子宮頸管炎は、子宮頸管に炎症を起こした状態で、クラミジア感染によるものがあります。クラミジアは性感染症なのですが、症状がほとんどないため発見が遅れてしまい、気づいた時には不妊の状態になっていたということも少なくありません。
早期の治療により不妊症に繋がる可能性は低くなるため、早期発見が非常に重要になってきます。ここでは、クラミジアによる子宮頸管炎の症状や治療についてお話ししたいと思います。

目次

クラミジアってなに?

子宮頸管炎の原因となるクラミジアは、細菌の一種で性行為によって感染する性感染症です。感染しても、女性の約75%、男性の約50%は症状が出ないため、感染が進行してしまうことが多く、不妊の原因になることが多いです(横浜市衛生研究所より)。

また、感染していることに気付かないため、無治療のまま感染者を増やすことになり、クラミジアにかかる人が近年増加していると推測されています。
クラミジアは、抗生物質を服用することで治りますので、重症化する前に早めの受診が重要になってきます。

クラミジアの症状

クラミジアは無症状な場合が多いですが、感染のきっかけとなった性交渉後の1~3週間頃に下記のような症状が出る場合があります(男女で症状が違います)。
心当たりのある方は早めに受診するようにしましょう。

女性の場合

  • 腟の分泌物(おりもの)の増加
  • 頻尿
  • 排尿時痛
  • 骨盤痛
  • 性交痛
  • 不正出血

男性の場合

  • 排尿時痛
  • 尿道不快感
  • かゆみ
  • 尿道炎(発赤や分泌物の付着など)

クラミジアと不妊の関係

クラミジアに感染した場合、初期の子宮頸管炎を起こした段階で治療できればいいのですが、そのまま感染が進行すると、骨盤炎を起こす可能性が高いです。
骨盤炎は、骨盤内の臓器に感染が進んだ状態で、子宮内膜炎(子宮の炎症)や子宮付付属器炎(卵巣や卵管などの炎症)などを起こします。妊娠に関係する臓器がダメージを受けるため、不妊症の原因となるほか、妊娠できたとしても子宮外妊娠のリスクが高くなります
不妊相談に病院を受診した際に、クラミジア感染を指摘されると言うケースも少なくありません。

治療方法について

クラミジアの治療は、初期であれば抗生物質を内服することで治ります。薬の種類によっては1回服用するだけでいいものもありますが、内服期間が数日間必要なものもありますので必ず用法用量は守るようにしましょう。
また、パートナーもクラミジアに感染している可能性が高いので、必ず一緒に治療を受けましょう

クラミジアは、性交渉の最初から最後までコンドームを使用していれば感染を防ぐことができます。コンドームはクラミジアのような性感染症を防ぐ有効な手段ですので、適切に使用しましょう。

妊娠中にクラミジアとわかったら

妊娠中の検査でクラミジアが発見されることもあります。
妊娠中に発見される性感染症のうち、約60~80%がクラミジアという報告もあり、稀に流産や早産の原因にもなります岡山医学界雑誌 第121巻より)。

また、クラミジアが未治療のまま出産を迎えてしまうと、赤ちゃんにクラミジアが感染する場合があり(垂直感染といいます)、新生児結膜炎や新生児肺炎などの合併症を引き起こす危険性があります
妊娠中でも、種類は限られますが抗生物質による治療が可能ですので、必ず治療を受けて治すようにしましょう。

まとめ

クラミジアは気づかないうちに感染し、子宮頸管炎から骨盤炎を起こし、不妊症の原因にもなる怖い感染症です。
性交渉の経験がある方は、誰でも感染の危険がありますので、症状はなくても年に1回は婦人科検診を受けることが大切です
少しでも思い当たる症状がある場合は早めに受診しましょう。

抗生物質の内服で、比較的簡単に治療できます。
パートナーが無治療の場合、また感染することがありますので、必ずパートナーも一緒に治療を受けるようにしましょう。