妊娠中・授乳中ではないのに乳首から分泌液が出てくる症状を乳頭異常分泌と呼びます。
女性はもちろんですが、男性でも起きることがあり、その原因には病気がひそんでいることがあります。
この記事では、乳頭異常分泌が見られたときに考えられる原因について、考えられるものをいくつか紹介しています。
乳頭から液体が…異常なのはどんな時?
授乳中でないのに乳頭から液体が分泌されると驚いてしまうかもしれませんが、時に認められ、病的なこととの鑑別が必要です。
妊娠後期や授乳中には母乳が出てきますが、これは女性であれば誰にでも起こりうる正常な分泌といえます。
そのほかにも妊娠可能な年齢の女性の場合、刺激やストレスで乳頭から分泌物がでることが稀にあります。
病的なこととの鑑別が必要なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 片方の乳房だけに生じる
- 液体が出た乳房付近に触ってわかるしこりがある
- 液体の色が赤い(血液が混じっている)などの症状がみられた
ただし、分泌物の見た目だけで異常か正常かを見分けることは難しいため、自己判断は禁物です。
妊娠中・授乳中でないのに分泌物が出てきた場合や、分泌物以外の症状(痛みなど)が出た場合には、乳腺科もしくは乳腺外科を受診しましょう。
両側の乳房から認められる場合は、乳腺自体の病気というより、内分泌的な異常が考えられます。産婦人科を受診して、相談することをお勧めします。
乳頭異常分泌の原因は?
以下のような原因が考えられます。
乳管内乳頭腫
乳管内にできる良性の腫瘍で、乳首から分泌物が出る原因として最も一般的です。
乳管内乳頭腫になると、片側の乳首から、赤やピンクなど血の混じった分泌物が出ることがあります。
乳がんとの鑑別が必要ですが、乳管内乳頭腫と診断された場合には経過観察をしていきます。
乳腺症
乳腺にできる良性の腫れです。女性ホルモンのバランスの乱れが原因とされており、月経不順の方に多いと言われています。
胸全体がしこりのように張って鈍く痛み、透明~乳白色の分泌物が出ることがあります。
こちらも乳がんとの識別が必要です。乳腺症と診断された場合、基本的に治療は必要ありません。規則正しい生活を心がけるようにします。
感染症による乳腺炎
乳腺とその周辺が炎症を起こした状態です。
細菌に感染することで乳房が腫れて熱をもち、痛みます。その際、乳頭から膿が出ることもあります。
授乳中のほか、けがや手術の後にみられます。
抗生物質を処方してもらうことで治ることが多いですが、酷い場合には膿を取り除くために切開が必要となることもあります。
高プロラクチン血症
乳汁を作りだす催乳ホルモン「プロラクチン」が過剰に分泌し、乳首から乳白色の分泌物が出てくることがあります。通常は、両側性(両方の乳房から分泌物が出るケース)に認められます。
プロラクチンが過剰に出てくる原因としては、ホルモンの分泌をコントロールしている下垂体の腫瘍、精神薬や胃潰瘍の際に服用する一部の薬の副作用などが考えられます。
乳がん
乳房にできる悪性腫瘍で、血の混じった分泌物がでることもあります。
若年層の女性にもみられる疾患で、25歳~64歳までの女性の死亡原因の第一位となっています(日本対がん協会より)。また、稀ですが男性も乳がんになることがあります。
まとめ
乳頭から異常な分泌を生じる病気はたくさんあり、上記に挙げたほかにも原因として考えられることはあります。
乳がんなど、命に関わる病気の可能性もあるため、医師に診てもらい必要な検査を受けることが大切です。
お早めに乳腺外科等を受診し、早期の治療につなげましょう。