食物繊維は人の体内で消化酵素による消化ができない栄養素であり、主に整腸作用など体にとって良い働きをしています。
近年は食生活の欧米化や簡易化がすすむにつれて食物繊維の摂取量は減ってしまい、成人の男女において1日に約20g以上は必要なところ、日本人の平均摂取量は14gと少なめです(e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康より)。
食物繊維は様々な腸疾患や代謝性疾患に対して予防効果があることが認められていますので、毎日の食生活の中で不足することのないように積極的にとりたい栄養素です。では実際に、食物繊維が身体の中でどのような役割をしているのか詳しく見ていきましょう。
食物繊維が多く含まれている食品は?
食物繊維は肉や魚などの動物性食品にはほとんど含まれおらず、豆類、野菜類、きのこ類、海藻類、果物などに多く含まれています。
1食あたりに食べる量に対して1つの食品から2~3g摂取することのできる食品は以下のようなものがあります。
そのような食品を積極的にとり、効率的に食物繊維を摂取できるようにしましょう。
食物繊維が特に多く含まれている食品
- そば
- さつま芋
- 白滝
- 切干大根
- かぼちゃ
- ごぼう
- たけのこ
- ブロッコリー
- インゲン豆
- 小豆
- おから
- 椎茸
- ひじき
2種類の食物繊維と便の関係について

実は食物繊維には2種類あり、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維に分けられます。
そのうち便秘に効くのは不溶性食物繊維です。水に溶けにくい繊維質なので水分を保持し、便のかさを増やして排便を促す作用があります。
一方の水溶性食物繊維には善玉菌を増やすなどの整腸作用があるので、下痢をしているときに効果的です。
水溶性と不溶性は1:2のバランスでとり入れると良いと言われていますが、腸や便の状態を見ながら調整していくことをおすすめします。
水溶性食物繊維が含まれる食品
- 果物
- かぼちゃ
- 大根
- こんにゃく
- 海藻類
不溶性食物繊維が含まれる食品
- 大豆
- 穀類
- ごぼう
- 玄米
- ココア
その他にもまだまだいいことがいっぱい!

「食物繊維といえば便秘に効く」と多くの人が認識していると思いますが、実はその他にも身体に良い機能がたくさんあるんです。
1.血中コレステロールを下げる
脂肪の消化吸収に関わる胆汁酸は肝臓でコレステロールを原料として作られますが、こんにゃくなどに含まれる水溶性食物繊維には胆汁酸の排泄を促進する作用があるため、血中のコレステロール値を下げる働きがあるといえます。
2.糖尿病を予防する
水溶性食物繊維は体内に入るとゲル化し、胃から腸への移動を緩やかにします。すると糖質の吸収速度もゆっくりになります。
食後の急激な血糖値の上昇は高血糖に繋がりますが、緩やかに上昇させることでインスリン(血糖値を下げるホルモン)が無理なく働くのを助けることができます。これが、糖尿病の予防に繋がるのです。
3.高血圧を予防する
水溶性食物繊維は、高血圧の原因となるナトリウムを体外に排出してくれる効果があります。
4.肥満を予防する
不溶性食物繊維は固い食品が多いため、必然的によく噛むようになり、早食いによる過食を防ぐ働きをします。
さらに胃内の滞留時間が長いため、満腹感が持続されることも肥満の予防に繋がります。
まとめ
以上、食物繊維が身体にとってどのような有用なはたらきをもたらしてくれるかということを説明しました。
食物繊維は第6の栄養素ともいわれており、便通に関すること以外にも生活習慣病の予防に繋がるなど様々な役割をしている重要な栄養素です。
食生活の変化により十分な量を摂取するのはなかなか難しいかもしれませんが、不足しないように食物繊維が多く含まれている食品を積極的に食卓にとり入れてみましょう。