風邪でしんどい時や頭が痛い時など、頼りになるのは薬ですよね。しかし薬には副作用というものが存在します。

副作用の中にも眠気や下痢などの比較的軽いものから、命にかかわる重大なものも存在します。命にかかわるような重大な副作用は、ごくまれにしか起こらないため大半の方は心配しなくても大丈夫ですが、絶対に起こらないとは言い切れません。

そこで大事なのが、その副作用がどういったもので初期症状にはどんなものがあるか、またその対処法を知っておくことです。これらを知っておくことで、重大な副作用であっても回復が早くなるなど、自分の身を守ることができます。
今回は重大な副作用としてよく目にする「薬物性肝障害」について詳しくお伝えしたいと思います。

目次

薬と肝臓の関係

薬物性肝障害の話をする前に、薬を服用した際に肝臓という臓器がどのような働きをしているか見ていきましょう。

薬を服用すると、数時間後にはその効き目が切れますよね。そこに肝臓がかかわっています。薬が体に入ると主に肝臓で代謝(解毒)され、胆道・腎臓から排出されるため効き目が続かないのです。

効き目が続かないというとデメリットに聞こえるかもしれませんが、仮に肝臓が薬を代謝せず、ずっと薬が体内にあるとしたらどうでしょう?かえって効き目が強く出すぎたり副作用がでたりする恐れがあるのです。

薬物性肝障害とは

薬は主に肝臓での代謝を必要としているため、服用する際には肝臓にどうしても負担がかかってしまいます。代謝されるとその結果代謝産物ができ、それが肝障害につながるといわれています。

肝障害とは肝臓にダメージが与えられ、肝機能が落ちてしまう状態を言います。このうち、薬が原因で肝障害が引き起こされた場合が「薬物性肝障害」です。

どのような症状が現れるのか?また初期症状とは?

肝機能障害が起きると、まず初期症状として倦怠感(だるい感じ)、発熱、発疹、食欲不振、黄疸(白目や皮膚が黄色くなる)、かゆみ、吐き気などが生じます。

無症状の場合もあるため、使用薬品や使用期間などによっては定期的な肝機能検査が必要となります。

初期症状の段階で放っておいた場合、肝不全などに陥り死亡する例も存在しています。

どのような薬が原因となるのか?

解熱鎮痛剤や漢方、抗生物質、抗がん剤、抗真菌剤などが原因となることがあります。またその他にも、抗てんかん薬や高血圧薬、抗血しょう板薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、痛風治療薬、脂質異常症治療薬などでも報告されています。

ご自身が服用する薬について説明書をしっかりと読み、薬物性肝障害が起きやすい薬かどうか認識しておくことが必要です。

1つの薬だと肝障害にならなくても、2種類以上の薬を服用することで肝障害が発現する場合もあります。加えて、サプリメントや健康食品でも発現することがあります。

そのため、併用薬日ごろ服用している健康食品なども医師や薬剤師にしっかりと伝えておく必要があります。

症状が出たらどうすればよいのか?

ほとんどの場合、原因薬物を服用中止することで改善されていきます。しかし、薬によっては自己判断で服用中止すべきではないものも存在しています。

そのため、症状が現れたらすぐに医師に報告してください。

また、市販薬やサプリメントが原因と考えられるならば服用を止め、服用していた薬の説明書などをもって病院にかかるようにしてください。

まとめ

薬を飲むと、少なからず肝臓に負担をかけてしまいます。そのため、普段からアルコールを飲む機会の多い方や、もとから肝臓が弱い方などは、特に今回ご紹介した薬物性肝障害には注意が必要です。

しかし初期症状や対応方法などを知っておくことで早期発見ができ、症状も改善されていくことが多いです。症状や原因となりやすい薬、また服用する薬の説明書などを確認しておくことが重要となります。

冒頭でもお伝えしたように、薬を飲んだからと言って必ずしも薬物性肝障害になるわけではありません。薬物性肝障害は、あくまで稀に起こる症状です。薬物性肝障害の心配をしすぎる必要はありませんので、医師の指示された薬はしっかりと服用するようにしてください。