歯並びやかみ合わせが悪いと、見た目にコンプレックスを持ちやすくなってしまうだけでなく、虫歯になりやすかったり、食べ物をうまく噛むことができなかったりといったデメリットが生じます。

では、歯並びやかみ合わせを改善する矯正器具にはどのようなものがあるのでしょうか。今回は歯科矯正に用いる装置である「固定式装置」と「可撤式装置」それぞれの長所や短所について解説します。

目次

歯科矯正治療の目的は「口腔機能」の改善と向上

歯科矯正と聞けば「歯並びを治す」というイメージがあると思いますが、歯科矯正治療における最大の目的は「口腔機能の改善と向上」です。

正しいかみ合わせに矯正することで、たいていのものを食べることが可能となります。また、歯並びが良くなれば磨き残しもなくなり、虫歯や歯槽膿漏、口臭、構音(発音)障害などの原因を取り除くことにもつながります。

さらに、歯の矯正を行った結果として歯並びや口元が綺麗になり、顔貌も良くなるのです。

つまり、歯の矯正は機能面と審美面の両方を改善させる意味があるということになります。

固定式装置の長所と短所とは?

固定式装置

自分で取り外したりができないタイプの装置のことを固定式装置といいます。
固定式装置の代表的なものがマルチブラケット装置(以下ブラケット)です

固定式装置の長所

ブラケットは、歯科医師が歯にしっかりと固定する装置です。
自分で着けたり外したりすることがないため、確実な効果が見込めます

固定式装置の短所

食べ物がワイヤーに挟まったり、装置の凹凸に汚れが着きやすかったりと、衛生面の管理が難しい・審美面で劣ることがデメリットといえます。

ブラケットは汚れやすいので、粘着性のある食物はできるだけ避け、食事の後には必ず歯を磨くよう心がけてください。特に汚れがのこりやすい奥歯の装置周辺は要注意です。矯正用の歯ブラシもあるので、必要に応じて試してみても良いでしょう。

加えて、ブラケットやワイヤーが口腔内の粘膜に当たることで、痛みや口内炎ができる方もいます。

子供では3日程度、成人では1週間程度で痛みはなくなりますが、痛みがひどい場合は担当医師と相談してください。

可撤式装置の長所と短所とは?

可撤式装置

患者さんが自分自身で装着したり外したりすることができる装置を可撤式装置といいます。マウスピース床矯正装置(レジンとワイヤーで作られる装置)、ヘッドギアなど多くの種類があります。

可撤式装置の長所

可撤式装置はその名の示す通り、自分で外すことができるというのが最大の利点です。食事の時には外しておけば、食べ物が詰まることはないので衛生的です。

また、透明な素材のマウスピースであれば、見た目への影響もそれほど大きくありません

可撤式装置の短所

「自分で外せる」という利点は、裏を返せばデメリットにもなり得ます。

まず、装置の管理を怠ったり、不適切な着脱を繰り返したりしていると、破損や紛失のリスクが生じます。

また、装置を外している時間が長すぎると矯正治療の効果は望めないということも忘れないでください。

可撤式装置は歯の移動に伴い、徐々に装置が合わなくなってきます。そのため、時には歯の型取りを行い、装置を作り替える必要が出てくることも特徴の一つです。

最後に

歯並びやかみ合わせは、見た目だけでなく、充実した生活を送る上でとても大切なことですね。

かみ合わせが良ければ、顎や骨格にも良い影響を与え、結果として健康寿命を伸ばすことにもつながります。歯並びやかみ合わせが気になっている方は、矯正歯科で相談してみてはいかがでしょうか。

また、歯列矯正は時間もお金もかかる治療です。矯正歯科では自分にあった治療法や費用についてきちんと説明を受け、納得してから治療を受けるようにしてくださいね。