ヒ素と聞くと毒物というイメージがありますが、実際には自然界に幅広く存在しています。量は多くはありませんがヒ素が含まれている食品は多く、私たちも知らないうちに摂取していることがあります。どのような食品に多く含まれるのか、体にどのような影響があるのか詳しく見ていきましょう。

目次

ヒ素ってどんな成分?

ヒ素は元素記号Asで表される化学物質です。地殻中に分布しており、火山活動や森林火災などの自然現象によって放出され、土壌や水中などに含まれています。自然由来のほかに、火力発電や廃棄物処理といった産業活動によって放出されるものもあります。

土や水などの動植物が育つためには欠かせないものに含まれているため、食品にも含まれることがあります。このような水や食品を通じて私たちの体の中にヒ素がとり込まれ、健康を害してしまう可能性があるのです。

ヒ素が多く含まれる食品はどんなもの?

ヒ素は有機ヒ素と無機ヒ素があり、体に悪影響があるのは無機ヒ素です。無機ヒ素が短い期間に大量に体内に入った場合、発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状が現れるとの報告があります。また、継続的に大量に入った場合には皮膚組織の変化やがんなどの影響があると報告されています。

農林水産省では、無機ヒ素が多く含まれる食品として特にヒジキについて情報提供を行っています。

ヒ素は自然界に広く存在する物質なので、他の海藻類や食品にもヒ素は含まれていますが、ヒジキとは異なり毒性の低い有機ヒ素として存在していると考えられています。現在の段階では、ヒジキ以外の食品に関しての心配はないとされています。

ヒジキを安全に食べる方法は?

国際的に見ると、イギリスのようにヒジキを食べないように勧告を出している国もあります。しかし現在のところ日本では、事業者や消費者への情報提供などに留まっています。

これは国民健康栄養調査の結果から、人体に悪影響のあるほどの量を継続的に摂取する可能性が低いという理由からです。極端にヒジキばかりを摂取せず、バランスの良い食生活を心がければ健康を害するリスクが高まることはないと考えられています。

また、ヒジキの中に含まれる無機ヒ素は、水で洗ったり戻したりすることで減っていきます。最も効果的なのは水戻し後にさらにゆでこぼしを行う方法です。ゆでこぼすことで無機ヒ素を9割程度も減らすことが可能です。ヒジキに含まれる鉄やカルシウム、食物繊維は茹でこぼしをしても7割以上残るので安心して下処理を行いましょう。

ゆでこぼしの方法

  1. ヒジキを30分水に浸す
  2. 戻し水を捨てる
  3. お湯に入れて茹で、沸騰後5分間茹でる。
  4. 水洗いをする。

まとめ

現在のところ日本では、ヒ素による明らかな健康影響は認められていません。ヒジキには無機ヒ素が多く含まれていますが、適切な下処理を行うことで量を減らすことができます。バランスよく色々な食品を食べること下処理をしっかり行うことを心がけましょう。