女性では比較的多く悩むことがある「便秘」。この便秘は生まれたての赤ちゃん(新生児)から、離乳食が終わる段階の乳児でも同様にみられます。

おとなでも便秘の傾向がある方もいますが、乳児でも同様な症状がみられることがあり、うんちの回数・固さも変わってくるために心配になる親御さんは多いかと思います。ここでは、便秘に関して乳児での原因・症状、医療機関を受診する目安、自宅で対応できることを解説します。

目次

乳児の便秘の原因

 赤ちゃんが便秘になる原因は、主に以下の4つと言われています。

1.食事

授乳や離乳食の時間が規則的でない、また量が足りない場合にみられます。

夏場は汗で水分が多く失われるために便秘傾向となります。また離乳食開始後には水分不足や腸管の細菌のバランス変化により便秘傾向となることがあります。

2.運動不足

まだ自分で動くことができないため、腹部の筋肉が発達していません。このために、腸を動かすだけの「りきみ」がまだできないと考えられます。

3.神経が未発達

腸の動きを含めた、体のバランスを支配する自律神経が未熟であります。

4.生活習慣

おむつかぶれや切れ痔による痛みより、乳児が排便時にいきむことを我慢してしまいます。

乳児の便秘の症状とは

大人では、便秘の症状として下腹部の違和感・腹痛・食欲低下などを自覚します。そのため、自分でサプリや内服薬、また運動をするなど自己管理ができます。

その一方で、赤ちゃんの便が出ない場合には、大人とは異なり自分で症状を訴えることができません。このためにご両親はこのまま様子をみてよいかどうか、判断に迷うことは多いかと思います。

乳児も成人と同様に、12日に1回の便を出すことが理想的であります。乳児の便秘の症状の目安としては以下の通りです。

  1. 5日以上、便が出ていない
  2. 便をするときに、肛門からの少量の出血がある
  3. 排便の回数が週に3回以下である

また、便秘の症状としては以下のようなものがあります。

  1. 便が出るときに痛そうにし、不機嫌になり泣く
  2. おなかが張ってきて、触ると下腹部が硬い
  3. ミルクや母乳の飲みが悪くなってきた
  4. 便を出すとき、おしりの穴などが赤く出血をすることがある

乳児の便秘で受診を検討する目安

子供とぬいぐるみ

前述の症状から便秘である場合、医療機関を受診するか自宅で対応を続けるか判断に迷うとことがあります。赤ちゃんの様子からの判断の目安を以下に記載します。

1.おなかが張っている

普段とかわりがない場合には、食事(ミルク・母乳・離乳食)などの量が少ないことが多いです。暑い・寒い、あるいは体調が悪いなどを含めて食事量が少ないこと、または排便を促す食物繊維が少ない可能性があります。水分を多めにとらせてみてください。

下腹部が普段と比べて張っている、硬い場合には、便がたまっている可能性があります。後で述べる腹部のマッサージや綿棒浣腸を試して便通を促してあげてください。

 2.お子さんの機嫌が悪い

機嫌が良い(いつもと変わらない)と判断されれば、経過を見てよいでしょう。引き続き水分摂取を多くしておなかのマッサージを実施してください。

反対に機嫌が悪い、便をするときに顔を赤くする場合には、食欲などの症状にも注意してください。食欲がなければ受診もご検討ください。

3.食欲(哺乳力)がない

便が出ていなくても食欲が普段通りであれば、様子はみてよいですが、水分を普段以上に多くとらせてください。また、食欲がない場合には注意が必要です。

「お腹が張っている」「機嫌が悪い」「食欲がない」という症状のうち2つ以上がみられて生活に支障があるとご両親が判断した際には、受診を検討してください。医療機関では、浣腸の処置や下剤の処方(液体・粉薬など)が行われます。

乳児の便秘の対応~自宅でできること

自宅で対応できることは、以下の通りです。以下は連日行っても身体には影響はなく、排便習慣をつけるためには継続的に実施することをおすすめします。

1.お腹の「の」の字マッサージ

赤ちゃんのお腹に「の」の字を書くように、圧迫しないよう優しくマッサージをします。

同時に、赤ちゃんの両足首を少し持ち上げて、歩かせるように左右の足を交互に動かしてみてください。

「の」の字を書くことは、自然な便の動きを促します。また、後者の動きでは太ももと膝をおなかに着けることで腸の収縮を促すため、便秘に効果的と考えられています。15秒から30秒を1サイクルとして、1回に2-3サイクル程度は実施してください。

2.肛門刺激

マッサージと同時に、お尻の穴(肛門)に刺激を与えて便を出し、刺激を促してください。

方法としては赤ちゃん用の綿棒にオリーブオイル・ベビーオイルをつけて、綿棒の太い部分を肛門に入れます。1秒に1回程度、時計回りで30秒から60秒ほど刺激を与えてください。

3.オリゴ糖

6か月を経過した乳児には、オリゴ糖を与えてみることも1つの方法であります。

オリゴ糖には、腸内の大腸菌のうちビフィズス菌など「善玉菌」を増やして腸の動きを促す作用があります。投与する目安としては1日あたり0.5gから1gが目安となります。

まとめ

乳児の便秘の症状は、成人と異なり自分でコントロールをすることが難しいために、親御さんが日々の様子や症状の変化に気付くことが重要です。

便秘は、自宅でも腹部のマッサージや肛門刺激など、日々の習慣を継続することが大切です。ただ、食欲低下・腹部の張りなどの日常生活での支障が明らかとなった場合には、早めに医療機関の受診をご検討ください。