男性に多い痔瘻は、一般的に「あな痔」と呼ばれます。下着が汚れたり、肛門がズキズキと痛んだり、熱が出たりすると、仕事や日常生活にも影響が出ますよね。

痔瘻は、一体どうしてできるのでしょうか。本記事では、痔瘻の原因や治療、その予防方法について解説します。

目次

痔瘻とは?どういう流れでできるの?

肛門と直腸の境目を歯状線といいます。歯状線より内側が直腸で、外側が肛門です。この歯状線には肛門陰窩(こうもんいんか)というポケット状のくぼみがあります。

下痢などで便がやわらかくなっていると、肛門陰窩に便が入り込んでしまうことがあります。これだけで問題になることはありませんが、体力が低下しているときなどに肛門陰窩の奥の肛門腺まで便が入り込むと、便に含まれる細菌(大腸菌など)に感染し、化膿を起こすことがあります。この、膿が溜まった状態を肛門周囲膿瘍といいます。

肛門周囲膿瘍が進むと、肛門陰窩の反対側の皮膚に穴(二次口)があき、膿のトンネル(瘻管:ろうかん)ができてしまいます。この状態が痔瘻(あな痔)です。

肛門周囲膿瘍では、ズキズキとした痛みや腫れ38~39度の高い熱が出ます。また、痔瘻になると痛みはありませんが、二次口から膿が出るため下着が汚れることがあります。

痔瘻の原因になるのは?

トンネルの出口

健康な状態であれば、肛門陰窩に便が入り込むことはありません。また、もし入ったとしても感染や化膿を起こすことはありません。

痔瘻のもととなる肛門周囲膿瘍が起こるのは、便がやわらかく入り込みやすい状態(下痢)になっているときや、抵抗力が低下しているときです。これらの状態を引き起こす原因としては、ストレスアルコールのとりすぎなどがあります。

また、痔瘻は女性よりも男性に多いことが知られています。その理由は明らかになっていませんが、お酒を飲む機会が多かったり、仕事などでストレスを受けやすかったりする男性は注意が必要です。

痔瘻や肛門周囲膿瘍を疑ったらすぐに受診して

痔瘻ができてしまうと、自然に治ることはありません。市販薬で治すこともできないので、肛門周囲膿瘍の段階で受診することをおすすめします。

受診の前に痛みがひどいようであれば、患部を冷やしてください。他の痔では患部を温めると痛みが引きますが、痔瘻の場合、温めると炎症が悪化してしまいます。

肛門周囲膿瘍に対しては、抗生剤の投与や切開など、膿の排泄を促す処置を行います。

また、肛門周囲膿瘍の段階であれば、放っておくと膿が排泄されてそのまま治る場合もあります。しかし何度か症状を繰り返すうちに瘻管ができてしまい、最終的には外科的な治療が必要となるケースが大半です。ですから、早めの受診をおすすめします。

痔瘻を予防する3つのポイント

痔瘻の原因は、ストレスやアルコールの過剰摂取などによる下痢抵抗力の低下です。

そのため、まずは腸内環境を整えることと、体調不良を起こさないように気を配ることが第一です。

  • アルコールや香辛料を過剰摂取しない
  • 疲れをためない
  • 食生活を見直す(暴飲暴食や栄養過多、偏食などをやめて腸内環境を整える)

まとめ

痔瘻は、痔核(いぼ痔)裂肛(切れ痔)とは違い、市販薬やセルフケアで治すことはできません。肛門周囲膿瘍を繰り返すと、トンネルが複雑化したり大きくなったりしてしまうこともあります。一度治療したとしても、生活習慣を見直さなければ再発もあり得る病気です。

もし肛門周囲膿瘍になったら、速やかに肛門外科を受診しましょう。そして、自分の排便習慣やアルコール摂取量が適切か、一度考えてみると良いでしょう。