子宮鏡検査という検査方法をご存知でしょうか?腹腔鏡みたいにお腹に穴を開けて検査するの!?と想像される方もいるかもしれませんが、それは違います。
子宮鏡検査は、婦人科疾患の精密検査などで使われる方法ですが、その方法を詳しく知っている方は少ないかと思います。ここでは、子宮鏡検査の内容や、どのような病気の検査で利用されるか、痛みや出血の有無などについてお話ししたいと思います。
子宮鏡検査ってなに?
子宮鏡は、子宮内を見るために作られた内視鏡で、子宮鏡検査は、子宮鏡を使って子宮内の状態を観察する検査のことです。
胃カメラは、直径が約5~10㎜あります(日本医師会より)が、子宮鏡は3㎜前後と細いため(日産婦誌59巻5号より)、腟を通して子宮の入り口(子宮口)から内視鏡を子宮内に入れることができます(状態によっては子宮口を拡張する必要があります)。
内視鏡にはカメラが付いているため、子宮内の状態をテレビモニターに写して観察することができ、様々な病気の検査に使われます。
子宮鏡検査でなにがわかるの?
子宮鏡検査では、子宮と腟の境目(子宮腟部)から子宮頸管、子宮内、卵管口まで観察できます。下記のような状態の時に検査が行われ、子宮内の状態を直接見ることで、原因の特定や病状の把握ができます。
- 不正出血、過多月経
- 不妊症、不育症
- 子宮内膜細胞診(子宮がん検診など)に異常所見のある症例
- 子宮卵管造影に異常所見のある症例
- 子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮体がんなどの腫瘍性病変
- 子宮腔癒着(アッシャーマン症候群)
- 胎盤遺残、胎盤ポリープ
- 子宮奇形
- 子宮内異物
出血や痛みはあるの?
出血はほとんどなく、あってもごく少量になります。
子宮内に内視鏡を入れる刺激や、子宮内に液体を注入することによって子宮内部の圧が上昇し、痛みを感じる場合があります。
妊娠・出産経験のない方や子宮の入り口が狭くなっている方は、子宮口を拡張する処置が必要になり、この際に痛みを伴うことがあります。
痛みが強い場合には、鎮痛剤を使う場合がありますので医師に伝えましょう。検査時間は、5~10分程度で、通常外来で検査を受けることが可能です。
検査時期について
子宮鏡検査は、生理がある年代の方の場合、生理周期によって検査しづらい時期があります。正確な検査を行うために、検査は子宮内膜が薄くて観察のしやすい、生理終了直後から排卵までの間に行われます。
子宮鏡検査は、妊娠中は禁忌となりますので、検査までは避妊が必要になります。妊娠の可能性がある場合は、必ず医師に伝えましょう。
子宮鏡手術ってなに?
子宮鏡手術は、手術用の子宮鏡を使って、病変を切除したり、切除した病変を摘出したりする手術方法です。
手術用の子宮鏡は、検査用のものより太い場合が多く、子宮口を拡張するための事前処置や、手術時に麻酔をするため入院が必要な場合もありますが、病院によっては外来で手術が可能なところもあります。
大きいものや悪性所見のあるものは適応外ですが、子宮内膜ポリープや粘膜下子宮筋腫の切除を行うことができます。
まとめ
子宮鏡検査は、細い内視鏡を腟から子宮内に入れて、子宮内を観察する検査ですので、検査は内診台の上で行われます。
内診台に乗るという時点でハードルが高く感じる方もいるかもしれませんが、子宮鏡検査は、本来肉眼で確認することのできない子宮内をくまなくチェックできる重要な検査方法です。
エコーなどの画像検査では、見えていなかったり、わからなかったところが、子宮鏡検査によって詳しく観察することが可能です。不安も多いかと思いますが、それ以上に有益な情報を得られる検査ですので、気になる点は医師から説明をしっかり受けて、検査に備えるようにしましょう。