赤ちゃんやお子さんの便に血が混じったことはありますか? 便が赤くなるとびっくりしますよね。便が赤くなる原因はどんなことでしょうか? どんな病気が考えられるでしょうか? ここでは、子供の便に血が混じる原因と病気について説明していきます。参考にしてみてください。
血便とは
消化管は1本の管です。口から始まり、口→食道→胃→小腸→大腸→肛門とつながっていきます。このどこかで出血して、口から出た場合を吐血(とけつ)といい、肛門から出た場合を血便/下血(げけつ)といいます。
上部消化管と呼ばれる食道や胃から出血した場合は、便として排泄されるまでに時間がかかり、胃では胃酸により酸化されて赤黒い便(タール便)になります。
これに対して、下部消化管と呼ばれる小腸や大腸から出血した場合は、褐色~鮮やかな赤色の便になります。直腸など肛門に近いほど、色調は鮮やかです。
血便の原因は何!?
子供の血便の原因となる病気にはどのようなものがあるのでしょうか。
乳幼児に多いものとしては 腸重積や消化管アレルギー、幼児期(それ以降)に多いものとしては細菌性腸炎やメッケル憩室、アレルギー性紫斑病があります。他には、裂肛、若年性ポリープ、頻回の下痢などが血便の原因となります。
一つずつ説明していきたいと思います。
腸重積
口に近い方の腸が肛門に近い方の腸に入り込んでしまった状態になる病気です。
症状として、良くなったり悪くなったりを繰り返す腹痛(間欠的腹痛)、嘔吐、血便があります。血便は、イチゴゼリー状と表現されるような色のドロッとした便が特徴的です。
しかし、全ての症状がそろわないこともあります。この場合には至急、腸管の高圧浣腸による整復が必要なので受診してください。
消化管アレルギー
乳幼児では母乳やミルクの成分にアレルギー反応を起こすことがあります。これはまだ消化管の機能が十分に発達しておらず、しっかりと消化できないことなどが原因と考えられます。
唇の腫れや嘔吐などとともに、下痢や血便を認める場合があります。この状態が長く続くと、体重増加不良の原因になることもあります。
感染性胃腸炎(細菌性腸炎)
いわゆる食中毒です。発熱、嘔吐、腹痛とともに下痢・血便がみられます。
原因としては、カンピロバクター(鶏肉など)、サルモネラ菌(生卵・生焼けの牛肉など)、病原性大腸菌(牛肉など)が多いです。
メッケル憩室
メッケル憩室とは、子どもがまだお母さんのおなかの中にいた頃に 母親から赤ちゃんへ栄養を送るために使われていた管が残ってしまったものです。
本来、この管は生まれるまでになくなるのですが、小腸の一部に袋状に残ってしまう場合があります。その組織には胃の粘膜が混じっていることがあり、そこから胃酸が産生され、胃酸によって周りの腸が障害され、そこから出血します。
血便以外の症状、嘔吐や発熱はあまり目立ちません。2歳以下の乳幼児に多いですが、成人での発症もあります。
アレルギー性紫斑病(しはんびょう)
血管性紫斑病ともヘノッホ・シェーライン紫斑病とも呼ばれます。はっきりとした原因は分かっていませんが、何らかの原因により血管にアレルギー性の炎症が起こります。
症状は、関節症状(関節痛や関節の腫れ)、腹部症状(嘔吐・腹痛・血便)、皮膚症状(足などに少し盛り上がりのある小さい発疹ができる/紫斑)です。初めに 関節症状や腹部症状があり、その後皮膚症状がでてくることが多いです。
腎臓に影響が出ることがあるので、注意が必要です。3~10歳の子供に多いといわれています。
裂肛(れっこう)
便秘による硬い便で肛門が切れてしまい、便に明るい赤い血が付着します。
若年性ポリープ
便の粘膜に対する刺激が原因でできる、腸の粘膜が盛り上がったものです。盛り上がった部分の表面が便などでこすれることで出血し、便に血液が付着します。
若年性ポリープは良性で、自然になくなることもありますが、切除してしまえば問題になることはありません。
下痢に伴うもの
胃腸炎にかかった時などに、下痢の回数が多いと腸の粘膜が切れてしまい、便に血が混じることがあります。
いつ病院へ行くべきなの?

子供での血便はあまり多い症状ではありません。
明らかな便秘があり、肛門が切れていることを確認できる 時には急いで医療機関を受診する必要はありませんが、それ以外の場合では医療機関を受診するようにしましょう。
特に、間欠的な腹痛を認める時、腹痛が強い時、顔色が悪い時などには急いで受診するようにしましょう。
まとめ
血便は多い症状ではありませんが、それほど珍しいというものでもありません。ただ、よく見るものではないので、血便が出た時には驚かれるかもしれません。血便が出た時にはあわてず、写真を撮るようにしましょう。どのような色なのか、どのくらい血液が混じっているのか、どのような性状の便なのかなどが診断に役立つことがあります。医療機関を受診した際には見せるようにしましょう。血便以外の症状を認める場合や血便の量が多い場合には、早めに受診するようにしましょう。