お酒は少量であれば問題ないとされる一方、飲みすぎは様々な病気のリスクを上げる恐れがあります。
例えば高血圧や脳出血、脳梗塞、肝硬変、2型糖尿病などのリスクは、飲酒量と関係があるとされています。
それでは、歯の健康への影響はどうでしょうか?
なんとアルコール依存症の方では、平均して3倍も虫歯の数が多いと言われています(厚生労働省より)。
アルコールは本当に歯に悪いのか、詳しく見ていきましょう。
歯周病、虫歯とアルコールの関係
結論から言うと、適量であればアルコールそれ自体がお口の中の健康状態に影響を与えることは少ないと言われています。
ですが、お酒を飲んだ時にやってしまいがちな生活習慣が歯を弱くする可能性があります。
また、適量を守れずにアルコール依存症になってしまった方は、歯周病を始めとする歯の病気になっていることが多いことも事実です。
歯に悪い、お酒を飲んだ時の生活習慣3つ
具体的には、以下のような生活習慣が歯周病に繋がるとされています。
いずれの生活習慣も、自分の許容量を知り「今日はここまで」と切り上げることができれば防げる内容ですので、お酒を飲むときには気を付けてみましょう。
1.歯磨きをせずに寝てしまう
お酒を飲んだ後は歯を磨かず眠ってしまったり、歯磨きがおろそかになったりしがちです。
歯磨きがきちんとされていないと歯周病になりやすくなります。
2.だらだら飲み
酸蝕症と言って、歯は酸性の強い食べ物や飲み物によって溶けてしまうことがあります。
特にビール、ワインは酸性度が高く、だらだらと飲んでいると酸蝕症を引き起こしてしまうことがあります。長時間にわたって飲み続けるのはやめましょう。
酸蝕症は食後のうがいや、お茶を飲むことで予防できると言われています。
3.吐くほど飲む
お酒を飲んだ後に吐いてしまう方がいますが、胃酸も酸性度の強い物質のため、歯を溶かしてしまうことがあります。
そもそも、お酒を飲んで吐いてしまうというのは明らかな飲みすぎです。お酒は人によって飲める量が違いますので、無理な飲酒は絶対にやめましょう。
日本人では、お酒に弱い体質の人が多いと言われています。
アルコール依存症と歯周病、虫歯
アルコール依存症の患者さんでは、上記のような生活習慣が日常になっていることもしばしばだと考えられます。
また、アルコールに依存すると次第にお酒以外を受け付けなくなってしまい、身体機能や免疫力、回復力が低下していきます。
食べ物をあまり食べず、アルコールによる利尿作用もあるため体が水分不足の状態になり、唾液が減っていきます。唾液には口の中を清潔にする自浄作用もありますので、特に歯周病の起こりやすい状態だと言えます。
実際、アルコール依存症の方では虫歯の数の平均が6歯となっています。一般平均は2歯なので、実に3倍も虫歯が多いというデータです。
さらに下の前歯や歯の付け根など、通常は高齢者にみられる部分の虫歯もアルコール依存症の方では多く、ほとんどの人が歯周炎になっていたという報告もあります(厚生労働省より)。
まとめ
アルコールそれ自体はお口の健康に悪いわけではありませんが、お酒の飲む時の生活習慣によっては歯周病になりやすくなってしまうようです。
また、アルコール依存症の方は歯周病になっていることが多く、そこには様々な要因が重なり合っていることが考えられます。
お酒は適量を守り、「ここまで」と決めて楽しむことが大切です。