薬の飲み過ぎで胃を痛めるという話は聞いたことがある方も多いと思いますが、肝臓も痛めることがあります。しかも薬だけではなく、健康食品やサプリメントなどの摂取によってもおこり、たった一回の摂取で重症の肝障害になることもあります
手軽に手に入る健康食品ですが、本当に健康でいたいのであれば本記事を一読し、日ごろの体調に気を配ってください。

目次

薬物性肝障害とは

薬の服用によって肝臓にダメージが加わり、肝臓の機能が弱まったり、肝臓の細胞が死んでしまったりすることです。これは薬だけでなく健康食品の摂取でも起こることが報告されています(国民生活センターより)。

肝臓は、少々ダメージが加わっても症状の出にくい臓器です。機能が弱まった細胞がいても、正常な細胞が頑張って、肝臓全体として問題なく機能するからです。

しかし、肝臓がダメージを受けている原因を取り除かないとダメージは広がっていきますし、正常な細胞も頑張りすぎて疲弊してしまいます。

肝臓の働きはとても多いので、症状も多岐にわたります。「症状」の欄に目を通し、薬やサプリメントを服用し、該当するものがあれば病院で検査することをお勧めします。

原因

薬は体内に入るとまず代謝(体が利用できる形に変化すること)されます。この代謝は肝臓で行われるため、肝臓には薬の影響がダイレクトに出やすいのです。

中毒性

薬そのものに肝臓に対しての毒性がある場合、肝臓の細胞が死んでしまいます。また代謝によって薬の構造が変化している途中の物質が、肝臓に悪影響を及ぼす場合もあります。

薬が体内でどのように作用するのかについての研究は近年進歩してきています。そのため試験管の中の細胞実験や臨床試験中に開発中止となる事例が増えていますが、副作用や肝臓への毒性についてはまだまだ見極めが難しい部分があります。臨床試験中に開発中止となる事例が15~20%、市場に出回ってから開発中止となる薬も多く存在します(日本薬理学雑誌Vol. 144 (2014) No. 1 pp.22-27より)。

中には、動物実験では問題がなかったのに人で重篤な障害がみられる薬もあります。市場に出回って多くの人が使ってから肝毒性が判明する場合もあるので見極めは難しく、医師から処方された薬でも、肝臓に毒性が出る恐れは十分にあり得ます。

アレルギー性

薬そのものや、薬が肝臓で代謝されることで出来た物質に対してアレルギー反応を示してしまうことがあります。アレルギーや免疫反応による炎症が起こるかどうかは、実験動物の評価システムが未だに確立されていないので予測が難しいのが現状です(日本薬理学雑誌Vol. 144 (2014) No. 1 pp.22-27より)。

症状

倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸、発疹、吐き気・おう吐、かゆみ等が現れます。

また寒気、頭痛、尿の色が濃い(褐色尿)、腹部不快感など、人によって症状の出方が異なるため、体の違和感を覚えたら早めの受診をお勧めします。

予防するためには?

薬を持った女性

一度に多量を飲まない

昼の服用を忘れたからといって、夕食後に昼と夜の薬を合わせて飲むのは止めましょう。一回の飲む量が多くなると、副作用が現れやすくなります。

決められた飲み方を守る

薬の服用には食前・食後・食間・寝る前の他に、多量の水または湯で飲むように指示があります。

食事の前に飲むと最大限の効果が発揮される薬は「食前」、薬の作用で胃が荒れる場合は「食後」、薬を飲むタイミングには意味がありますので、指示を守りましょう。

水の量が書かれていない場合はコップ一杯の水で飲むようにしましょう。また、水以外(アルコール、お茶、ジュース)などで飲むのは、薬の成分に作用する場合がありますので、止めましょう

医師と処方薬について相談する

他の病院から処方されている薬や市販薬を飲んでいる、サプリメントや健康食品を摂取している、アレルギー体質である、過去に薬で蕁麻疹が出たことがあるという方は、医師が薬を処方する前に伝えておきましょう

また肝臓や腎臓に何らかの症状があったり、病名が診断されている方も、医師と相談をしましょう。

まとめ

症状が続く場合は使用を中止し病院を受診しましょう。勝手に服薬を止めると危険な薬である場合や判断のつかない場合は早急に処方した医師に相談してください。