カロテノイドは、ヒトにとって必須の成分ではないものの、摂取することでさまざまな効果が得られると期待されている成分です。カロテノイドを含む食品にはどのようなものがあるのか、またカロテノイドの効果について詳しく見ていきましょう。

目次

カロテノイドってどんな成分?

カロテノイドは、現在では600種類もの数が見つかっています。ヒトの体内ではカロテノイドを生成することができないため、摂取するためには野菜や果物を摂らなくてはなりません。

カロテノイドは機能性成分であり、生きていくために必要不可欠な必須栄養素ではないものの、健康に対する有用性が示されているデータが多くあります。カロテノイドばかりを意識して摂る必要はありませんが、体によい効果が期待できる成分として知っておくに越したことはないでしょう。

カロテノイドの基本的な効果は?

カロテノイドには多くの種類があり、それぞれ含まれる食品が異なります。それぞれのカロテノイドには、独自の作用を持つものもありますが、ここではまずカロテノイド全体の共通効果について解説していきます。

カロテノイドの共通効果には、主に抗酸化作用が挙げられます。抗酸化作用とは、がんや生活習慣病の原因となる活性酸素を消去する働きのことです。 活性酸素は、過剰に生成されると体を構成する組織を傷つけてしまいます。例えば、活性酸素によって酸化された脂質は、血管の壁を傷付けて動脈硬化を促進させ、脳血管疾患や心疾患といった重大な病気のリスクを上昇させるのです。

私たちの体には、もともと活性酸素を除去する機能が備わっていますが、これは加齢とともに衰えていきます。そのため、健康のためにはカロテノイドを含め、ビタミンやポリフェノールといった抗酸化物質をとり入れることが大切だとされているのです。

カロテノイドにはどんな種類がある?

ひとまとめにカロテノイドといっても種類はさまざまです。それぞれ独自の効果を持っているものもあるので、カロテノイドを含む食品と期待される効果について紹介していきます。

人参、かぼちゃ…β-カロテン

β-カロテンはビタミンAの前駆体で、体内に入るとビタミンAになります。視覚や皮膚・粘膜を正常に保つ機能、免疫機能の維持に効果が期待されています。

トマト、すいか、柿…リコピン

トマトの赤い色素はリコピンによるものです。β-カロテンよりも抗酸化作用が強く、動脈硬化の進行を防ぐと考えられています。リコピンはオリーブオイルと併用し、加熱することで吸収率が高くなります。

みかん、とうもろこし…β-クリプトキサンチン

β-クリプトキサンチンは、β-カロテンと同様に体内でビタミンAに変換されます。みかんを食べて手が黄色くなるのは、このβ-クリプトキサンチンによるものです。肺がんや骨粗しょう症、糖尿病などの多くの疾患に対して高い効果を示しているという研究報告があります。

ほうれん草、卵黄、豆類…ルテイン

ほうれん草の茎にある、赤い部分に含まれる成分です。ルテインは目の網膜の黄斑部に存在し、紫外線を吸収して黄斑変性や白内障を予防すると考えられています。

鮭、エビ、カニ…アスタキサンチン

抗酸化力が強く、美容効果が期待されており、化粧品の成分として使われることもあります。

まとめ

カロテノイドには多くの種類があり、共通の効果である抗酸化作用の他に独自の効果を持ちます。野菜や果物を摂取していれば、ポリフェノールやビタミン類を含めて抗酸化作用を持つ成分は自然と摂れるはずです。カロテノイドを摂ろうと無理に構えず、毎日の食事のなかで自然に野菜と果物をとり入れていくとよいでしょう。