私たちの体には体内時計の機能が備わっており、睡眠やホルモンの分泌などに関わっています。最近ではこの体内時計を、食事や栄養に応用する考え方が広まってきているようです。

時間栄養学は「何をどのくらい食べる」という要素に加えて、「いつ食べるか」という食事のタイミングも考慮したものです。時間栄養学は、ダイエットや生活習慣病予防に活用でき、私たちの体をより健康に近づけてくれるかもしれません。

目次

時間栄養学とはどんなもの?

ヒトの体は生体リズムという独自のリズムによってコントロールされています。私たちが普段決まった時間の睡眠をとったり、空腹を感じたりするのには、体内時計も関わっています。

このリズムは1日24時間ではなく、1時間多い25時間の周期を持っています。このズレたリズムをリセットするためには、朝起きてから太陽の光を浴びたり、バランスの良い朝食をとることが重要です。

生体リズムを刻む時計遺伝子は全身に見られます。肝臓ではコレステロールや中性脂肪などの合成を、小腸ではグルコースの取り込みを、この時計遺伝子が関わっていることがわかっています。

時計遺伝子は様々な生体機能に関わるため、異常があると脂質代謝異常やアルコール依存、がん発症リスクの上昇などの疾患のリスクを高めると考えられています。不規則な生活をしていると社会的時差ぼけが起こり、消化吸収や代謝に影響を及ぼしてきます。

太りにくい食事のタイミングって?

病気の発症やダイエットにも体内時計が関わっていることから、体内の時計遺伝子のメカニズムを活用すれば肥満予防に役立つといえます。それでは実際に、どのようなタイミングで食事をしたら良いのでしょうか。

まず、朝食は前日の夕食からの長い時間空けて摂る1日の中で最初の食事で、体の機能全体を目覚めさせるという観点からとても大切なものです。朝食を抜いてしまうと、基礎代謝を低下させ、病気にかかりやすくしてしまうと考えられています。

朝食には体内時計をリセットするという目的もあります。朝日を浴びてから2時間以内に炭水化物とタンパク質の摂れる充実した内容の食事をしましょう。

昼食や夕食は特に時間は決められてはいません。しかし、時間栄養学ではすべての食事を、起きてから12時間以内にとることが勧められています。12時間以内に食べるものは、エネルギーとして消費されやすく、太りにくいようです。

また、ダイエット中でも「なかなかおやつがやめられない」という人には、遺伝子の働きにより脂肪の合成が弱まる14〜16に摂るようにしましょう。ただし食べ過ぎはもちろんNGです。ダイエット中であれば100kcal、それ以外の時でも200kcalまでに抑えましょう。

夕食は寝る前何時間前までに摂ればいいの?

仕事をしていると帰りが遅くなり、つい夕食も遅い時間になりがちです。しかし、夕食を摂ってから寝るまでの時間が短いと、エネルギーが消費しきれずに太ってしまう可能性があります。

夕食は就寝する2〜3時間前には終えることが理想です。夕食がどうしても遅くなってしまう時は、夕方におにぎりなどの軽食を摂り、帰ってからの食事を軽めにしましょう。

長い時間空腹の時間を作らないことで、血糖低下を防いだり、夕食の過食や夜食を抑えることになり、肥満予防に繋がります。

また、摂取カロリーは朝:昼:夜=3:3:4が理想と言われています。ゆっくり時間のとれる夕食は、つい比重が重くなりがちですが、脂質が少ない軽めの食事を心がけましょう。

まとめ

体内時計を整えるためには、朝日を浴びて朝食を摂り、体をリセットしてあげなくてはなりません。まずは1日の食事を12時間以内に食べられるように意識をすることから始め、少しずつ規則正しい生活習慣を作っていきましょう。