近年、グルテンフリーという言葉がよく聞かれるようになりました。日本でもグルテンは体に良くないとの見方がされることもありますが、安易に全てを信じてしまうのは大変危険です。グルテンフリー食品とはどんなものを指すのか、海外製品を選ぶときの注意点などについて解説していきます。

目次

グルテンとは何か

グルテンとは小麦に含まれるタンパク質のことで、水を加えてこねると弾力性と粘着性を持つ性質を利用してさまざまな小麦製品が作られています。パンが膨らんだり、うどんが長く伸びたりするのはこのグルテンの性質によるものです。

グルテンのこのような性質は、小麦製品を加工する際にはなくてはならないものですが、グルテン=悪者とみなされるようになってしまった背景には次のような理由があります。

グルテンフリー食品が流行した理由とは?

欧米では、グルテンの摂取によって慢性的な小腸の炎症性疾患であるセリアック病の患者が増えており、欧州での患者数は500万人以上、アメリカでは約300万人にものぼると推定されています。

このような背景により、欧米ではグルテンフリーという用語を定義して、基準を満たした商品に認証マークを付けて販売しています。グルテンフリー食品はセリアック病の人はもちろん、ヘルシー志向の人を中心として人気を博し、新たな健康ジャンルを確立しているようです。

日本でグルテンフリーの食生活が一気に知られるようになったのは、テニス選手のノバク・ジョコビッチさんの著書がきっかけです。彼は著書のなかで、「セリアック病と診断されてからグルテンフリー生活を徹底することにより、体質が劇的に変化し、テニス界のトップに上り詰めることができた」と伝えています。

日本でのグルテンフリー事情と注意点

海外では、もはやグルテンフリーが常識であるかのごとく大ブームをまき起こしています。もともとはセリアック病患者に対する治療法だったにも関わらず、新しいダイエット法としても確立されているようです。

しかし、これにならってグルテンフリーが日本人にも通じるものと信じ込んでしまうのはよくありません。日本の食生活では海外ほど小麦製品を口にする機会は多くありませんし、セリアック病患者数の少ない日本では万人に通じるものではないと感じます。

近年では、日本でも海外のグルテンフリー食品の輸入が増加しています。日本でも、小麦は食品アレルギーを起こしやすい特定原材料として指定されていますが、この2つの基準が必ずしも一致するわけではないということも周知されるべき点です。

  • EU・アメリカでのグルテンフリーの基準→20ppm以下であればグルテンフリーと表示できる
  • 日本でのアレルギー表示基準→数ppm以上の小麦を含む場合は小麦のアレルギー表示をしなければならない

気をつけたいのは、「グルテンフリー=小麦が入っていないから大丈夫」と小麦アレルギーの人が摂取してしまう点です。他の食品に比べてグルテンの含有量は少ないものだとしても、小麦が全く入っていないというわけではないので、アレルギー症状を発症する危険性があります。

また、海外ではグルテンは、注意欠陥障害(ADHD)や自閉症のリスクが高まるという報道がされることもあり、ネガティブなイメージを持たれる傾向があります。しかし、これらは科学的根拠がなく噂レベルに過ぎません。同じようにダイエット効果についてもあくまで個人の感想でしか過ぎないので、グルテンフリーに対して過剰に期待を寄せるのは控えましょう。

まとめ

一般人に対して、グルテンフリー食品がどのようなメリットがあるのかは現状では判断できません。過熱するブームのなかで冷静さを保つのは大変なことではありますが、正しい知識を身につけて、自分に合った食品を選ぶことが何よりも大切です。