皆さんも一度は、「扁桃(腺)が腫れていますね」と病院でいわれたことがあるのではないでしょうか?この場合、多くは扁桃炎を引き起こしていると考えられます。

扁桃炎は比較的珍しくないものですが、慢性的な扁桃炎を放置すると腎臓などに異常が生じることもあるため、早めの対処が必要になるケースもあります。

扁桃炎について詳しく解説したいと思います。

目次

扁桃腺ってそもそもなに?

上でも説明した様に扁桃炎とは扁桃に炎症が起こっている状態を指します(扁桃はかつては「扁桃腺」と呼ばれることもありました)。

扁桃は喉の奥にあるリンパ球(白血球の一種)の集合体です。口から病原体が侵入すると、扁桃に炎症が生じ赤く腫れます。これが扁桃炎です。

扁桃炎を繰り返す場合は?

扁桃炎は、基本的には抗菌薬(抗生物質)を定められた期間しっかりと服用することによって問題なく治療することができます。

ですが、生まれつき扁桃が大きい場合や炎症を起こしやすい体質である場合には、扁桃炎を繰り返すこともあります。

一度扁桃炎になると、高熱が出て喉も激しく痛むため、社会生活に大きな支障が出てしまいます。そのため、一般的に1年に4~5回扁桃炎を繰り返す場合、手術によって扁桃を取り除きます

手術は比較的簡単なものですが、基本的には手術前後は数日ほど入院することになります。

慢性扁桃炎は他の病気と関係している

実は、喉の病気である扁桃炎は様々な病気と関係しているとされています。ここでは、代表的なものとして腎炎(IgA腎症)皮膚炎について解説することにしましょう。

腎炎(IgA腎症)

慢性扁桃炎はIgA腎症とよばれる腎炎と深い関係にあることが知られています。

これは扁桃炎によって産生されたIgA抗体という抗体(免疫に関係する物質)が腎臓を障害することによって発症します。腎臓が障害されることによって血尿蛋白尿(本来混ざるはずのないタンパク質が混ざった尿)が認められます。

IgA腎症に罹患している患者さんは、扁桃炎を発症することで腎臓の機能が低下する傾向にあります。そのため、薬剤(ステロイド)による治療に加えて、扁桃の摘出(扁摘)を実施するとことが多いです。

皮膚炎(掌蹠膿疱症)

IgA抗体は腎臓だけではなく、皮膚にも症状を引き起こします。手足に膿疱(膿が中に詰まった水ぶくれ)ができる病気で、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と呼ばれます。

掌蹠膿疱症は胸肋鎖関節炎(きょうろくさかんせつえん)と呼ばれる関節の炎症(肩の付け根が痛む)を引き起こすことがある点も特徴的です。

治療としては、ステロイドやビタミンD3が含まれた軟膏光線療法(治療に有効な波長の光を当てる治療)を行います。

まとめ

扁桃炎は喉の痛みに加えて、腎臓や皮膚などに生じる様々な疾患と関係することが知られています。たかが喉の痛みと軽く見ずに、喉の痛みを繰り返す場合は積極的に医師の診察を受けるようにしましょう。