禁煙をしよう!と思っても、いきなりタバコを全く吸わないようにするには、かなりの努力が必要になってきます。また、そのために途中で断念してしまう場合もあります。そんな時のためにあるのが、禁煙補助薬です。市販で買えるものと禁煙外来などで医師の処方がなくてはいけないものとがありますが、ここで詳しく説明していきます。
1.バレニクリン
ニコチンを含まない禁煙補助剤です。禁煙外来などで処方されるもののみで、市販薬はありません。禁煙成功率の高いものとされています。
- チャンピックス0.5mg(バレニクリン 0.5mg)
- チャンピックス1mg(バレニクリン 1mg)
使い方
禁煙を開始する1週間前から服用を開始します。1日~3日までは0.5mgを1日1回、4日~7日までは0.5mgを1日2回と量を増やし、8日目(このタイミングで禁煙を開始します)から治療が終了する12週目まで、1mgを1日2回服用します。副作用などを見ながら、医師が減量などを行います。
禁煙治療プログラムは12週間で終わりますが、不安がある時はその後も保険適用外で12週間延長して使用が可能です。
メリット
- ニコチンを含んでいない
- 肌が敏感な方も使える(貼り薬と比べて)
- 歯が悪い方、日常的にガムを噛むことができない方も使える(ガムと比べて)
デメリット
- 不眠になりやすく、悪夢を見る場合がある
- 頭痛や吐き気、便秘などが出やすい
- めまいや傾眠などが突然起こることがあるため、車の運転などは禁止
- 突然の喫煙要求が起こっても対応はできない
2.ニコチンパッチ
皮膚からニコチンを吸収するニコチン製剤です。禁煙外来で処方されるものと、市販されているものがあります。
医師から処方されるニコチンパッチ
- ニコチネルTTS30(ニコチン含有量52.5mg)4週間
- ニコチネルTTS20(ニコチン含有量35mg)2週間
- ニコチネルTTS10(ニコチン含有量17.5mg)2週間
市販されているニコチンパッチ
グラクソ・スミスクライン
- ニコチネルパッチ20 (ニコチン含有量35mg)6週間
- ニコチネルパッチ10 (ニコチン含有量17.5mg)2週間
大正製薬
- シガノンCQ1 (ニコチン含有量78mg)6週間
- シガノンCQ2 (ニコチン含有量36mg)2週間
使い方
医療用の場合は、1日1回24時間皮膚に貼っておきます。市販薬の場合は1日1回、起床時から就寝前まで貼ってください。
入浴時に取れる場合があるため、入浴前に貼り替えると良いでしょう。また、パッチを貼る際には腕や肩・お腹・背中など、上半身に場所を変えて貼ってください。
メリット
- ニコチンの血中濃度を安定させ、確実にニコチンを補給できる
- 簡単に貼ることができ、目立ちにくい
デメリット
- 皮膚のかぶれが見られることがある
- 不眠になりやすく、夢をよく見るようになる
- ニコチン量が多くて頭痛が起こる場合がある
- 汗をかく人には向いていない
- 突然の喫煙要求には答えられない
3.ニコチンガム
口腔粘膜からニコチンを吸収させるニコチン製剤です。禁煙外来などで使われることはなく、市販薬のみとなります。使用期間は12週間です。
市販薬
- ノバルティスファーマ:ニコチネルシリーズ(1個あたりのニコチン含有量は2mg)
- ジョンソンエンドジョンソン:ニコレットシリーズ(1個あたりのニコチン含有量は2mg)
使い方
タバコが吸いたくなったら、1回1錠を、30分から1時間かけてゆっくり噛みます。治療開始時の目安量は下記です。
- 禁煙前の本数20本以下:1日4~6個
- 禁煙前の本数21本~30本:1日6~9個
- 禁煙前の本数31本以上:9~12個
1日の最大個数は24個までです。1ヶ月ほど経ったら、1週間に1個ずつ程度減らします。1日の使用が1~2個になったら噛むのをやめてみましょう。
メリット
- 突然の喫煙要求に対応できる
- 口が寂しい時にも対応できる
- ハサミで切って使用量を調節できる
デメリット
- 吐き気や喉の痛みが出ることがある
- 噛み方にコツがいる
- 入れ歯がある場合、脱落や損傷を起こすことがある
- 口の中が酸性になると、ニコチンが吸収されにくくなる
まとめ
ニコチン中毒が病気だと認識されるまでは、禁煙補助薬もありませんでした。そのため、禁煙はとても難しいものでした。しかし現在、薬を使うことで、辛い離脱症状を克服しながら禁煙することができるようになってきています。
喫煙は自分の健康に悪いだけでなく、周りの人も巻き込むものです。周囲の大切な人の健康を守るためにも、上記のような薬の力も借りながら、禁煙に挑んでみてはいかがでしょうか。