受けたかどうかわからなかったりする方で出産希望のある場合は風疹の抗体価を早めに病院で調べましょう。

また、予防接種を受けていても年々抗体価は下がっていくので、妊娠を希望された時点で、ご夫婦で検査を受けておくとより安心です。ワクチン接種後2か月は避妊が必要とされていますので、早めに検査を受けておきましょう。

抗体検査は血液検査なので、内科でも婦人科でもすぐに受けられます。自治体の補助があり、無料で検査を受けられる場合もあるので、お住まいの自治体で確認してみるといいでしょう。

風疹抗体が低い状態で妊娠した場合

風疹の予防接種は、妊娠中はできません。妊娠後の血液検査で、風疹にかかりやすい状態と分かった場合、下記の点に注意して風疹の感染を避けましょう。

  • 人混みや子どもの多い場所を避ける
  • 同居家族はワクチン接種を受けてもらう
  • 手洗い・うがいの徹底

風疹は主に春に流行するため、その時期に妊娠した方は外出を控えるなどして注意しましょう。

まとめ

先天性風疹症候群は、妊娠前のワクチン接種で予防が可能です。
発症すれば、赤ちゃんの心臓や目・耳などに先天性の障がいや疾患を起こす可能性が高くなり、手術や治療が必要となる場合もあります。

予防方法があるものですので、妊娠前の検査とワクチン接種をお勧めします。
予防接種を受ける人が増えることで、風疹の流行を防ぐことができ、風疹や先天性風疹症候群の発症も減らすことができます。結婚を考えられている方、妊娠を希望されている方はカップルやご夫婦で風疹の抗体価をチェックしておきましょう。