昨今、「喫煙者が生活しづらくなってきた」という声が聞かれるようになってきました。なぜでしょうか?たばこは、がんや肺疾患・心疾患等の生活習慣病を発症する原因となることが問題視されています。そのため、WHOは世界保健総会で2001年にたばこの規制に関する世界保健機構枠組条約を可決し、2003年発行しました。日本も2001年に批准し、さまざまな取り組みが行われており、禁煙を推進する運動が盛んになっています。そのなかの取り組みの一つに禁煙外来もあります。いまやたばこが身体に影響する問題は、世界中で議論されているのです。

目次

禁煙外来とは?

禁煙外来とは、病院の外来で医師の診察・指導のもとに治療していくことを指します。日本では、2006年から健康保険が適応されるようになり、診療できる病院も増えています。治療では、禁煙補助薬が使用されます。禁煙補助薬を利用した場合、自力の禁煙に比べて3~4倍禁煙しやすくなるといわれています。禁煙補助薬には、飲み薬と貼り薬があります。市販の禁煙補助薬(ガムや貼り薬)もありますが、医師に処方される禁煙補助薬に比べ、有効成分の含有量が少ないため、喫煙本数が多い人には適さない可能性があります。

禁煙外来を利用するメリット

医師の指導のもと、個人の喫煙量に合わせて禁煙補助薬を使用した治療ができます。
喫煙をしたくなるのは、身体がたばこに含まれるニコチンを欲するためであり、吸えないときにイライラしたりするのは、ニコチン離脱症状です。ニコチン離脱症状を禁煙補助薬が和らげてくれます。ニコチンに対する依存度は、たばこの喫煙歴や1日の喫煙量等も影響するため、きちんと診断して個人に合わせた治療計画を立てることが成功への近道です。
また、禁煙に成功すると以下のようなメリットがあります

1.健康的になる

禁煙をすると、その後たったの24時間で心臓発作のリスクが減っていきます。その後はの症状が減るほか、感染症にかかりにくくなるような効果も比較的すぐにみられます。日常生活の中でも、味覚・嗅覚が改善されるため食事がおいしくなる目覚めが良くなる胃の調子が良くなるなど、体調の改善を実感することができるでしょう。

禁煙を数年も続ければ、虚血性心疾患脳梗塞肺がんなど重大な疾患のリスクが減り、病気にかかる危険が非喫煙者と同じくらいのレベルにすることができます。

2.タバコ代がいらなくなり、節約になる

2016年現在、多くのタバコは1箱(20本)およそ400円~500円程度で販売されています(JTより)。1箱400円として、もし1日に1箱吸うとしたら、その価格は1年間で146,000円にもなります。7年間吸い続けると、タバコ代だけで100万円を超えてしまうのです。この金額が節約できるのは、禁煙の大きなメリットの一つといえるでしょう。

3.周囲の人への影響がなくなる

副流煙

まず、周囲の方への受動喫煙による害がなくなります。それだけでなく、衣服や部屋のタバコ臭がなくなり、ニコチンが切れてイライラするようなこともなくなるため家族間のトラブルが減るような事例もあります。

がんのリスクは減らせるの?

喫煙とがんとの関係については、様々な研究が成されています。その全てにおいて、喫煙は様々ながんとの因果関係があるとの結果が出ています。さらに、喫煙年数は長ければ長いほど、1日あたりの喫煙本数は多ければ多いほど、そして喫煙を開始したのが若いほどがんのリスクは高まります。

一方、多くのがんで、禁煙をすると吸い続けた場合よりもリスクが下がることが知られています。禁煙してからの期間が長いほどリスクは下がるため、「いつか禁煙しよう」と漠然と考えるのではなく、思い立ったらすぐに禁煙に挑戦することをおすすめします。

 禁煙するとリスクの下がるがん

膵臓がん膀胱がんについてもリスクは低下しますが、これらのがんでは、非喫煙者と同レベルまでリスクが下がるのは10~25年後になります。

まとめ

「私は、長年たばこを吸ってきたから今更やめてもしょうがない」と、思っていませんか?1990年アメリカの公衆衛生長官は、世界各国の研究をまとめ、「禁煙は性別・年齢・喫煙による病気の有無を問わず、すべての人々に大きくかつ迅速な健康改善をもたらす」と報告しています。

禁煙に遅すぎることはなく、いつからでも禁煙は身体へ良い影響があります。思い立ったときがはじめ時です。まずは、病院で治療の相談をしてみてはいかがでしょうか?

喫煙は世界中で健康への影響が問題視され、対策が始まっています。日本においても喫煙者が少しでも楽に禁煙できるようにと、健康保険適応の禁煙外来が開始されました。禁煙外来は専門家のサポートを受け、個人に合わせた治療計画が立てられます。禁煙にはさまざまなメリットがあり、禁煙をいつ始めても遅すぎるということはありません。