子供の行動は、なかなか予測がつきません。思いがけない行動がもとで怪我をすることも、珍しくありませんよね。もしものときにどう対処すればよいか知っておくことは、重症化を防ぎ、お子さんの命を守ることにもつながります。

ここでは、子供が怪我をした時の応急処置についてお話ししたいと思います。

目次

子供に多い怪我は?

幼稚園・保育園を対象にしたあるアンケートでは、子供の怪我で最も多いのはすり傷という結果が出ました。2番目以降は鼻血、打撲、切り傷、骨折、やけどとなっています。

怪我の部位でみると、口・歯、顔、手足、頭部、目の順番に多いことがわかっています。

正しい応急処置法を知っておこう

応急処置方法を知っておけば、もしもの時にお子さんの不安を煽ることなく、正しい処置を慌てずに行うことができます。また、適切な応急処置によって、怪我を重症化させることなく、軽傷で済む可能性が高くなります。

怪我の内容別に、正しい応急処置方法を見ていきましょう。

1.すり傷・切り傷

すり傷と切り傷の対応はほぼ同じです。処置をする人は、必ず手をきれいに洗ってから行ってください。

まずは、傷口をきれいにしましょう。きれいな水で傷口を洗浄し、泥や砂を洗い流してください。汚れがひどい場合は、エタノールなどの消毒成分が入っている消毒液を流しかけます。砂などが取り切れない場合は、病院で診てもらってください。傷は、なるべく乾かさないようにします。

また、傷口が大きく出血が続くようであれば、ガーゼや清潔な布で傷を軽く圧迫して止血してください。このとき、寝かせた状態で傷口を心臓より高い位置に挙げることで、出血をおさえることができます。

止血が困難な場合や、ショックを起こしている場合は救急車を呼んでください。

2.鼻血

お子さんを抱っこするか、座らせた状態で下を向かせます(上を向くと、鼻血を飲んでしまうことがあります)寝かせてしまうと出血が長引くことがあるので、鼻の位置が心臓より高くなるよう気をつけてください。

口呼吸をさせ、鼻のやわらかい部分を両方から外から強くおさえて様子を見ます。15分ほど様子を見ながら圧迫を続け、鼻血が止まったようであれば問題はありません。ただし、その後も出血しやすい状態ではあるので、強く鼻をかませないよう気をつけてください。

15分経っても出血が止まらない場合は、耳鼻咽喉科を受診してください。

3.打撲

なにかにぶつかったり、打ったりした場合、皮下出血を起こして青あざになる場合があります。冷やすことで一時的に腫れや痛みが治りますので、クーリングしつつ状態を観察しましょう。徐々に腫れがひどくなったり、痛みが治まらなかったりするようであれば、病院を受診します。

特に注意したいのが頭を打ったときです。頭部を打撲した場合は、意識の有無や、呼吸や脈がしっかりしているかを確認しましょう。意識がなかったり、けいれんをしたり、反応がおかしかったりするときは救急車を呼ぶ必要があります。

頭を打ってすぐは異常がなくても、徐々に脳にダメージが出る場合がありますので、頭を打ってから48時間以内に下記の症状が出た場合は速やかに病院を受診しましょう。

  • 頭痛がひどくなる
  • 繰り返し吐く
  • うとうとしている、元気がない、
  • 歩けない
  • けいれんを起こす
  • 視点が合わない

4.骨折

お子さんが高所から落ちたり、何かに激しくぶつかったりしたときには、骨折の可能性も念頭に置く必要があります。骨折が疑われる症状は、下記のとおりです。

  • 触ると痛がって泣く
  • 皮膚の一部がひどく腫れる
  • 皮膚の一部に内出血が見られる
  • 腕や足に力が入らない(手を使わない、足に体重をかけられないなど)
  • 腕や足の向きがおかしい

骨折の可能性がある場合には、その箇所が動かないように、骨折した部位の上下の関節も含めてそえ木で固定し、心臓より上に挙げた状態で冷やしましょう。その上で、できるだけ早く病院を受診してください。骨折かどうか判断がつかない場合も同様です。

添え木は、まっすぐに固定できるものなら何でも構いません。上下の関節も固定できるように、患部よりも大きめのものを使用しましょう。

5.やけど

やけどした場合、すぐに流水で冷やすことが重要です。服を着ている場合、やけど箇所と服がくっついている可能性があるので、脱がせずに服の上からシャワーなどで水をかけましょう。20~30分間は、冷やしながら様子を見てください。

子供の場合、その子の手のひらよりも広い面積のやけどは「大きなやけど」とみなし、病院で手当を受けましょう。その際、受診前に薬を塗るのは避けてください。

また、やけどの状態が下記のような状態の場合にも病院を受診する必要があります。

  • 皮膚に水疱(みずぶくれ)ができている(この場合、水疱はつぶさないでください
  • 水疱が破れ、皮膚の表面がはがれている
  • 皮膚が紫や白、黒、褐色になっている

まとめ

子供が怪我をして泣くと、大人も「どうしたらいいんだろう?!」とパニックになることは少なくありません。もしものとき、今回ご紹介した応急処置の方法を思い出すことで、冷静さを取り戻すきっかけになればと思います。

また、適切な対応ができるように、イメージトレーニングをしておくことをおすすめします。