薬の副作用と思われる症状が出たとき、あなたはどうしますか?
病院で処方された薬の場合は、手渡されたときに「こういう症状やいつもと違う症状に気づいた時にはすぐ連絡をください」と、主治医や薬剤師から指導を受けているはずです。ですが、市販薬のときはどうでしょうか。「副作用なんて起こらない」と信じていませんか?
本記事では、薬の副作用で気をつけたい症状と、「医薬品副作用被害救済制度」についてお話しします。
市販薬でも、副作用は起こり得る
5年間で15例の死亡報告が
薬によって生じる、病気・症状を治すのに役立たない働きや、反対に害を成してしまう反応のことを副作用と呼びます。
市販薬(一般用医薬品)は基本的に、病院で処方される医療用医薬品と比較すると副作用のリスクは低い商品です。
しかし、だからと言って副作用が起こらないとは限りません。
消費者庁によると、平成21年度から25年度までの間に報告された副作用のうち、市販薬によるものは1,225例もありました。
このうち15例で患者さんが死亡、15例で後遺症が残ったといいます。
市販薬であっても、命に関わる副作用が起こることがあるのです。
副作用の起こらない薬はない
まず知っていただきたいのは、副作用が起こらないと断言できる薬はないということです。用法・容量を守って正しく使っていたとしても、思わぬ副作用が生じることはあり得ます。
「漢方には副作用がない」と思っている方がいるかもしれません。しかし、どんな薬にも必ず副作用があります。
そして、そのリスクを医師が完全に予測することはできません。
つまり、副作用は全ての人にとって他人事ではない問題なのです。
こんな症状が出たら、副作用を疑って

薬を服用していて、下記のような症状がみられたら副作用を疑います。
ここに挙げた症状以外にも多岐にわたる症状がみられるため、いつもと違う症状が起こった場合は医師や薬剤師に相談してください。
- 発疹
- 眠気
- 不眠
- 動悸
- 喉の渇き
- かゆみ
- 胃の不調
- 便秘・下痢
また、ここからは特に重篤な副作用として報告されている病態と、その初期症状をお伝えします。
薬を服用していて以下の症状がみられたら、すぐに医療機関を受診してください。
スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症
医薬品の使用やウイルス感染などがきっかけで、皮膚や粘膜に壊死性の病変がみられます。
薬の服用を始めてから2週間以内の発症が多いですが、1ヶ月以上経ってから発症することもあります。
- 高熱
- 眼の異常(充血、目やに、まぶたの腫れなど)
- 皮膚の異常(赤くなる)
- 粘膜の異常(唇・陰部のただれ、喉の痛みなど)
- 全身倦怠感・食欲低下
薬剤性肝障害
薬の代謝は肝臓で行われることが多いため、副作用として肝機能障害がみられることがあります。
多量に服用して初めて症状が出る場合もあれば、飲んだ量に関係なく症状が出ることもあります。
- 発熱
- 発疹
- 黄疸
- 全身倦怠感・食欲低下
- 吐き気・嘔吐
- かゆみ
間質性肺炎
肺にある肺胞という小さな袋が炎症を起こし、呼吸が苦しくなる病気です。
薬の服用を始めてから1~2週間程度で生じることが多いようです。
- 少しの運動で息切れする
- 空咳
- 発熱
急性腎不全
腎臓の機能が急激に低下してしまう病気です。薬の服用から数時間以内に発症することもある一方、数年経って初めて発症することもあります。
- 尿の量が減る・ほとんど出なくなる
- 一時的に尿の量が増える
- 発疹
- むくみ、倦怠感
喘息発作
NSAIDsと呼ばれるアスピリンなどの解熱鎮痛剤を服用したときに、喘息発作や鼻症状の悪化が生じることがあります。薬の服用から1時間程度で発症することが多いといわれます。
- 喘鳴(ゼーゼー、ヒューヒューとなる)
- 息苦しい
症状が出たら、医師・薬剤師に「薬の名前」を伝えましょう
上記を含め、薬を服用したことでいつもと違う症状がみられた場合、まずは、医師、薬剤師に相談してください。
このとき、できれば使用した薬を持参します。持参できない場合でも、なんの薬を使用したのか、必ず名前を伝えましょう。
アレルギーが原因となった場合、その薬を再び摂取しないようにすることが一番の対策となるため、受診の前に必ず確認しておいてください。
覚えておいてほしい、医薬品副作用被害救済制度
上でも説明したように、医薬品はきちんと使っていたとしても副作用が生じてしまうことがあります。
そこで、医薬品を適正に使用したにもかかわらず、入院が必要なほどの健康被害が起こってしまった場合、医療費や年金の普及を行う制度が整えられています。
それが「医薬品副作用被害救済制度」です。
この場合の医薬品は、病院で処方されたものだけでなく、薬局などで購入した市販薬も対象となります。
給付には、様々な条件や判定が必要です。そのため、健康被害を受けた場合、ご本人(または遺族)が医薬品医療機器総合機構(PMDA)に申請を行う必要があります。
医師の診断書や受診証明書などの書類を添えて申請を行うと、最終的に厚生労働大臣が判定し、給付の可否が決定されます。
詳細は、医薬品医療機器総合機構のサイトをご確認ください。
まとめ
副作用は、できれば起こらないでほしいものです。しかし、どれほど注意したとしても100%防ぐことはできません。
万が一に備えて、どのような副作用が起こり得るのか、また副作用が起こってしまったらどうすべきかを頭の隅に置いておいてください。
重篤になる前に対処することが、あなたの命を救うことになるのです。